「小金と幸せ。」わたし出すわ ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
小金と幸せ。
久しぶりに、森田節がさく裂した作品だと思った。
相変らずテーブルを挟んだ演出の巧い人だと感じる。
そこで交わされるなんてことない台詞の一語一句が
ふざけているようで的を得ているのがとても不思議だ。
言葉にリズムがあるので、背景音楽も必要ない。
「金が人生を狂わす」ことを知っている人間でないと
こういう演出はできないんじゃないだろうか^^;
女神の様な顔の小雪が同級生たちに大金を差し出す。
普通受け取らないだろ!?と思うのに皆が受け取る^^;
中には生活に困って無心にくる者までいる。何なんだ?
…これって、いわゆるアレですね。
知り合いが有名人になると、全く知らない叔父さんとか、
訳の分からない親戚が増えて「お金をくれ~」っていう、
芸能人の楽屋話みたいな展開。でも面白い…^^;
その大金をどう使うかで、人生が分かれていくのだが、
それ自体に小雪はほとんど絡まないし口も出さない。
欲しいというから出してやった。あとはその人次第。
というわけなのだが、考えてみれば、元々貯めるのが
巧い人ならば、トーゼン自分で貯め始めているだろうし、
まぁそういうタイプは使い方も心得ていたりするので、
無心すればするほど「堕落する」人間を観ることになる。
対して、その大金を欲しがらない人間もいるのだが…^^;
後々まで観れば、冒頭のゴールドバー事件の真相も
分かるのだが、ここまでくると、彼女がなぜその大金を
彼らに差し出したのかはそれほど重要な観点でなくなる。
どんなに稼いでも儲かっても、大金=幸せ。ではないと
思う人間もいるということだ。本来はそれ以外の何かを
手に入れたいが、それはお金ではどうにもならないもの。
だったら使って下さいな、私に親切にしてくれた皆さんに
どうぞ…と、まさに「寄付」をするような感覚なんだろうか。
冒頭に幾つかの名言が提示されるが、そのとおりだった。
私は、金は天下の回りもの。だと思っているので、
生きるに困らない程度のお金があれば、多くは必要ない。
(あと映画館で映画を観られることが必須^^;)
今作でいえば小池栄子とか藤田弓子みたいに、
自分が幸せだと思えることは他人と比べる必要もないし、
小さな冷蔵庫も箱庭(この会は面白い)も小金で株買いも
なかなかいいじゃないか♪と思った。幸せなんだから。
結果。
小雪の行いが功を奏したのかどうかは分からないが、
彼女にある奇跡が起こる。善意って大切にしたいものだ。
(わたし出すわ。お茶とお菓子くらいなら。いかがかしら^^;)