「荒波を越えていく羅針盤」ハゲタカ eichanさんの映画レビュー(感想・評価)
荒波を越えていく羅針盤
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NHKで放送されたドラマシリーズとはまた一味違って、劇場公開用として商業ベースに乗せたせいか、エンターテインメント性の強い味のある経済ドラマに仕上がっている。2009年公開の映画だが、今からちょうど10年前のこの頃には既に今の中国の覇権志向や先進国からの技術や知的財産の盗用の発端がこの映画からも伺える。赤間自動車の買収を巡る攻防は、結局資金・策略・頭脳戦で優った鷲津ファンドに軍配が上がった。これらの要素はまた経済界における勝者の必須条件でもあろう。しかし一般の人々がこれらの要素を全て持ち合わせているとは限らない。キーワードは芝野が発した「日本人の勤勉さと誠実さを誇りにしている」というセリフにあろう。勤勉さと誠実さとなら本人さえ望めば誰でも持ち得る。むしろ人はこの2つをこそ人生の指針とすべきだろう。そしてそれこそが、この映画が観衆に本当に伝えたいメッセージなのかもしれない。勤勉さと誠実さこそ、どんな時代の荒波も越えていく羅針盤である。
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