「最高の胸熱雷神ヒーロー映画」マイティ・ソー クリッターさんの映画レビュー(感想・評価)
最高の胸熱雷神ヒーロー映画
マーベル・シネマティック・ユニバース第4作目にしてマイティ・ソー1作目。
アベンジャーズ1作目を除いたフェイズ1の単独作では本作がダントツで一番好き。いや、マジで。
ストーリーはホント捻りがないってくらいシンプル。
でもこのシンプルさが自分にはかなり心地よく、個人的に本当に観てよかったと思える映画だ。
この物語の主役は実質二人。
ソーが表の主役ならロキは裏の主役なのである。
ソーはその傲慢な性格故に親父にハンマーを取り上げられ地球に追放、アメリカにあるニューメキシコに飛ばされ、ジェーン、ダーシー、セルヴィグと運命的な出会いを果たす。
アホな食欲と猪突猛進ぶりで何も考えなしのおバカ全開だけど、どう見たって親近感たっぷりの近所のいい兄ちゃんっぷりを発揮する彼がハンマーを取り戻そうと突き進み、ハンマーを目の前にして柄に手を伸ばした瞬間、物語は大きく動くのかと思えば、そう簡単には進まないのがこの映画の肝。
そう彼は序盤こそ無敵のパワーで氷の巨人たちを一網打尽にするが、この時点で力こそ正義と思って疑わなかった彼はまだ「スーパーヒーロー」には程遠い人物だったのだ。
ここはさらっとしてるがかなり重要なポイントなのである。
だからこそムニョムニョは彼を拒絶し、一瞬の内に絶望の淵に立たせる。
親父に言われたように「お前は相応しくない」と。
絶望するソーの何と哀愁漂う姿よ。
あのシーンを思い出すとグッときちまう。
その後ジェーン達との関わりあいを通して、自分に何が足りなかったか、何が問題だったのかを、学んでいく。
自分の存在を誇示するために力があるのではない。
過ちを認め、弱き者を労り、大事な物を守ろうとするその「高潔」な精神に力は手を貸してくれるのだ。
「相応しき物のみがこのハンマーのパワーを授かる」
その意味を知った時、ムニョムニョは瀕死のソーの手に戻り、「スーパーヒーロー」となって復活する。
カァァァァァァァ!!!!
ベッタベタながらもなんて熱い展開だ!!
これだからヒーロー物はやめられん!!
ロキにもロキの物語がしっかりとある。
なぜソーばかりもてはやされ、自分はチャンスをもらえないのか、答えは単純明快ながらも自身にとっては残酷なものだった。
自分は氷の巨人ラウフェイの息子であり、アスガルドとヨトゥンヘイムの平和を繋ぐただの道具でしかなかったから。
だからこそロキはソーを一層妬み、自らの力を証明せんとあの手この手で世界を掌握しようとする。
「王になりたいんじゃない!!あんたと対等になりたかっただけだ!!」
カァァァァァァ!!!!
なんつう悲しい台詞よ。
そりゃこんな大事なこと隠してたら神じゃなくても誰だってグレるぜ、オーディンさんよ!!
ソーとロキのこの確執が、ニューヨーク大決戦にまで発展したとなると地球人からしたら何ともはた迷惑な兄弟ではあるがw。
もちろんアベンジャーズのリンクネタも忘れちゃいかん。
最後のシーンにはキーアイテム四次元キューブが、ホークアイは中盤辺りで申し訳程度にちょこっと登場、セルヴィグが「ガンマ線研究者」(ファンなら言わなくても分かるだろう)と言ったり、デストロイアーと対面した際の「スタークのマシンか?」、「いや、トニーには何も聞いてない。」
もはや台詞だけでニヤニヤしてくる。
ラストのビフレストが破壊され、音楽も相まってジェーンが置き去りにされるあの悲壮感溢れるシーン、ヘイムダルが放つ「あなたを探しています。」
この映画を観て以来、すっかりソーの大ファンになってしまった。
ありがとうギルデロイ・ロックハート(ケネス・ブラナー)。
いや〜映画ってやっぱりいいもんですねぇ…。
(どうでもいいが、海外で役もらえてよかったな、浅野さん)