イレイザーヘッドのレビュー・感想・評価
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狂った映画監督の映画
キてるキてる。頭が狂ってますねぇ!
徹頭徹尾イカれた映画だと思いました。精神病を発病せずにギリギリ踏みとどまっているサイコジーニアスのエッセンスが濃度200%詰まった、リンチそのものといった雰囲気の作品ですね。
『マルホランド・ドライブ』でも感じたのですが、ギャグが面白いんですよね。リンチ流キ印ユーモアが個人的にとにかくツボで、全編ニヤニヤしながら観ました。
オープニングのヘンリーの口から根本敬が描くような精子がニュルーンと飛び出したり、嫁一家が全員狂ってたりとキャッチーなところから、ヘンリーの顔芸までとにかく笑えました。BGMが不安を煽るような不気味さがあって、それがまたギャグに思えるんですよね。タメ演出の多用も含めて、とにかくやりすぎ感が可笑しくてしょうがなかった。観客がシーンと観ていたため、ゲラゲラ笑えなかったのですが、小声でブツブツとツッコミを入れながら鑑賞しましたね〜。
中盤の訳わかんない展開も最高としか言えませんね。何あの地獄のマリリン・モンローみたいなヤツ。よくあんなの思いつくな。その後に頭がフッ飛んで、本当にイレイザーヘッドになったり、死ぬかと思いました。何が合格だよ!あの展開は好きすぎる。
そしてあの超キモい嬰児がヤバヤバで、ほんとモノクロで助かりました。あれがカラーだったらグロすぎて観てらんないですよ。wikiを読んだら、どうやって動かしているか、リンチは絶対にネタばらししないため、現在でも謎とのこと。これも絶対ギャグだよなぁ。
あと、意外とヘンリーの部屋もうっすらキモいですね。ベッド横に、盛り土の上に枯れ木を刺したような絶望的なオブジェがあったり、どこを見てもブラックな笑いがハンパないです。
本作はリンチが若くして父親になり、その恐怖を描いたものらしいです。
それでもヘンリーはなんだかんだと子育て頑張ってましたね。キモベイビーが病気になった時に蒸気を当てたり、意外とイクメンなヘンリー。でも頑張りきれないんですよね。そう考えると、虐待してしまう親は、子どもがあんな風に見えてしまい、頑張るものの愛すに愛せず、最終的に…みたいなプロセスを経るパターンもありそうだなぁと思います。
まぁ、よくこんなキてる映画を5年もかけて撮りましたねぇ。病的な執念がないと難しいでしょうし、発病しないように踏ん張るには映画を作り続ける必要があったのかもしれません。
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