「物語は単調だが、服に纏わるエピソードは面白い。」ココ・アヴァン・シャネル 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
物語は単調だが、服に纏わるエピソードは面白い。
ブランド物にもファッションにも疎い僕だが、なんだか面白そうだったんで観てみました。
全体として構成やシーンの演出にヒネリがなく、テンポも悪い。正直、前半はかなり退屈だ。しかしココ=シャネルの才能を見抜くイギリス貴族・カペルが登場し、シャネルと惹かれ合っていく辺りからちょっとだけ面白くなる。
相変わらず盛り上がらないが、実話が元とは思えないほどメロドラマな展開と、己の才能を認めて俄然輝き出すシャネルの姿が物語を引っ張る。
シャネルが古臭い慣習への反発から新たなファッションを開発していく数々のエピソードも面白い。
シンプルな色調を基本とした彼女の服は、実用的でありながら優雅。それは孤児として生きてきた彼女らしい独立独歩のスタイルであり、それ故、どこか孤独で寂しい。ユニクロのCMじゃないが、『ファッションにはその人の歴史や生き様が表れる』という事実をこの映画ははっきり示してくれる。
オドレイ・トトゥはそんな『他人の生き様』を見事に着こなしている。シャネルを身に纏ったモデルが大勢登場するラストで、どんなにスタイルの良いモデルよりも彼女が美しく見えるのは、彼女がシャネルの生き様を見事演じ切った証拠だと思う。
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