「全く怖がらず笑えるゾンビ映画」ゾンビランド といぼ:レビューが長い人さんの映画レビュー(感想・評価)
全く怖がらず笑えるゾンビ映画
アマゾンプライムで鑑賞。主演のジェシー・アイゼンバーグがめちゃくちゃ好きだったので期待していました。
私はホラーが苦手なんですけど、本作はゾンビものでありながらホラーというよりコメディに寄った作品であることは事前に知っていたので、緊張せずに鑑賞できました。上映時間も88分と短めなので空いた時間に気軽に鑑賞出来て良いですね。
結論ですが、非常に楽しめました。おバカゾンビ映画らしく多少のツッコミどころはありつつも、そんなの気にしないほどにコメディは笑えたし、キャラクターは魅力的でした。中盤あたりでサプライズ登場する大物俳優には驚かされましたね。彼の出演する作品を観たことがありましたが、まさか本作でもその顔が拝めるなんて。多少のグロ描写はありつつも全く怖くなく、ホラー苦手な私でも最後まで楽しんで鑑賞することができました。
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新型ウィルスの感染拡大によって世界中の人々がゾンビとなってしまった世界。引きこもりの青年であったコロンバス(ジェシー・アイゼンバーグ)はゾンビだらけの世界で生き抜くために自分に課した様々なルールを守り、何とか生き延びてきた。ある日コロンバスは生存者のタラハシー(ウッディ・ハレルソン)と出会い、彼と行動を共にするようになる。スーパーマーケットに足を踏み入れた二人は、生存者のウィチタ(エマ・ストーン)とリトルロック(アビゲイル・ブレスリン)姉妹と出会う。彼女らにまんまと騙されたコロンバスとタラハシーは、武器と車を奪われてしまうのだった。
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この4人のグループのバランスが実に絶妙ですね。誰か一人が欠けるだけでもバランスが崩れてしまうような絶妙なメンバーです。伊坂幸太郎の代表作『陽気なギャングが地球を回す』では「2人組だとどちらかが癇癪を起す」「3人組も悪くないが、三角形は逆さにするとアンバランス」「車に5人乗るのは窮屈」だとして、「4人組が最適だ」との結論を出しています。
『陽気なギャングが地球を回す』は4人組の銀行強盗の話ですが、これが終末世界のゾンビハンターでも大した違いは無いはずです。4人で良いのです。この4人だからこそ良いのです。
この4人の掛け合いや関係性が非常に面白い。お互いに騙し騙され、奪い奪われ。まるでルパン三世と峰不二子のような、仲間のような敵のようなつかず離れずの関係性。これがたまりません。彼らのロードムービーだけ5時間くらい観ていたい。
そして、ゾンビの蔓延る世界でありながら、「小さなことを楽しむ」というタラハシーの言葉通り、人がいないのをいいことにやりたい放題する彼らの姿は死と隣り合わせの世界を描くゾンビ映画にはある意味似つかわしくない爽快感を抱きます。
特に、ハリウッドスターの邸宅が立ち並ぶ場所で豪邸に侵入するシーン。まさかビル・マーレイの邸宅だったとは驚き。しかも彼もまたゾンビから逃げ延びた生存者で、タラハシー同様「小さなことを楽しむ」の精神の元、ゾンビメイクしたりゴルフ場で貸し切りゴルフに興じたりしていました。私は彼の主演作『恋はデジャ・ヴ』を観て非常に感動した人間ですので、彼のサプライズ登場で、劇中のタラハシーと同じくらいテンションが上がりました。最期の死に方もある意味彼らしくて、悲しくもあり、面白くもある。
軽快なゾンビコメディ映画でありながら、意外と人生の教訓めいた深い内容も含んでいるので、ホラーが苦手な方も含めて多くの人にオススメできる面白い映画でした。