ココ・シャネル(2008)のレビュー・感想・評価
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おばあちゃんの昔話形式。
2人の関係を匂わす程度でとんでもねえエロはなし。虫もグロもなし。
ちゃんとレビューや説明を確認してから借りれば良かったんだけど、レンタル店で暗そうな話ばっか借りたから、華やかそうなの1本借りとくか、とその場で決めたため、「シャネルの成功の秘訣的なのがわかるか?」くらいしか考えておらず。
内容はほとんど恋愛もので、特にビジネスに役立ちそうな内容はないです(それを期待して見る人も少ないだろうけど)。
いやでも、「ジャケットの裾裏にチェーンを縫い付けて重みを出すことで形を保つ」ってのは凄いアイデアだなあ。…みたいな関心するネタはちょくちょくあるけど、全体としては技術があれば、最終的には気合と根性ですみたいな話。
シャネルの若い頃というと戦時中の話なので、よくよく考えたらそりゃそうなんだけど、「華やかな服がいっぱい出てきて視覚的にも美しくて…」って感じでもなく。
ストーリーも、シャネルがいかに成長してきたかに重きを置いてるので、結構悲しい場面が多い。
シャネルは「凄い人」だったのではなく、「凄い人」でいなければ生きていけなかったということ。
リトル・ブラック・ドレスも名前だけは知ってるけど、何故生まれたのかとか、どんな物かまでは知らなかったなあ。チラホラと名前を聞くことはあっても、よく知りはしない…って人も多いのでは。そういう人にもちゃんとわかる丁寧なストーリー構成になっています。
暗転の仕方とか、撮影の仕方とかから、映画というより金かけて撮ったTVドラマっぽい雰囲気を感じました。絵面は美しいんだけど、映画と言われるとちょいちょい安っぽさがあるというか。
ただ、キスシーンを撮るのが猛烈にヘタ〜!!
何が原因か知らないけど、全然美しくない。何がどうなったらああなる!?
今までキスシーンを「意識的に美しく撮ってる」なんて考えたことなかったけど、美しく撮ろうと思わないとこうなるんだと逆に勉強になった。ほんとどうした???
そういう意味でも、本作が映像芸術ではなく(色んな意味で)ドラマっぽく見える理由かも。
主演の の顔が、モロ気難しそうな年寄りって感じで良い。自分のプライドを捨てない職人肌と言うのか、まあ周りとうまくやってるとは言えないが、これはこれで憧れる。
これだけのセンスと実力がなければ、人生どっかで何かを捨てたり、譲りたくなくても譲らなきゃいけなくなることばかりだもんな。そして、それを努力で克服するわけでもなく、自分を貫く勇気もなく、仕方ないよな〜人生ってこんなものだよな〜と自分の怠惰と能力の低さを棚に上げる。胸が痛いわ〜。ひたすら反省させられる話。
作中でシャネルは『人間は成功でなく失敗で強くなる』と言っていますが、そもそも失敗する勇気もない。
彼女は成功したからこうして発言の場があるけども、失敗し続けた結果消えていく、発言権すらなかった人もごまんといるわけで、そう考えたらシャネルは運の良い方なのでは?と思ってしまいますが、その運がなぜシャネルに味方したかといえば、女の仕事=結婚までの腰掛けが当たり前の時代に「自分の名を冠した店を持つ」という大きく夢を見る力、全く無名にも関わらずチャンスさえあれば有名なデザイナーに自作の帽子を見せに行く行動力があったから。
まさに大胆不敵で自分の実力を必要以上に疑わない、成功者の鑑。
エミリエンヌが出てきた時はイヤーな奴なんだけど、実際は世渡り上手で、かなり冷めた目で世間を見ている。最初はほんとにただ嫌味なんだけど(笑)、夢見がちで無鉄砲なシャネルに忠告してくれてるんですよね。気が強く、才能も美しさもあるのに、男性優位社会でそれらの活かし方も知らず、世渡りも見るからに下手。このままシャネルが潰されていく未来がエミリエンヌには見えたんだろうな。
ラストでシャネルが、相変わらず偏屈そうな顔で、唇を引き結んだままウインクするのがいいね。
全然思ってたのと違ったし、好みの映画ではないけど、これはこれでという感じ。ファッション系の映画は全然見たことなかったので、みんな華やかなのかと思ってたけど、こういう人間ドラマも当然あるよな。
こういうファッション系の映画に詳しくないが、他の一流ブランドの創設者を主人公とした作品も色々あるんだろうから、そちらもちょっと見てみたくなりました。確かハイヒールが有名なブランドのこういう映画もなかったっけ?
