「この映画が訴えていること.....もう一度考えて欲しい.....」沈まぬ太陽 51ですさんの映画レビュー(感想・評価)
この映画が訴えていること.....もう一度考えて欲しい.....
山崎豊子原作のフィクション小説ですが、誰がなんと言おうと今経営破綻が騒がれている航空会社をモデルにしており、現状のゴタゴタを見るに真実の物語なんだなという感覚に落ちいる......。
10年ほど前に企画されたが方々の圧力により頓挫し、その後も何度も映画化の話を立ち上げたが立ち消えになっていたようである。
もし、10年前に映画化されていれば、今の経営破綻は免れたかもしれないと思うほど、現状のゴタゴタが尾を引いていることが分る。それほど、酷い会社に描かれています。
劣悪な労働環境改善のため労働組合委員長として会社と真正直に戦った恩地元(渡辺 謙)は、一番会社の将来、安全安心な航空会社を思い尽力するも、先の組合活動の制裁として露骨なる懲罰人事にてその後、転々と僻地勤務に長年飛ばされるという酷い仕打ちを受ける......一緒に行動した仲間たちもそれぞれ酷い人事異動を言い渡されている......そして、会社のいいなりとなる労働組合設立を含め今問題になっている4つもの労働組合があるという変テコな会社に......。
御巣鷹山の大惨事でも遺族に対して全く人ごとのような酷い対応......真摯に補償問題を考えなければならない中、就航した国には必ず当社経営のホテルがあるべきと多額のホテル投資を行い、ドル買いによる無茶くちゃな資金運用......そこにたむろする利権構造が見ていて痛々しい!
高級官僚や政治家と業界の癒着も酷いもので、事故を契機に建て直しを計るため総理大臣は、関西紡績での労務対策の実績のある国見正之(石坂浩二)を強引に会長職として引っ張ってくるが、都合が悪くなると会長辞任を迫りポイ捨てへ......まるで、日本郵政の西川社長を引っ張ってきて、政権が変わったら辞任に追いやった件に良く似ている....。
こんな会社に公的資金を注入して助けている場合ではないと、つくづく思うような内容でした.......。
さすがに3時間22分の上映は長い.....でもその分、得した気分にもなります!.....途中の10分休憩もありますが、特に女子トイレは長蛇の列になる可能性があるので水分は控えめに.....。
いい映画でした.....。