アラビアのロレンス 完全版のレビュー・感想・評価
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4Kのデジタルリマスターの映像は映画館で見るべし
午前10時の映画祭 デジタルで蘇る永遠の名作。
このシリーズで見た。大画面、大音響、そして4Kの映像は素晴らしい。3時間47分。そんなに長くは感じなかった。1962年の作品。
NHKのドキュメンタリーでもロレンスの放送があったが、アラブを裏切ったことや反乱軍の指導者フェイサル王子とイギリスの通訳をしたことなどはこの映画には直接描かれてはいない。
多くのシーンは灼熱の広大な砂漠の中を延々とラクダとともに行進する過酷なシーン。そして、いくつかの激しい戦いのシーン。数多くのラクダや馬が入り交じる映像は、「実写」であり迫力がある。現代のような多方面のカメラアングルによるコマ割動画の連続やスローモーション、グロテスクなまでの殺され方などの演出効果はないが。
あまり歴史的な流れや地図上の位置関係を具体的に説明してくれないので、今どこで何が起こっているのかがつかみにくい。事前によく調べておくとより楽しめるのではと思った。
後半からはアラブとトルコの戦いなど、様々な動きが入り交じるので面白くはなるのだが、ロレンスも人間が変わったようになり、どうもスッキリしない。
もっと史実に忠実だったらと思うが。1962年公開の時点では限界?
イギリスの思惑でアラブとトルコを戦わせ、アラブには独立を匂わせるがそのつもりはなく、イギリスの石油資源確保のための利用に過ぎなかった。
映画館で見るべき作品
リマスターされ続ける名画中の名画
【”アラブ人にアラブの誇りを取り戻させるために。”若きピーター・オトゥール演じる”エル・オレンス”の姿を、故伊丹十三氏のエッセイを絡めて記す。】
■1916年。イギリス陸軍少尉・ロレンス(ピーター・オトゥール)は、オスマントルコ帝国からの独立を目指すアラブ民族の情勢を確かめるため現地へ向かう。
反乱軍の現状を目の当たりにした彼は、アラブの種族をまとめ上げてゲリラ戦を展開。
拠点をめぐる激戦に勝利するまでになるが…。
◆感想
・ご存じの通り、今作はオリジナル版(207分)と、1995年に公開された227分の完全版がある。私が学生時代に名画座で観たのは、年代的にもオリジナル版である。
ー インター・ミッションて何々??と言いながら、WCに駆け込んだなあ・・。
それにしても、私がコロナ禍以降に劇場で観た「ベン・ハー」「風と共に去りぬ」などは、皆3時間を超える長尺である。
インド映画ではないが、1960年代の傑作映画は皆、インターミッションがあったのかなあ・・。更に言えば、今作同様「ベン・ハー」でも、本編がナカナカ始まらない・・。
“放置プレイか!と思ってしまったぞ!”-
・ロレンスを演じた当時30歳のピーター・オトゥールの金髪、碧眼の美しさには、今でも惹かれる。
ー 因みに、ピーター・オトゥール氏はアイルランド人である。この辺りも、是非、伊丹十三氏のエッセイで、お楽しみ願いたいところである。-
・冒頭のロレンスが、バイク事故するシーンはピーター・オトゥールの友人であった、伊丹十三氏のエッセイをそのまま記す。
- ”スタンド・インなど使わなかった。””そりゃ、随分危ないじゃないか!””勿論危ないさ、だからあのシーンは撮影最後の日にやらされた・・。”-
・又、今作ではロレンスが難攻不落のアカバを内陸から攻め落とし、彼の名を高らしめるシーンがあるが、このシーンでのピーター・オトゥールの発言も興味深い。
ー 何千頭の駱駝が全速力で掛けるシーン。ピーター・オトゥールは先頭に立っていたそうであるが、落ちてしまったそうである。誰もが彼が死んだと思っていたら、駱駝はそういう場合、上に被さって守る性質を持つ生き物であるそうである。
で、ピーター・オトゥールが、ゴソゴソと駱駝の下から這い出した時に今作の監督である、デヴィッド・リーン監督が彼に掛けた言葉が、相当凄い。
”どうかね、ピーター。次のカットは取れるかね?”
