「邦画としては頑張ったが、設定・脚本・演出に問題あり」アマルフィ 女神の報酬 CAMAさんの映画レビュー(感想・評価)
邦画としては頑張ったが、設定・脚本・演出に問題あり
三連休の最終日、僕としては珍しく封切られたばかりの邦画「アマルフィ」を見てきた。テレビのプロモーションで散々「いい!」と言われていたので、僕の好きなイタリアが舞台ということもあるし、たまには騙されたと思って見てみようかという気になったというわけ。この日は近所のシネコンが1000円ということもあって、20:10からのほぼレイトショーという回だったのに、客席はかなり満席に近い状態。映画も1000円ならこれだけ集客できるのになあ、と思った次第。何にせよ、邦画でこれだけ集客できるのはすごいんじゃないか。
で、いよいよ本編スタート。最初のうちはローマを舞台に、あちこち有名な観光地を走り回る。まああれですな。ダヴィンチコードでやったパリの街のローマ版ってところ。しかしまあよくイタリアやローマ市が協力してくれたなあ。その点はお見事。最近イタリアも日本人観光客減ってるらしいし、観光PRってとこですかね。
しかし、地理的設定に無茶ありすぎ。テルミニからサンタンジェロまでどうやっても15分じゃ着かないし、そこからスペイン広場までも20分じゃまず無理。ローマの街中は交通規制だらけだし、バスじゃ絶対そんなに早く移動できません! あとスペイン広場の上の道路はそんなに高速で車が通ったりしません! もちろんサンタンジェロ城内にもジプシーはいません! とまあ、突っ込みどころ多すぎで、なんか気がそがれてきてしまった。無理矢理ローマ市内を見せてる感じがありありとする。コロッセオが窓から見えるホテルなんてそうそうないし、なんかウソっぽいなあと。肝心のアマルフィのほうも、話的にほとんど脈絡ないし、これも観光PRじゃないのかと思えてきてしまう。
演出も、俳優の演技が悪いワケじゃないんだけど、カメラワーク(意味なく俳優アップめのカット多い)とか演技の演出(抑えめな演技はいいけど少し抑えすぎな気も)とか音楽(テーマ曲の使用方法が今ひとつ)とか編集(いきなりのカットアウト多用)とか、すべてなんとなく中途半端で、最後のほうにサラ・ブライトマンが「Time to say Goodbye」を歌うあたりなんか、もうやめて~って感じ。これも客引きなのかもしれないけど、なんで今この曲?って気がするし、イタリアだったらボチェッリじゃないか?とか、まあいろいろ考え出すと、もう気が散って仕方がない。
しまいにゃ、ストーリーが突拍子もない方向に流れて、あらあらそんな不確実な犯行??みたいな。とにかく、全てにおいて???な映画でした。まあフジテレビが作る娯楽作品なんてこんなもんかな。ロケだけは金かけたみたいだけど、国内が舞台でも、この話ならなんの問題もなく撮れたんじゃないかと思わないでもない。まあ織田裕二主演で新しいシリーズを作りたいって魂胆見え見えなんで、どうせまたやるんだろうけど、やっぱりスケール小さいっていうか何というか。
邦画の海外物アクションとしては頑張ったと思うけど、脚本がやっぱりよくない。演出ももう少し考えたほうがいいような気がします。