ユキとニナ

劇場公開日:

ユキとニナ

解説

フランス人の父と日本人の母を持ち、パリで暮らす9歳の女の子・ユキは、ある日、両親が離婚しようとしていることを知り、母からは日本で暮らそうと告げられる。親友のニナと別れたくないユキは、ニナとともに家出を決意する。しかし2人は森の中で迷子になってしまい……。「不完全なふたり」「パリ・ジュテーム」の諏訪敦彦と、「愛のあとに」「イヴォンヌの香り」の名優イポリット・ジラルドが共同監督を務める。

2009年製作/93分/G/フランス・日本合作
原題または英題:Yuki et Nina
配給:ビターズ・エンド
劇場公開日:2010年1月23日

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映画レビュー

0.5サギソウは絶滅危惧種で、絶対に沖縄には咲いていない

2024年7月7日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
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マサシ

4.0じっとり湿る東アジア

2023年7月15日
iPhoneアプリから投稿

『2/デュオ』のあまりにも演劇的な即興に良くも悪くも気が滅入っていたときに本作を見た。即興部は少なからずあるんだろうけどそこまでスノッブな感じはなく、終盤に挟まれるビデオカメラのパートなどは山本政志のドキュメンタリーのような柔和さとフラットさがあった。

両親が離婚の危機に瀕している娘が超自然的なできごとを契機に大人へと脱皮していくという筋立ては相米慎二『お引越し』を否応なく想起させるし、諏訪もそのあたりはさすがに知ってのことだと思うが、単なる模倣には落ちぶれていない。別にギミックが増えたわけではないし、物語が国家を跨いでいることに政治的意図を込めた感じもない。むしろそういう小手先の技巧からは離れ、ふとした仕草や素朴な風景の美しさを捉えることに集中したのが勝因だと思う。

フランスの森の中から日本の田園へと空間がシームレスに接続される一連のシーンには思わず瞠目した。植生の決定的な差は両国間の物理的な距離を強調し、それゆえに今ユキの身に起きていることが他ならぬ神秘であることを如実に示す。それにしても日本は本当に(精神的にも物理的にも)湿度の高い国なんだなあと改めて思った。タイやフィリピンほどではないにしても、フランスのサラッと乾いた気候とモンタージュされるとその落差は歴然だ。

惜しかった点を挙げるとすれば、終盤、ユキの母が空き家の前で呟いてしまった「この近くの川で小さい頃遊んだ覚えがある」というセリフ。アドリブにしたってこれは酷い。実生活の温度に沿ったそれまでの会話の蓄積を一瞬で振り出しに戻してしまうだけの不自然さがあった。わざわざここまで説明せずともその後の川のシーンで同じようなセリフを呟くのだから尚更必然性に欠ける。ここはリテイクでよかったんじゃないかというのが正直なところだ。

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因果

4.5少女時代

2011年9月23日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

幸せ

なんというか…見終わったあと言葉を失ってしまいました。
とにかく素晴らしいの一言。
少女時代の自分と重なる場面が多く、大分感情移入してしまいました。
特に、愛の妖精からの手紙のシーンでは思わず涙が…。

どちらかというと女性向けですね。

良作です。

ユキのお母さん役の方が美しかったです。

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NINA

4.5心が、ざわつく

2011年2月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館、DVD/BD

悲しい

幸せ

「不完全なふたり」など、フランスを舞台にした作品を積極的に発表している諏訪敦彦監督が、フランスの名優イポリット・ジラルドと共同監督の形で作り上げた、ガーリー映画。

確固とした物語の軸を敢えて作らず、小さな場面の断片を繋ぎ合わせる中で観客の創造力から自由に描かれる世界を表現する手法で演出される本作。諏訪監督のこれまでの作品にも用いられてきた技法であり、彼の過去の作品を追いかけてきた観客ならば、十分に付いていくことが出来る物語である。

しかし・・・どうも、心が落ち着かない。ざわざわするのである。基本的なコンセプトにガーリー映画というテーマのみ設定されており、両親の離婚という避けられない課題を前に困惑しつつも、力強く前に踏み出してく一人の少女の心の旅を描き出しているのだが、本作には決定的に違和感を抱かせる場面が存在する。それが、私をざわざわさせる。

フランスというお国柄も手伝い、登場人物たちは極めて冷静に、議論を幾重にも重ねて問題に対処する姿勢を貫こうとする。それは、大人も、子供も変わらない。だが、その中にあって主人公ユキの母親がとある場面で号泣するカットが長回しで粘着に描かれている。ガーリー映画であるはずの作品に突然挟み込まれた一人の大人の、爆発。これは・・どういうことなんだろう。

後半、二人の少女が迷い込んだ森に繋がっていた日本という世界。これはそのまま、日本人として生きていたユキの母親の記憶に繋がっている。ユキが小民家で興じる遊びも、現代の子供が行うものとはどうしても思えない古風な趣を強く感じさせる。子供の荒ぶる葛藤を見つめようとしながらも、作り手が本当に捕まえようとしていたのは、異国の地で、異国の精神を持ちながら異国人と暮らしてきた母親の心ではなかったのか。

統一されない母親のフランス語と日本語のちゃんぽんも、不安定な母親の立場と揺れを容易に想像させる。極めて意図的に幼い少女の物語を前面に押し出しつつ、一人日本人というスタンスに雁字搦めになっている大人の女性を見つめている複雑な構造は、観客の物語への理解を阻害していく。だから、ひどくざわざわするのだ。

国際結婚で本当に苦しむのは、誰か。子供か。いや、違うだろう。屈折した主張で諏訪監督が描いているのは、結婚という形で母国を捨てる人間への優しい眼差しだ。だからこそ、本作は異国人と生きていこうとする大人の貴方に、観て欲しいと考える。淡い色調のなかで、道徳映画と芸術の境を器用に泳いでいく本作の魅力は、尽きない。可愛いだけでは、ない。

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ダックス奮闘{ふんとう}