「これも母の強さか」母なる証明 といぼさんの映画レビュー(感想・評価)
これも母の強さか
先日ポン・ジュノ監督の「パラサイト半地下の家族」を観て衝撃を受けたため、過去の作品の中でも特に評価の高い今作を鑑賞しました。
結論。本当に素晴らしかった。「パラサイト」と同じくらいの衝撃を受けました。
ポン・ジュノ監督の持ち味である「緻密なストーリーテリング」「光と闇の映像演出」が存分に発揮されている作品で、パラサイトが面白いと感じた人はこの作品も気に入ると思います。
個人的に良かった映像演出の例を挙げると、「闇で空間を分断する」という演出が良かったです。パラサイトではキッチン奥の物置、母なる証明では母親の営む店の内外・女子高生が入っていった路地裏が、「空間的には繋がっているのに暗くて見えない」という場所になっていました。
暗がりからは明るい場所が見えるけど、明るい側から見ると暗がりは真っ黒で何も見えないんですよ。だからこそ、女子高生(アジョン)が石を投げたときは狙って投げていて、逆にトジュンは適当に投げた石がたまたまアジョンに当たったというのが言葉で説明されずとも分かります。この光の映像演出が本当に素晴らしいのです。わざわざ言葉に出さなくてもキャラクターの心情が伝わってくるような、細部までこだわり抜かれた映像に映画的な美しさを感じます。
緻密に練り上げられた無駄の無い脚本・こだわりぬかれたカメラワーク・キムヘジャやウォンビンなどの俳優陣の演技力・光と闇の映像演出。
どれをとっても素晴らしい。これがポン・ジュノ監督の作品の持ち味ですね。
決して万人受けするような明るく楽しい映画ではないので、人にオススメするのはちょっと躊躇うところもあります。ただ、間違いなく今の映画界を牽引していく監督の作品ですので、観ておいて損は無いと思います。オススメです!
母の偏執的な子に対する愛情を描いた韓国映画の傑作ですが、最愛の子という中国映画も、内容は異なりますが、同じ位の衝撃を受けました。まだ見てなかったらお勧めです。