イレイザーヘッドのレビュー・感想・評価
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とてもよかった
リンチの伝記本『夢見る部屋』を読んでいたらこの映画を作る時期に至り、何年も掛けて低予算で、しかし丁寧にしっかりと作って完成させたことを知る。以前にレンタルビデオで見たきりで、その時は眠くなってけっこう苦痛であった。
製作の背景を知ったうえで一つ一つの場面を味わうように見ると、全然眠くならず一気に見終えたので驚いた。一貫した因果関係のストーリーがあって、しかも面白い。改めて映像のイマジネーションが素晴らしい。
フィルムの現像では黒さにこだわったと伝記本にあり、確かに黒い。
気持ち悪い赤ん坊が、確かに気持ち悪いのだけど、彼は彼で懸命に生きようとしていてあんなふうに死んでしまうのは胸が痛む。
以前に見た時は、二度と見ないだろうと思っていたがまた見たい。リバイバル上映が東京ではやっているようで、見てみたい。新潟にも来て欲しい。
これぞカルト映画!鬼才デヴィッド・リンチ長編デビュー作! 男性の育児に対する考えを映像化するとこうなった?
男性の子育ての恐怖を完全映像化!???
異形の赤ん坊は、「デューン砂の惑星」航宙士の乳児時代なのか?
あの容貌でも赤子として泣く姿は、慣れるとなぜか可愛く見えて…こない!
キモかわいいの限度を超えて普通に気持ち悪い。
病気にかかった姿がさらにすさまじい。
笑えるという人も要ると思いますが。
男は苦悩しすぎて、頭が取れてしまい、外れた後には赤ん坊と同じ頭が生えてくる。
取れた頭部から消しゴムが出来て、これが本当の「イレイザーヘッド」。
おあとがよろしいようで。
だから育児は女性だけに丸投げして、自分は別の女性の歌を聴いて癒されるなんていうのは、あまりに古い昭和の考え方です。
狂った映画監督の映画
キてるキてる。頭が狂ってますねぇ!
徹頭徹尾イカれた映画だと思いました。精神病を発病せずにギリギリ踏みとどまっているサイコジーニアスのエッセンスが濃度200%詰まった、リンチそのものといった雰囲気の作品ですね。
『マルホランド・ドライブ』でも感じたのですが、ギャグが面白いんですよね。リンチ流キ印ユーモアが個人的にとにかくツボで、全編ニヤニヤしながら観ました。
オープニングのヘンリーの口から根本敬が描くような精子がニュルーンと飛び出したり、嫁一家が全員狂ってたりとキャッチーなところから、ヘンリーの顔芸までとにかく笑えました。BGMが不安を煽るような不気味さがあって、それがまたギャグに思えるんですよね。タメ演出の多用も含めて、とにかくやりすぎ感が可笑しくてしょうがなかった。観客がシーンと観ていたため、ゲラゲラ笑えなかったのですが、小声でブツブツとツッコミを入れながら鑑賞しましたね〜。
中盤の訳わかんない展開も最高としか言えませんね。何あの地獄のマリリン・モンローみたいなヤツ。よくあんなの思いつくな。その後に頭がフッ飛んで、本当にイレイザーヘッドになったり、死ぬかと思いました。何が合格だよ!あの展開は好きすぎる。
そしてあの超キモい嬰児がヤバヤバで、ほんとモノクロで助かりました。あれがカラーだったらグロすぎて観てらんないですよ。wikiを読んだら、どうやって動かしているか、リンチは絶対にネタばらししないため、現在でも謎とのこと。これも絶対ギャグだよなぁ。
あと、意外とヘンリーの部屋もうっすらキモいですね。ベッド横に、盛り土の上に枯れ木を刺したような絶望的なオブジェがあったり、どこを見てもブラックな笑いがハンパないです。
本作はリンチが若くして父親になり、その恐怖を描いたものらしいです。
それでもヘンリーはなんだかんだと子育て頑張ってましたね。キモベイビーが病気になった時に蒸気を当てたり、意外とイクメンなヘンリー。でも頑張りきれないんですよね。そう考えると、虐待してしまう親は、子どもがあんな風に見えてしまい、頑張るものの愛すに愛せず、最終的に…みたいなプロセスを経るパターンもありそうだなぁと思います。
まぁ、よくこんなキてる映画を5年もかけて撮りましたねぇ。病的な執念がないと難しいでしょうし、発病しないように踏ん張るには映画を作り続ける必要があったのかもしれません。
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