「"あの時"の興奮が甦る」チョコレート・ファイター 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)
"あの時"の興奮が甦る
全てのアクション映画ファン必見!
特に1970年代にブルース・リーに熱狂した人達には、「またあの興奮が蘇るぞ!」と言いたい。
だって最初の格闘シーンは丸々『ドラゴン危機一発』じゃないか。
映画は必要最低限の映像のみ撮され、それらに関する説明は一切しない。
従って観客側は与えられた映像を脳内で反復させながら理解して行く。
とは言っても全く難解な映画では無い。寧ろ分かり易い位に分かり易い。
それどころか、時折苦笑してしまう箇所は度々訪れる。
なぜか父親役の日本ヤクザには阿部寛が出演しているのですが、その為に日本描写にて外国映画が陥る“トンデモ”感はやはり否めない。
それでも数多くのアクション場面は素晴らしいの一言です。
おそらく多少はワイヤーアクションも使用してはいるのでしようが、殆どのアクション場面が、拳対拳。蹴り対蹴り。肉体対肉体…と。お互いの攻撃が届き合う範囲内のアクションに限定・展開されて行く為に、アクション自体に説得力が有るのが大きく。エンドクレジットでのNGカットを見れば解る様に、激しいアクションによって、多くの出演者達が頭から血を流しながらの撮影風景を見てしまうと感動を覚えずにはいられない。
それ位にラストのアクションシーンは心の中で拍手を送りながら観ていた。
そりや幾らでも貶す所は沢山有ります。
阿部寛が乗り込んで行く場面等は、「これって『キル・ビル』!」…なんて思ったり。「たかが5000じゃないか!」…ってセリフには、そりゃ逆だろ!と、突っ込んでしまったり。
タイだけにIKKOもどきのオカマ軍団や、木梨憲武もどきのカポエラ男。マーブルチョコレートの食べ方が楽しいし、蝿が苦手な設定も面白かったのだが、それらは途中から余り意味をなさなくなってしまっていたり…と。後から考えてしまうと「何だったの?」的な場面は確かに多い。
しかしこの作品には、そんな風評をも覆すだけのパワーに溢れている。
何よりもこの作品を推薦するにあたり、ある有名な人が語ったこの言葉で締め括りたい…。
“考がえるな、感じろ!”
(2009年5月24日新宿ピカデリー/スクリーン5)