劇場公開日 2009年6月6日

「TVシリーズより、リアリティに欠ける。良いテーマだけに残念。」ハゲタカ 勝手な評論家さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0TVシリーズより、リアリティに欠ける。良いテーマだけに残念。

2009年6月6日
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鑑賞方法:映画館

NHKの人気テレビドラマ「ハゲタカ」の映画化。TVシリーズの4年後と言う設定。2008年9月のリーマン・ショックの要素もストーリーに取り入れるため、当初予定の2009年5月公開よりも遅れての公開となった。アカマ自動車はホンダ、スタンリー・ブラザースはリーマン・ブラザースと言う設定と思われます。

今回の映画化に辺り、TVシリーズ時のレギュラー陣が再結集しましたが、うーん、どうなんでしょうか。TVシリーズの時は、物凄くシリアスでリアリティに富んでいましたが、今回は、映画と言う事もある為か、すこしドラマ要素を盛り込み過ぎでは無いかと思います。この「ハゲタカ」の良い所は、シリアスなリアリティなんですけどねぇ。

まず、大森南朋が演じる鷲津。鷲津は、TVシリーズの時は、過去の苦悩を裏に秘めながらも、利益の追求に徹する冷徹なファンドマネージャーですが、今回の映画では冷徹に利益のみを追求する部分は影を潜め、実は熱い人間だと言う事が見え隠れしています。TVシリーズ終盤でその伏線はありましたし、これは、玉山鉄二が演じた劉一華との対比上仕方ないキャラ付けなのかもしれませんが・・・。あんまり冷徹すぎるのも、どうかと言う話もあると思うので、こう言うキャラ付けは仕方ないのかもしれませんね。って言うか、劉一華も、実は熱い人間だと言うオチまで付いていたりしたりします。

それと、「ハゲタカ」のもう一人の主人公である、柴田恭兵が演じる芝野。彼が今回、あまり生きないんですよねぇ。元祖ハゲタカと赤いハゲタカの対決と言う物語の構図上、芝野の役割が脇役的位置になるのは仕方ないのかもしれませんが、この「ハゲタカ」の本来のバックボーンを損ねた気がしてなりません。この柴田恭兵が、「あぶ刑事」で、あの軽~いキャラを演じていたのかと思うと、何とも不思議な気がしました。

TVシリーズのレギュラー陣再結集と言うことなので、松田龍平も今回出演しているんですが、今回の彼の役回りは、ちょっと残念ですねぇ。って言うか、必然性が無いですよね? 全然、彼が生きていませんでした。

と、基本的にかなり辛口基調の映画評となってしまいましたが、TVシリーズの印象が強かっただけに、仕方ないですかねぇ。リーマン・ショックとか、派遣切りとか、今の時代をリアルに反映していただけに、深堀が無くて残念です。

勝手な評論家