ピーター・オトゥールは”こいつは、鬼だ!”と思ったそうである。
彼が、未だ大スターになる前であるが、当時の映画製作の現場の状況が見えて来るようである。ー
<勿論、今作の砂漠の彼方に沈む数々の夕日のシーンや、ロレンスの想いがアラブの部族を越えた民に認められ、彼が”エル・オレンス”と呼ばれ、慕われて行く姿や、彼の理念が大英帝国の思惑に会わずに、彼が失意の中、事故死する冒頭のシーンとの連想性も見事なる作品である。>
■オリジナル版と完全版を鑑賞。
映画史上に燦然と輝く名画中の名画!!
命をかけて自ら前線の渦中に立ちトルコと戦い中東諸国の独立に尽力したイギリスの軍人T・E・ローレンスさんの波乱の人生を描く歴史超大作
主人公のちょっと変わってるけど、学問に長け、軍規や上官への反骨精神を持ち、そして何より大きな戦果によって中東の現地人から絶大な信用を勝ち取り独立活動を成功に導く英軍人ローレンスをピーター・オトゥールさんがエネルギッシュに熱演し魅力的です
そしてなんと言っても本作の最大の見所は巨匠デビッド・リーン監督など作り手が徹底的にこだわった映像美、
・真っ白な砂漠と真っ青な空の美しいコントラスト
・砂漠に浮き沈むサンライズとサンセットの息をのむカット
・荒野に巨大な渓谷がそびえ立つ自然の彫刻美
・ラクダや馬に乗って大群衆が砂漠を疾走するのは、同時代に生まれた名画"ベン・ハー"の戦車競技シーンに勝るとも劣らぬダイナミックなド迫力映像
・列車襲撃の大爆破シーン
と、現代では簡単にCGで済ませてしまうであろう映像を全てライブで撮りきる徹底したこだわりぶり
しかも本作は、それらの見事な映像を70mmフィルム方式の作品として残すべく製作されたため、ただでさえ撮影機材が大きい上に砂漠の熱波でダメージを受ける大型フィルムを保護するために食料保存機器に保管するなど、スタッフの並々ならぬ努力で苦難を乗り越え後世まで語り継がれる歴史超大作の誕生という偉業を残しました
とにかくベン・ハー同様に人も時間も巨額な金もありったけ注ぎ込んだ映画史上に燦然と輝く金字塔的作品、1962年に製作されたとは思えない圧巻のクオリティ、227分があっという間に過ぎていき、終わった直後にまた始めから観たくなる魅力的な名画中の名画です!
植民地政策のなれの果ての悪い平和。
内容は第二次世界大戦前の1910中頃の中東を統治するオスマントルコが無くなりトルコとして🇹🇷領土を拡大しようとする最中、横槍を入れ植民地化しようとするイギリス🇬🇧とフランス🇫🇷の政治的側面と中東独立に一役買いヒーローとなったイギリス人でありアラブ人の一人の男(T.E.ロレンス)の視点から描かれる物語。好きな言葉は『私が敬愛し恐れた男は己を恐れ憎んでいる』ダマスカスを攻略しアラブ国民会議がイギリス🇬🇧やフランス🇫🇷よりも早く占拠したにも関わらず纏まりのないアラブ国民会議に挫折し、虎視眈々と中東資源を狙う欧州の政治に振り回されながら『政治は汚い!』といった主人公に対して一番の側近が積年の思いを主人公に重ねて振り絞る言葉の重みが良かった。『平和は老人の様に醜い、あるのは不信感と警戒心の渦巻く駆け引きだけだ…』最後の最後に大佐となったロレンスにアラブの国王となる人に掛けられる乾きにも似た事実と現状。その時のロレンスの力亡き顔とスッキリしない表情は外面と内面の矛盾に苦しんでいるようで非常に感慨深いものがありました。歴史的にあった事実に即した物語で結果ロレンスはイギリス人でもアラブ人でも何人でもない存在となり結局は要が済めばどちら側からも迷惑な存在と使い捨てられる所が何とも言えない。それにしても砂漠の雄大な🏜景色や登る朝日に沈む夕日ラクダの🐪大群に馬の🐴荷台など素晴らしいロケーションとカメラワークで圧倒され唖然としていまいます。この景色を映画館で観ることができなかった事を後悔しました。
マイベスト Motion Picture
19歳の思い出
Netflixに入っているのを知り、何となく観始めた。
高校時代に憧れていた方と予備校1年を経て、初めて異性(母親とは別)と最初に観た映画になる。
初見は19歳、1987年。私は62年生まれなので、当然、名画座での鑑賞、場所は札幌市の北24条、「シネマ23」。
