「純粋な涙溢れる作品」HACHI 約束の犬 Ayakoさんの映画レビュー(感想・評価)
純粋な涙溢れる作品
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日本人であるならば誰もが知る忠犬ハチ公。
勿論、物語の悲しい結末も周知している。
その前提があるからか、序盤からエンディングまで続く、短調のピアノの美しい旋律が、悲しさを掻き立てる。嬉しいはずの飼い主との出会いや日常も、全てがいずれ思い出となる。そう思いながら物語は進んでいく。そして時折入る、モノクロームのハチ公目線の映像は一層その物悲しさを助長させる。
繰り返されるモノクローム映像から、様々な出来事はさして重要ではなくなり、ストレートにハチの目線に立ち、物語の中へグイグイと引き込まれて行く。
ハチが最期に見るモノクロームの映像達。思い出の日々が、涙となって溢れ出す。教授が駅舎から出てくるシーンは、カラー映像での回想。これにより、今、正にハチが旅立ったのだと知る事となり、悲しさと切なさのボルテージが一気に上がる。
様々演出で工夫を凝らし、シンプルなストーリーをとても丁寧に描いた素晴らしい作品だ。疲弊した日々に疲れた大人に、是非見てもらいたい。荒んだ心が洗われて、純粋無垢な気持ちが表れ、清々しい気持ちになれるであろう。
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