劇場公開日 2009年9月18日

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ココ・アヴァン・シャネル : インタビュー

2009年9月15日更新

アメリ」「ダ・ヴィンチ・コード」のオドレイ・トトゥが、世界的ファッション・デザイナー、ココ・シャネルの若き日を演じる伝記映画「ココ・アヴァン・シャネル」。フランスの田舎町の孤児院で育ち、財産もコネクションもなかった少女がどうやって“世界のシャネル”になったのか? 本作に主演したオドレイ・トトゥのインタビューをお届けする。(文・構成:編集部)

オドレイ・トトゥ インタビュー
「シャネルだから着るのではなく、シャネルがエレガントだから着るのよ」

伝説的ファッション・デザイナー、ココ・シャネルの半生を演じたオドレイ・トトゥ
伝説的ファッション・デザイナー、ココ・シャネルの半生を演じたオドレイ・トトゥ

――フランスの女性はココ・シャネルにどんなイメージを持っているのでしょうか?

自由を愛したシャネル 女性を自由にする服装を独自に創り出した
自由を愛したシャネル 女性を自由にする服装を独自に創り出した

「シャネルと聞いてイメージするのはエレガント。エレガントな女性であり、エレガントなデザインだと思う。その一方でココ・シャネル成功のシンボルでもあるの。彼女は性格的にも強く、しっかりとした意思を持っていて、独特のスタイルを打ち出した。何よりも彼女自身が自由な人だったから、女性を自由にさせる服装を創り出したのだと思う。シャネルがデビューした当時、女性の服装はひらひらした飾りの多い華やかなものだったけど、シャネルはそういうものを取り除いて、着ている本人の魅力を引き出すような服を目指したのだと思うわ」

――本作に出演して、シャネルブランドやココ・シャネル本人に対するイメージが変わったことはありますか?

「シャネルの育った環境、彼女がどのような過程を経てファッションデザイナーになったか、なぜ彼女はあのような服をデザインするようになったのかを理解することで、私のシャネルに対する見方は自然に変わったわ。彼女にとって何より重要だったのは自由であること。男性と同じくらい自由であることを望み、動きを妨げるようなデザインやアクセサリーがたくさんついた服装は拒否したのよ。当時の上流階級においては、男性目線で可愛らしく見える女性が非常に持てはやされていたけど、彼女は自分の個性を発揮できる服装を求めたの。シャネルのデザインはシンプルだけどエレガントで、女性の本当の美しさを際立てていると思うし、あの時代にそういうことに目がいったのも驚くべきことよね」

――この映画はココ・シャネルが成功する前の物語ですが、若い頃のシャネルを演じる上で一番心を砕いたことはなんですか?

不遇の時代を全面に押し出すのではなく シャネルの想いを尊重して演じた
不遇の時代を全面に押し出すのではなく シャネルの想いを尊重して演じた

「エドモンド・シャルル=ルーが書いたシャネルの伝記『ココ・アヴァン・シャネル』は、公式と言えるほど充実した内容になっていて、役作りする上で大いに参考になったわね。本の中には子ども時代のエピソードなど細かい記述もあって、シャネルは非常に複雑な性格だったと言われているし、あまり公にしたがらなかった事実もその本には書かれているの。でも、シャネル自身が秘めておきたいと思っていた部分は、なるべくストーリーに反映しないよう心がけたわ。本人が隠したがっていた過去をあえて人目に晒すことはせず、もっと控えめなやり方で表現しようと思ったの」

――劇中の衣装や小物は、シャネルのものだけでなくフリーマーケットやアンティークショップで見つけたものもあるそうですね。お気に入りのものがあれば教えて下さい。

「衣装については時代考証もしっかりしていて、衣装担当のカトリーヌ・ルテリエがいろいろな場所から集めてくれた衣装が使われているの。それぞれの衣装がその時代を物語っていて、シャネルが何にインスピレーションを受けてその服を手がけたのか理解できる構成になっているのよ。黒いドレスを初めとするシンプルなラインのドレスがたくさん出てくるから、私たちの持つシャネル観を明確に裏付けることができると思うわ。全部の衣装がシャネルの一生を語っているので、すべての衣装がお気に入りよ。あえて挙げるなら、エミリエンヌの舞台を見に行くときに着ていた黒いワンピースと、最後のファッション・ショーで着ていたスーツは、身につけていてとても気持ちが良かったわ」

画像4

――あなたにとってシャネルというブランドはどんな存在ですか?

「私はシャネルを身につけるとき、シャネルだから着るのではなく、シャネルがエレガントだから着るのよ。シャネルのデザインが優れているのは、シンプルでエレガントでありながら流行には関係ないところ。『流行は流行遅れになるけど、スタイルは変わらない』とシャネル自身が言っていたけど、何十年前にデザインされたスーツやドレスでも、今の私たちが十分着こなすことができる普遍性こそがシャネルの素晴らしさなのよ」

――シャネルはバルザンやボーイらと出会いでデザイナーとしての基盤を作っていきましたが、ご自身にも女優として活躍するきっかけとなった出会いや出来事はありますか?

「私の人生で出会いはとても重要なんだけど、その中でも特に大切だと感じるのは演劇学校の先生との出会い。当時私は大学に通いながら演劇学校にも通っていたのだけど、先生は『君は大学に戻らず演劇のキャリアを続けなさい』と励ましてくれたの。彼の言葉がなければ今日の私は存在しなかったと思う。あとは女優として駆け出しだった頃にトニー・マーシャル監督の『エステサロン/ヴィーナス・ビューティ』に出演できてとても影響を受けたし、ジャン=ピエール・ジュネ監督の『アメリ』に出演できたことは、私の人生を変える出来事だったと思うわ」

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