現在の札幌は札幌駅、大通り、ススキノがメインの街並みだが、当時は北24条も映画館がピンクを含めて3館あり、第二のススキノとして活気があったのだ。
観た当時は初めて異性と観た映画ということで、緊張もあったのか何も覚えていない。Intermissionがあったのが不思議と覚えており、その時にトイレに行ったことは鮮明に覚えている。
当時の映画館の売店は洒落たものはなく、清涼飲料水(まだ、お茶のペットボトルや缶はなかった)は無く、何故か「カルミン」があった事を覚えている。
その女性とは、その一回のデート(なのかな)のみで、その後は交流は無かった。
そして、改めてみた、この映画。
凄い、まずCGでは無い映像の凄さ、そしてヒーローではないロレンスの葛藤、4時間に及ぶ長尺が全く苦痛では無かった。
シネマ23は無くなったが、今、自分はその場所から歩いて1分のところに住んでいる。
砂漠の美しさ、清潔さ、残酷さ
砂漠の壮大な物語
壮大な砂漠を舞台に一人の男の苦悩を描いた
アラブ民族を率いてトルコと戦ったイギリス将校ロレンス。
彼の奮闘、苦悩を壮大なアラビアの砂漠を背景にして描く。
序曲overtureでいきなり心を掴まれた。これから始まる壮大な世界へ雄大な砂漠へ一気に引き込んでくれたって
そして、なんと言ってもアラビアの砂漠の描写が良い👍
あたり一面砂漠、水もなかなか手に入らない、過酷な環境なのだが、空の青、夕日と相まって美しくも感じる。
また、ラクダで移動するロレンスを遠くから撮影し、画面に小さく時には点のように移すことで、アラビア砂漠の広大さ🏜というものが非常に強調されていると感じた。
アラブ人のためを思いとった行動、この砂漠こそ自分の居場所と思っていたのに、救われないラストには自分も打ちひしがれた気持ちになった。
"砂漠の英雄"が辿る数奇な運命~完全版
※本レビューは「アラビアのロレンス」のレビューを転載し、加筆訂正しました。内容は殆ど同一のものです。その点、ご了承下さいますよう、お願い申し上げます。
第35回アカデミー賞作品賞受賞作の完全版。
Blu-rayで鑑賞(吹替)。
完全版が現在における本作のスタンダード版か?
イギリス軍の一少尉だった男がアラビアでレジスタンスを指揮し、オスマン帝国軍との戦闘に勝利してアラブ独立を成功に導くまでを、壮大なスケールで描いた歴史超大作。
実在のイギリス陸軍将校トーマス・エドワード・ロレンスのバイク事故死から幕を開けた物語は、生前における栄光に彩られたアラブ独立闘争での活躍を振り返っていきました。
砂塵を巻き上げながら、縦横無尽かつ迫力たっぷりに描かれた砂漠の戦闘シーンのスペクタクルが秀逸。大量のエキストラを動員した映像に漂うリアリティーに心を奪われました。
独立後、その立役者であるロレンスは、白人がアラブの独立運動を指揮していたと云う事実が邪魔にがなったために、共に戦った仲間から排斥されてしまいました。
民族衣装を纏って見舞いに訪れた戦傷病院ではアラブ人と間違われた挙句、「この状況をつくりだしたのはお前たちだ」と罵られる始末…。アラブ議会では民族間のエゴによって政治が混乱していて、様々なことが後回しにされていました。
これまで自分がやって来たことにはいったいどんな意味があったのだろうか?―達成感と高揚に満たされていたロレンスの心に、圧倒的な絶望と虚無感が去来した瞬間でした。
砂漠の陽光に映える白の民族衣装を身に纏い、アイデンティティーの狭間で苦悩しながらも、アラビアを救うため、ひとりのアラブ人として激烈な戦闘に参加したロレンス。
そんな彼に待ち受けていたものは、華々しい名誉と栄光だけではなく、それが裏腹に隠し持っていた残酷なまでの孤独と寂寥だったのかもしれないと思いました。
盛者必衰と云うか、英雄はその存在自体が劇的過ぎるものであるが故に、役割を終えてしまえば途端に疎ましがられ、必要無いとばかりに虐げられてしまうと云うことか、と…
悲しい運命ですが、それは歴史が雄弁に物語っていることでもあります。英雄譚の裏側に秘められたものの正体は、彼もひとりの人間であったと云うことかもしれません。
※修正(2022/07/11)
4時間もあるのに、見終わったあと、もう一回見たいと思わせる凄さ。
こんな作品だと正直思わなかった。
