「エッセイ原作映画は、出来事よりも人物をイジる位が丁度いい。」南極料理人 ソビエト蓮舫さんの映画レビュー(感想・評価)
エッセイ原作映画は、出来事よりも人物をイジる位が丁度いい。
エッセイ、体験記、冒険記のような原作の映画化は、
漫画原作や小説原作に比べ、
劇的なストーリー展開はあまり期待できないが、
だからといって話を脚色しすぎると、不評を買うことが多いと思う。
自分が最近見た中でいえば「はい、泳げません」って映画は、
まさにそれで、前半部分はとんでもなく良かったのに、
オリジナルの脚色された後半は、とんでもなくなんだそれって内容だった。
今作は、あまり脚色されてないように思う。だから良かった。
望んだわけではない南極観測団への遠征。
主人公はひたすら団員の料理を作るだけ。
物語としては確かに味気ない展開なのだが、
なにせ舞台設定が南極という極端な設定地域。
大半の日本人が生涯かけて行くことのない不毛の地。
だからこそ、原作は読みごたえがあるのだろうし、興味津々になる。
だって、知らないんだから、南極のことなんて。
この手のお話は、出来事を追加脚色してイジるよりも、
イジるのなら、登場人物になるのだろう。
キャラを膨らますか、誇張するか。
そしてこの映画は、出来事は大した事件は起きなかったが、
登場人物が面白かった。イジったかどうか、定かではない位で丁度よかった。
みんな何かしらの事情を抱えての遠征で、
そこの人間模様だけでお腹いっぱいになった。
一番好きなキャラは、隊長役のきたろう。
隊長のくせに、どこか頼りなく、危うく、イマイチ信用しきれない。
でも、可愛い(笑)
(*´з`)
きたろうは、先日の「あちこちオードリー」でも、
シティボーイズのゲスト回で登場し、神回認定されていたけれど、
あの3人組トリオは、大竹まことと斉木しげるの両者で揉めると、
必ずきたろうさんが斉木側について擁護するのだ。
2対1の構図で大竹がブチ切れる。
シティボーイズの中で、一番年長者なのに、
リーダーシップの欠片もないし、尊敬されてもいない。
でも、可愛い(笑)
最近は、呂律も回らなくなってきて、なおの事可愛さに拍車がかかっている。
子供のようなおじいちゃん。
もう1人、気になるキャラだったのは、
主任と呼ばれる役だった古舘寛治。
この俳優、喫茶店のマスターなんかが似合う、
ほのぼの系バイプレイヤーのパブリックイメージがあると思うが、
私が観察する限りでは、本質的にはかなり、
思想の偏った危ないオジサンだと思うのだ。
SNSなんかは結構、偏った思想を隠さず炎上寸前の発言をするし、
先日上映された「逃走」という映画では、
極左の主人公を演じたりしてる人で、
多分、私の妄想の限りでは、
そっち系の思想を、支持してるとまでは無論言わないが、
シンパシーぐらいは感じてるかもしれない人だと思われる。
なので、本質的には、ほのぼの系の役よりも、
今作でいう、集団行動を逸脱するような、反権威反権力的な、
言う事を素直に聞かないオジサン役が、
パブリックイメージの割に、やけに上手いのだ。
あくまで、独断と偏見の観察結果だが。
そういう個性的な面々で、退屈極まりない南極生活で箱詰めにされ、
だんだん人間のクセが強くなっていくさまが、とても面白かった。
とんでもない事は起きなかったけど、些細なトラブルはたまにある。
そんな生活から日本へ帰国し、家族と再会。
なんてことはないストーリーだったが、帰国シーンは感動した。
あと個人的には、子役時代の小野花梨ちゃんが、生意気キャラだけど可愛かった。
良かった演者
きたろう
古舘寛治
豊原功補
黒田大輔
小野花梨