「【”バカと言われると激怒する軽い知的障害のある息子”を溺愛する母が行った事・・。ポン・ジュノ版”イヤミスムービー”である。イロイロな解釈をしたくなる作品でもある。】」母なる証明 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”バカと言われると激怒する軽い知的障害のある息子”を溺愛する母が行った事・・。ポン・ジュノ版”イヤミスムービー”である。イロイロな解釈をしたくなる作品でもある。】
■今作の魅力
<ネタバレあり>
1.前半は、コミカル要素を少し塗したストーリー展開。
2.そして、観る側は、ポン・ジュノ監督が仕掛けた”罠”に徐々に嵌って行く・・。
3.軽い知的障害のある息子、トジュンを”ある理由”で溺愛する母親(キム・ヘジャ)。
- 最後まで、彼女は”トジュンの母親もしくは、叔母さん”と呼ばれる。実名は出ない・・。成程。
”ある理由”は後半、トジュンから語られる・・。ー
4.ある晩、アジョンと言う女子高生が、頭を強く殴られ殺され、遺体は”何故か二階建ての建物”の屋上に晒されている・・。
そして彼女について徐々に明かされる出来事。
・誰とでも寝る女性だった事。
・時折、急に鼻血を出す事。
・寝た男の顔写真を携帯で映していた事。
5.トジュンは、警察の杜撰な捜査で、アジョン殺しの犯人にされ、勾留される。
トジュンの無実を明かすために、”母親”は懸命に真実を掴もうとするが・・。
- この辺りまで、観る側はトジュンが無罪だと、ミスリードされる・・。愚かしき弁護士、検事、精神病院長の姿を見せられることで・・。-
6.”母親”が自ら捜査を進めていく中で、マッコリに呑まれているアジョンの祖母から、彼女の携帯を渡される。そこに映っていた、サッカー2チーム分の顔写真の中から、トジュンが指さした人物は・・、”母親”が雨の中、傘を買った屑拾いの白髪の男だった・・。
”母親”はその男が住む、粗末な町はずれの一軒家を訪ねる。
が、そこで屑拾いの白髪の男が、”アジョンが殺された晩に見た事”を聞いた”母親”が行った事・・・。
- 完全にミスリードされたよ・・。ポン・ジュノ監督。ー
7.真犯人にされた青年、”ジュンバル”に会いたいと”母親”は言い、留置場の面会室で、 彼から”両親は居ない”と告げられ、号泣する”母親”
ー ジュンバルについていた、アジョンの血は勿論、鼻血であろう・・。
”母親”のあの涙は守る者の居ないジュンバル対する謝罪の涙であろうか、それともこれでトジュンは捕まることはないという、安堵の涙であろうか・・ー
8.トジュンに見送られ、小旅行に出る”母親”
待合室で、息子から差し出された
”屑拾いの白髪の男の燃やされた家で、息子が見つけた母親の鍼灸針の箱”を
”駄目だよ、忘れちゃ・・”
と言われながら、渡される”母親”
驚愕する”母親”。
<浮かない顔で、バスに乗った”母親”は他の乗客が狂ったように踊る姿を見て、自らの太腿の”嫌な記憶を取り除く”ツボに自ら針を刺し、狂ったように踊り出す。
冒頭と最後部の、枯れた草原をフラフラと歩く”母親”の姿を見て、
ポン・ジュノ監督、ヤラレタよ・・と思った作品。
ポン・ジュノ版、”イヤミスムービー”でもある。>
- 本当にトジュンは知的障害だったのだろうか・・。様々な感想、観方が出来る奥深い作品である。
(これについて、自らの考えを記載すると、レビューが2500文字位になりそうなので、止めておきます・・。)-
NOBUさん、こんばんは。
本当に知的障害だったかどうか・・・多少疑問に残りますよね。
なんとなく記憶障害だけだった気がしますけど、善悪の判断もなかなかできない様子でした。
忘れた頃に見直したい映画です!