「拾つたいぬころで懐を温める (尾崎放哉風味で詠んでみた愚作)浪花節ってダメなの?」HACHI 約束の犬 野球十兵衛、さんの映画レビュー(感想・評価)
拾つたいぬころで懐を温める (尾崎放哉風味で詠んでみた愚作)浪花節ってダメなの?
どうしてもオリジナルと比べてしまうのはリメイクのさだめ。
概ねよかったのですが、気になる点もいくつかありました。
まず?だったのはそもそもハチはどうやって、はるばる遠い国までやって来たの?ってこと。
オープニングからずっと謎だった大切なことなのに、そのことの一切は触れられていなかったことが、まず不満。
ごく普通の手荷物扱いで運ばれてきただけだったから。あたかもそこに生き物などいなかったが如く。
パーカーが亡くなる日の朝、初めて黄色いボールを咥えて追かけたのは「それ持って戻ってこい!」を伝えていたんですよね。
ここ、あっさりと流しすぎたように思いました。ハチがもっとしぶとく食い下がるシーンがあってもよかったように思えて。
亡きご主人様の棺を、鳴きながら追いかけるシーンは、是非とも入れてほしかったなぁ。あそこ、一番泣けるところだったのに。
逆にパーカーと奥さんとのイチャイチャシーンは、あまりなかった方がよかったかな?くどい割には本筋に影響ないと思ったので。
雪が積るシーンばかりだったので、時の経過があまりよくわかりませんでした。
季節の移ろいを背景の木の葉で表現していたけれど、画面全体で見れば浮いていて、もうひとつ効いていなかったかな。
日本人の感性からすると、かなりあっさり風味に感じたんですよ。
『生きる LIVING』の時にも同様のことを思いました。
「これでもか!」と情に訴えかける浪花節は、世界基準じゃ受け入れられない感性なのかな?
その割には、いくら気候の悪いイギリスとは言え曇天のシーンばかりが目立って、陰気だったし。
オリジナルでもそう考えたのですが、ハチはご主人様の死去を理解していたはずなんですよ。
でも「帰りを待つ」ことを止めたら、そこで心が“ポキ”っと折れていたと思うんですよ。
ハチにとって待つことは、すなわち「自分が生きるため」だったように思いました。
そんなハチも老いには勝てず。雪の降る中、幸せだった日々を走馬灯に描きながら静かに命尽きるシーンはオリジナル共々泣かされてしまいます( ͒ ́ඉ .̫ ඉ ̀ ͒)
私にも、流せる涙がまだあったんだ。
ところでパーカーの寿命を縮めた一番の原因って、やっぱりあのスカンクの悪臭?「スカンクが放つ分泌物は高濃度の場合、人命に関わることもある」って書かれていたもの。至近距離からモロに浴びていたでしょ。
オリジナルの秀次郎もそうだったけれど、その死があまりにも原因不明、かつ、唐突すぎたもの。軽く一言で説明くらいしろし。
ハチ目線の風景にも?(。´・ω・)???っとなって。余計なこととは思いながらも、またもや調べてしまいました。
犬の視力って人間換算で、だいたい0.2~0.3くらいらしいです。色覚も劣っていて赤や緑は識別できないそうです。瞳にぼんやりと映るのは青と黄色と明暗のモノクローム映像らしくて(作中では、完全に白黒ではっきりと赤色も映っていましたけれど。書かれてることと違うやん)。多分、それを再現したのでしょうね。
私、知り合いに犬はいないので、白黒と赤色の件はどこまで本当だかわからないんですが。
リチャード・ギアって『Shall We Dance?』でも主演を務めていらっしゃったじゃないですか。
日本発祥作品と縁のある俳優さんなのかな?思い出したタイトルなので、日米合戦をまた観直してみようかな。
とか書いたら、またお隣さんが「ちがうニダ!HACHIもDanceも我が国が起源ニダ!」とかややこしいこと言い出しそう。←ややこしくさせるようなこと書くなし!
本来だったら、★もう半個上の評価だったのですが、オリジナルを★4としてしまったために、この評価となってしまいました。
野球十兵衛さん、初めまして。独りよがりのレビューにたくさん共感いただきありがとうございました。こうして見ると日本で言う「ド昭和」の作品ばかりですね。この時代の作品が最もパワフルだった気がするなぁ。もっともっと良い作品に出合いたいです。これからも宜しくお願いします。