しかしできれば、次回はもうちょっと華やかな映画を見たいかな、とは思いました。
シャネルの店舗へ思わず足を運びたくなる作品
孤児院で育ち、才能と努力で20世紀を代表するデザイナーへと成長した主人公の軌跡や、ブランクを経て再び返り咲いたその力強い姿に、勇気をもらう人も多いはず。シャネルというブランドを知らない方も、もちろん男性にも響く作品だと思います。
女性の自立が難しかった時代にブランドを確立した起業家の強さ
シャネルのブランドの成り立ちに興味があり視聴。
ココシャネルの生き方は、さまざまな本を読み知っていたものの、
やはり壮絶な時代に生き抜いた強さが印象的だった。
女性が帽子や服を作ることなどあり得ない、ブラックやスマートな衣装を身につけることがあり得なかった時代に、スタイルそのものを提唱したココシャネルはやはりすごい。
ブランドなど0から1を作る人や新たな価値観を提唱する人の情熱には敵わない。
男は女を傷つける。でも男は女のパトロンにもなれる。
「クロワッサンで朝食を」でジャンヌ・モローが着ていたのは全部彼女の私物のCHANEL。
・・気丈だが恋多きジャンヌの あの“男好きでありながら男に感溺しない自由さ”を CHANELを着こなしながら彼女は存分に生きていた。
あの「クロワッサン~」を観て以来、僕はココ・シャネルの人となりとそのオートクチュールに俄然興味津々で、やっと今作で夢を叶えることができたわけです。
街に生き、街で働く女自身のためのCHANELのスーツ。なるほどなぁ、男に媚びを売らないから、そこんところに心くすぐられる男にとってはあれはたまらない魅力になってしまうわけだ。
エチエンヌしかり、ボーイしかり。
年を重ねてもみずみずしい光を放つココの目。こまっしゃくれた睫毛。そして絶品のあの眉の動き。片腕のマルクを押しきって成功させた頑固女のショーは、泣けます。
シャーリーマクレーンの面白さはね、けして顔を崩して笑わないところ。かといって表情が硬いのかと言うとそれもギリギリ違う。「アパートの鍵貸します」の娘時代と同じに僅かに目を細めて鼻で ふふ と笑うんだなぁ。たまらん。
それにしても女の夢と、仕事&恋の道行きは永遠のテーマだと思う。
でもね、男にとっても全くそれは同じ。男も自分の夢と仕事と恋(結婚)の両立は不可能なんです。300%という人生はない。人は100%の生き方しか出来ない。だから男だってものすごい軋轢・葛藤があるんですよ、あまり口にはしないけれどね。
せめては愛する女性に夢を掴んで幸せになってもらいたい!と願う男心が「パトロン」の存在となるのです。
+ +
僕の妻になったひとも初めてその姿を見たときにいいスーツを身に着けていました。濃桜色で見えるか見えないかの細い金糸のチェックが入った中厚のツイード。アクセサリーはパールのイヤリングだけ。
いろいろを叶えてあげられず、そしてパトロンにもなれなかった残念な僕ですが、あのスーツを颯爽と着こなしていた彼女ならきっと必ず何処かで元気にしているはずですね。
シャネル役の演技
若い時のシャネル役、バルボラ・バブローヴァの演技よかった。
表面にはあまり出さないシャネルの感情。
出すけど出し切らない感じの表現がうまかった。
タバコを吸い始めてからも吸うタイミングとかかっこよかったなー。
晩年のシャネル役は、シャーリー・マクレーン。
これも良かった。
凛として芯があって強い意志があるように見える佇まい、表情。
役にしっかり入ってる感じがした。
泣きそうになるところ、泣いてしまうところ、自然に観てしまってるけど、上手いな〜〜。
シャネルの泣き方だったと思うし。
思いついたように吸う、タバコの吸い方が、若い時のシャネルと同じで、違和感がなかった。
