劇場公開日 2010年7月24日

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「トゥインキーってなんだ?」ゾンビランド まきこさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0トゥインキーってなんだ?

2020年11月3日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

初めて映画の感想を書きたくなった作品。
3つのポイントがあったように思う。
笑いどころ、メタ的な楽しみ、リアリティ。

第1のポイントで、本作の最も良くない点は、コメディなのに、笑いどころが分かりにくい点。
まず、トゥインキーってなんだ?
子ども向けお菓子であることは説明されていたと思うが、具体的なイメージを共有できない。
おじさんがトゥインキーを求める、という笑どころなのだろうとは思うが、心からは笑えなかった。
パロディっぽい笑いもあるようだったが、私にはちんぷんかんぷんだった。

しかし、思考停止で笑えた所もある。
ビルマーレイのシーンは面白かった。
あのシーンが☆0.5コ分に相当しているくらいには面白かった。
(残りの1.5コ分はキャスト)

第2のポイントは、メタ的な楽しみ。
これには「あるある」と「ツッコミ」という2つの意味がある。

第1のポイントとも関連するが、前提となる知識が必要だった。
これがメタ的な楽しみの1つ目の意味。
「あるある」的に笑える人には面白い。
友人から聞いた話だが、ミルクボーイの漫才は外国人には面白さが分かりにくいらしい。
コーンフレークや最中といった前提知識がある人にはハマって面白いが、ない人にはハマらずに面白くない。
これと同じで、メタ的な楽しみを共有できる人には面白い映画なんだろうな、と思った。

もう1つのメタ的な楽しみが、ツッコミ。
登場人物はかなり奇天烈な行動をとる。
その奇天烈さに、「なぜそんなことをするのか意味不明」という感想を持った人もいるだろう。
しかし、これは意図的に埋め込まれた意味不明さなのではないだろうか。
その意味不明さに対して、観客がツッコミを入れながら見ることで、笑いを生じさせるメカニズムがあったように感じられた。
「なぜ」という感情を言葉にして伝え合うことで、この映画を本当の意味で楽しめるのではないだろうか。
映画そのものを楽しむ、というだけでなく、映画を通したコミュニケーションを楽しむ、ということも意図されているように思えた。
そういう意味で、本作はメタ的な楽しみを持っていると思う。

第3のポイントは、リアリティ。
人間がゾンビになった瞬間、それまで綺麗だった顔が傷だらけになったりする。
このシーンにリアリティはない。(このリアリティのなさが、先述のツッコミポイントとなるわけだが。)
しかし、妙なリアリティがあるシーンや設定もある。
例えば、本作で中心的に描かれる4人は、秀才でも特別な能力を持っているわけでもない。
良くも悪くも、凡人である。
本作のストーリーは、「秀才や特別な能力を持った人に焦点を当て、人類を救うストーリーを描く」
という起承転結が分かりやすいものはなく、
「凡人がゾンビランドで生きていく」
というストーリーである。
起承転結が分かりやすい方が、映画としてはよいのかもしれないが、
実際にゾンビランドで生き残るのは凡人なのかもしれない。
それほど都合よく、科学者やリーダーシップをとれる人間が生き残るわけがない。
そういう意味で、本作の設定には妙なリアリティを感じた。
このような妙なリアリティが散りばめられており、絶妙な世界観を演出していた。

まとめとしては、毒にも薬にもならない映画のわりに、分かりにくく、思考停止で笑える作品ではなかった。その中途半端さが良いという人もいるかもしれないが、私には合わなかった。
予習・復習をした上でもう一度見てみたらまるっきり面白い映画になるのかもしれない、という潜在性は感じられる。

まきこ