前知識は持ってかなかったが、勝手に冒険スペクタクルだと…
史実を描きながら、それ以上に1人の人間の胸の内を描いた作品だった。
まず映画の冒頭で、ロレンスがマッチ棒を吹き消してから、夕陽をバックにした砂漠が漠然と現れるのが、めちゃ興奮した。これからここでなにがおきるんだ?っていうわくわく。
そしてそのなかでロードムービー的に繰り広げられるロレンスの旅。
しかし、ここで注目すべきなのは、国同士の関係や、幹部の思惑、そしてロレンスが何をしたか、ではなかった。彼の心情をずっと観客は考えるのだ。(最初にロレンスがどんな人物だったかというテーマから語られるのでそうなる)
そして彼は何も語らない。どんな表情をしても観客には彼の真意がわからない。ヒントとして与えられるのは、彼の周囲にいる者たちの憶測だけ。そしてきっと誰も彼の真意はわかっていない。だからこそ観客も考えるし、正解のない映画として楽しめるのかもしれない。
劇中、上司や敵のボスとかは割と本性で動いてるんだけど、(見栄や自分のプライドとか名誉を優先したり、常に利益を気にしている)ロレンスだけは、人への奉仕とか、生きることの本質だったりが見えている。でも砂漠に行ってから、裏切りや救えなかった命を目にすることで、自分の信念が揺らいでいくんだよなあ。これって意外と普遍的なことで、誰しも環境が変わると今まで持っていた概念を覆されたりすることが平気であるんだよね。そのとき人はどうなるのかって話だと思うんだけど、ロレンスの場合はどんどん衰弱していってしまって、最後には自分の魂なくなってしまってましたな… かわいそうに。
ここで思ったのは、ロレンスはずっと砂漠の民のために尽くしてきて、それが彼にとって“生きるということ”だったと思うんだけど、それが徐々にできなくなってしまってたんじゃないかな。誰かを救う事に意味はあるのかって葛藤と、自分の本能(心からしたいこと、今まで胸の内に秘めていた部分)が明らかになっていくに連れて、今までの自分じゃ保てなくなってきていた、というか…
辛い話ですよね、だからラストもあんな感じで。びっくりでした。4時間見続けて、スカッとさせてくれるわけじゃないんだなあ、と。そういうところもデヴィッドリーンは天才だと思う。
本来は自分探しの旅とか、心の旅とかで自分を発見したり、向き合ったりすると、人生がハッピーな方向に向かう気がするんですよね、(違うかな)でも彼の場合は違って、逆に追い詰められちゃってたのが印象的だった。でもそれって彼が悪いんですかね、社会が悪いんですかね。
この映画は、本当に繰り返し観れば彼に対する印象はどんどんかわっていくとおもうし、観る人によっても違いそう。
人類の宝。
もう10回近く観ているはずの「アラビアのロレンス」、これは映画館で観ないと意味がないので、午前十時の映画祭@TOHOシネマズ日本橋、満席の会場で観る。
もちろん、ストーリーやせりふ回し、シーンの数々はお馴染みで覚えているのだが、何度観ても新鮮。
約60年前に撮影された映画だが、技術が進歩した筈の現代でも絶対撮れない、何度も人類の宝というと陳腐だが、その言葉しかあてはまらない、驚異の映画である。
観なければ人生の損だと、真面目におもう。
ピーター・オトゥール、オマー・シャリフ、アンソニー・クイン、そしてアレック・ギネス、アンソニー・クェイル。。。
「風と共に去りぬ」の主人公4名と同様、鬼気迫る演技以上の、まさに、「そのもの」。
とても作り物の登場人物とは思えない。
そして、映画音楽史上最高の巨匠のひとり、モーリス・ジャールの名曲に彩られた「映像」。
砂漠の砂の上を風がさーっと、さらさらと舞い上がるその繊細さと、悠久の大地を映し出す圧倒的なスケールの映像、奇跡としか言いようがない。
そして、4時間観た後の、現代にも通じる人間の重たい宿命、そして今の中東情勢にまで至る、人類の歴史の宿命(さが)。
言葉では語りきれない、百聞は一見に如かず、とはまさにこのこと。
映画館で上映される度に、足を運びたい。
最後に、「アラビアのロレンス」と「ドクトル・ジバゴ」、この二作だけで、私にとって、デヴィッド・リーン監督は映画史上最高の巨匠である。
素晴らしい見世物映画
全68件中、21~40件目を表示