劇場公開日 2010年7月24日

ゾンビランド : 映画評論・批評

2010年7月20日更新

2010年7月24日よりヒューマントラストシネマ渋谷ほかにてロードショー

ゾンビの終末世界を生き延びるには“ルール”と“ルール破り”が必要なのだ

舞台は大半の市民がウィルス感染型ゾンビに襲われ、広大な廃墟と化したアメリカ合衆国。こうした終末世界を生き延びられるのは、あらゆる危険を避けて通る慎重派か、怖いもの知らずの肉体派のどちらかだ。ジェシー・アイゼンバーグウッディ・ハレルソンがこの2タイプの典型を演じる本作は、実におおらかで笑いの絶えないホラー・コメディだ。

その“おおらかさ”の源は、生存者がショッピングモールなどに閉じこもりがちなゾンビ映画の常道を踏み外したロードムービー形式の採用にある。チャーミングな詐欺師姉妹を加えた男女4人が目ざすのは、何とカリフォルニアの遊園地。そこでいかに愉快なクライマックスが繰り広げられるか、想像しただけで胸が弾むだろう。

さらに一点、この映画がとびきり新鮮なのは、ジョージ・A・ロメロ御大が確立した文明批評ゾンビ路線、すなわちゾンビよりも醜い社会や人間の闇をえぐることには目もくれず、からっと明るい人間賛歌&青春賛歌を謳い上げていることだ。アイゼンバーグ扮するオタク童貞青年が考案した<ゾンビから生き残るための32のルール>は、そのまま既存のゾンビ映画のパロディになっているが、思わずニヤリのひとひねりが盛り込まれている。<ルール17:英雄になろうとするな>。そんなことわかっちゃいるけど、高ぶる気持ちは抑えられない。そう、これは何とも頼りない主人公が<ゾンビランドを“人間らしく”生きるためのルール>を発見する物語なのだった。

高橋諭治

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