「アナログ世代なもんですから。」サマーウォーズ ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
アナログ世代なもんですから。
友人の強い薦めで観に行ったのだが、これは大正解!
久々に胸躍るアニメを観させてもらい高揚感に包まれた。
大変申し訳ないが、いくら「時をかける少女」の細田守とて
予告を観ても、まるきり食指が動かない作品だったのだ。
…それが。^^;
これだから先入観とは恐ろしい。まず勇気を出さねば(爆)
デジタル世代とアナログ世代を対峙させるのかと思えば、
見事に融合させてくる。方やコンピュータ、方や黒電話。
(今やサザエさんちだけだろと思った)
昔懐かしい風景に大家族、花札でのこいこい遊びなど^^;
中年以降も大いに楽しめる面白い作りだ。その大仰さから
テーマが崩れるかと思いきや、〆は戦いだ!と進んで、
さらなる大合戦が幕を開ける。次から次へと幕間を抜って
物語が闊歩していく心地良さ。この独創性と広い間口から
世界を観る力は、確かに「今」のジブリを超えている。
映像はもとより、なにしろ話の面白さに感嘆してしまった。
仮想都市OZ(オズ)が浸透する近未来に生きている人々。
高校生・健二が体験するその夏は、憧れの夏希先輩が
持ちかけたバイトという名目で、長野の田舎で幕を開ける。
この健二、圧倒的な数学的頭脳の持ち主であるのだが、
自身は核家族、人付合いは当然ニガテな現代っ子である。
それがいきなり「陣内(じんのうち)家」の未来の婿!?と
して30名ほどの厄介な親戚一同に取囲まれ洗礼を受ける^^;
一族を束ねる曾祖母の栄は、なぜか一目で健二を気入り、
そののち陣内家を守るだろう彼の能力を見抜くのだが…。
仮想都市OZの世界は今後の世の中を観ているようである。
便利な一面、一片を取り込みウィルスを蔓延させてしまえば
あっという間に世界は滅びてしまう。こんなものに頼っている
人間がバカバカしいと改めて思いつつ、いや、そうでなくても
戦争はこうして引き起こされてきたのかもしれないと思える。
確かに圧倒的なデジタル頭脳が有利だと思えるところだが、
いやいや(爆)アナログ陣営もまだ負けてなどいないのだよ~。
…とまぁ、見どころ満載^^;
ややゲーム的な構成が目立つが、デジタル&アナログ勢の
一致団結SF冒険活劇。という感じで、老いも若きも楽しめる。
描かれる世界のあり得なさとは裏腹に、
経験する出逢い、別れのリアルさには涙するシーンも多い。
昔懐かしい風景と人情のやり取り、他人を思い遣る気持ち、
「便利な世の中ですが、何か忘れちゃございませんかね?」
と問いかける、戦争というよりも心の洗浄作品かもしれない。
(声優を務めた俳優陣営にも拍手~。冬の陣もあるのかな^^;)