ストーリーは、特に劇的なことはそんなに起こらないけど、ガブリエル・シャネルという1人の少女が強く生きて、世界中に今でも知られるココ・シャネルになるまでが、人間の人生としてはとても劇的だった。そこに興味がわいたのだと思う。
ココシャネルの精神、かっこいい。
どんな場所からでも這い上がれることを教えてくれた。
シャネルって聞くと華やかでお金持ちの世界を想像してましたが、
この映画を見て、彼女がどんな壮絶な人生を送ってきたかを知り、その生き方にとても感動し感銘を受けました。
シャネルがいまだ世界中で多くの人々に愛され続けている理由がわかった気がしました。
今とは全く違う時代背景の中で、女性のための服を作り続けた彼女の勇気や、
『自立』することに強い意思をもち挑戦し続けた彼女の人生を見て、同じ女性として
「あぁ、私も小さなことでグズグズ言ってないで、がむしゃらにがんばってみよう。どこからでも這い上がってやろう。」
と勇気をもらいました。
本当に感動しました。また観たいです。
波乱万丈を乗り越えて確立されるブランド
総合:70点
ストーリー: 70
キャスト: 75
演出: 70
ビジュアル: 75
音楽: 70
今でこそ世界的な名声を勝ち得た今のシャネルだが、その華やかな印象とは全く異なるシャネル個人の挫折の日々と波乱万丈の人生が描かれていて楽しめた。
親を亡くし捨てられた少女時代。人々に理解されず、生まれや教育や地位で差別され阻害される若き日。店を立ち上げても赤字だらけで催促に追われるだけの毎日。次第にデザインが認知されはじめても、出自や斬新さゆえに批判や陰口がつきまとう息苦しさ。会社が大きくなった後もコレクションが時代遅れと酷評され、育てた会社を手放さなければならないかもしれないという重圧。ファッションの世界は極めて厳しい重圧とストレスにさらされ続けるというが、シャネルですらブランドが確立される前にはまたは確立された後でも、このような経験をいくつも乗り越えてきて現在があるのだという描き方が良かった。
また既存の価値観に飽き足らず、女性の動きやすさを考慮した合理的なデザインを提案しつつも、古い価値観から離れた新しいエレガンスを取り入れる。それに反発する頭の固い人がいるのは世の常だが、それに負けることなく自分を貫いていく姿がまさにファッション界の革新者であり、それが見ていて心地よかった。
伝記映画といえども比較的シャネルは良い立場で描かれており、その意味では真実性は高くないのかもしれない。例えば戦争中にドイツ軍人と恋愛関係だったために戦後批判的に見られたというのが現実にはあったようだが、そのような部分に触れられることはない。しかしファッション界に残した彼女の足跡をさっと見るにはいい映画だと思った。
シャネルの原型
シャネルに対する見識を新たにした
シャネル・ブランドについてはあまり興味がない。マリリン・モンローの名言「寝るときに身につけるのはシャネルの5番だけよ」で知っているぐらいだ。あとは、似合わないオバさんが全身シャネルだったり、品のない姉ちゃんがロゴ入りのバッグやベルトをしているという、どちらかというと、いい印象ではなかった。
だが、この作品を観て、ココという名前がついたいきさつから始まり、ファッション界で時代を作ってきた(強調:リードしてきたのではなく作ってきた)シャネルの斬新性とパワーが感じ取れる。それは、女性蔑視の時代のなか、もがき苦しみながら這い上がってきた、ひとりの女性の物語でもある。シャネル・ブランドに対する見識を新たにした。
シャーリー・マクレーンの一枚看板だが、この作品、日本では無名のバルボラ・ボブローヴァが主役だ。徐々に、マクレーン演じる晩年のココに似ていく。
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