劇場公開日 2009年10月31日

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わたし出すわ : 映画評論・批評

2009年10月27日更新

2009年10月31日より恵比寿ガーデンシネマ、新宿バルト9、銀座テアトルシネマほかにてロードショー

久々に時代の一歩先を行く森田芳光作品を証明

高校時代の友人に次々と大金を差し出していく、故郷に帰省した主人公・摩耶。なぜ、彼女はそんなことをするのか? 果たして、東京で何が起こったのか? そして、彼女は一体何者なのか? 函館を舞台に、物語はミステリアスに展開しながら、必要最低限の説明しかされず、脚本の行間は観客に委ねられていく。意味深かつインパクト大なタイトルはもちろん、近年の「椿三十郎」「サウスバウンド」に比べると、いかにも森田芳光監督らしい作品である。12年前のオリジナル脚本作「(ハル)」同様、人と人とのコミュニケーションを描いており、観賞後の清々しさも、どこか通ずるものがある。

だが、本作のテーマは「お金」そのもの。一歩間違えれば、生々しくイヤらしくなるところを、しっかりオトナのファンタジーに仕上げている。その成功の要因は、摩耶を演じる小雪に尽きる。女神に見えたかと思えば、魔女のような仕打ちも待ち受けている。まるで女版・喪黒福造のようなキャラだけに、これ以上のハマリ役はなく、北川景子の怪演も影を潜めるほどだ。ちなみに、「(ハル)」公開後、劇中で描かれたインターネットでの男女の出会いはあたりまえになったが、本作の製作後には、世界的経済破綻が起こり、改めてお金について考えることになった。そういう意味でも、久しぶりに時代の一歩先を行く森田作品を証明したといえるのではないだろうか。

(くれい響)

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