アラビアのロレンス 完全版のレビュー・感想・評価
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砂漠の美しさ、清潔さ、残酷さ
序曲、休憩、終曲のある巨編映画。どうしても「ベン・ハー」と比べてしまうが、ロレンスの半生を丁寧に描く分どうしてもゆったりしすぎているように感じてしまう。ピーター・オトゥールは置かれた状況によって本当にいろいろな表情を見せて顔圧が凄い。ラクダがかわいい。
砂漠の壮大な物語
作品名は聞いたことあったが、鑑賞したのは初めてだった。4時間もの長い作品なので途中寝てしまうかと思ってたが、面白くて全く眠気などこなかった。
地図を見ながら現在のサウジアラビアの中のこの辺を西に進んだんだ、とか後から軌跡を辿ってみて一人で余韻に浸ってた。
ダマスカスは現在のシリアの首都でアサド大統領のいるところだろうな、って観ながら考えてた。昔から重要な都市だったんですね。
イギリスが物語の地にちょっかい出してるんだけど、それ以前にはローマ帝国だったりオスマントルコだったり、侵略され続けた場所なんですね。
ベンハーも観てたのでそんなこと考えながら本作品を味わいました。
壮大な砂漠を舞台に一人の男の苦悩を描いた
アラブ民族を率いてトルコと戦ったイギリス将校ロレンス。
彼の奮闘、苦悩を壮大なアラビアの砂漠を背景にして描く。
序曲overtureでいきなり心を掴まれた。これから始まる壮大な世界へ雄大な砂漠へ一気に引き込んでくれたって
そして、なんと言ってもアラビアの砂漠の描写が良い👍
あたり一面砂漠、水もなかなか手に入らない、過酷な環境なのだが、空の青、夕日と相まって美しくも感じる。
また、ラクダで移動するロレンスを遠くから撮影し、画面に小さく時には点のように移すことで、アラビア砂漠の広大さ🏜というものが非常に強調されていると感じた。
アラブ人のためを思いとった行動、この砂漠こそ自分の居場所と思っていたのに、救われないラストには自分も打ちひしがれた気持ちになった。
"砂漠の英雄"が辿る数奇な運命~完全版
※本レビューは「アラビアのロレンス」のレビューを転載し、加筆訂正しました。内容は殆ど同一のものです。その点、ご了承下さいますよう、お願い申し上げます。
第35回アカデミー賞作品賞受賞作の完全版。
Blu-rayで鑑賞(吹替)。
完全版が現在における本作のスタンダード版か?
イギリス軍の一少尉だった男がアラビアでレジスタンスを指揮し、オスマン帝国軍との戦闘に勝利してアラブ独立を成功に導くまでを、壮大なスケールで描いた歴史超大作。
実在のイギリス陸軍将校トーマス・エドワード・ロレンスのバイク事故死から幕を開けた物語は、生前における栄光に彩られたアラブ独立闘争での活躍を振り返っていきました。
砂塵を巻き上げながら、縦横無尽かつ迫力たっぷりに描かれた砂漠の戦闘シーンのスペクタクルが秀逸。大量のエキストラを動員した映像に漂うリアリティーに心を奪われました。
独立後、その立役者であるロレンスは、白人がアラブの独立運動を指揮していたと云う事実が邪魔にがなったために、共に戦った仲間から排斥されてしまいました。
民族衣装を纏って見舞いに訪れた戦傷病院ではアラブ人と間違われた挙句、「この状況をつくりだしたのはお前たちだ」と罵られる始末…。アラブ議会では民族間のエゴによって政治が混乱していて、様々なことが後回しにされていました。
これまで自分がやって来たことにはいったいどんな意味があったのだろうか?―達成感と高揚に満たされていたロレンスの心に、圧倒的な絶望と虚無感が去来した瞬間でした。
砂漠の陽光に映える白の民族衣装を身に纏い、アイデンティティーの狭間で苦悩しながらも、アラビアを救うため、ひとりのアラブ人として激烈な戦闘に参加したロレンス。
そんな彼に待ち受けていたものは、華々しい名誉と栄光だけではなく、それが裏腹に隠し持っていた残酷なまでの孤独と寂寥だったのかもしれないと思いました。
盛者必衰と云うか、英雄はその存在自体が劇的過ぎるものであるが故に、役割を終えてしまえば途端に疎ましがられ、必要無いとばかりに虐げられてしまうと云うことか、と…
悲しい運命ですが、それは歴史が雄弁に物語っていることでもあります。英雄譚の裏側に秘められたものの正体は、彼もひとりの人間であったと云うことかもしれません。
※修正(2022/07/11)
4時間もあるのに、見終わったあと、もう一回見たいと思わせる凄さ。
こんな作品だと正直思わなかった。
前知識は持ってかなかったが、勝手に冒険スペクタクルだと…
史実を描きながら、それ以上に1人の人間の胸の内を描いた作品だった。
まず映画の冒頭で、ロレンスがマッチ棒を吹き消してから、夕陽をバックにした砂漠が漠然と現れるのが、めちゃ興奮した。これからここでなにがおきるんだ?っていうわくわく。
そしてそのなかでロードムービー的に繰り広げられるロレンスの旅。
しかし、ここで注目すべきなのは、国同士の関係や、幹部の思惑、そしてロレンスが何をしたか、ではなかった。彼の心情をずっと観客は考えるのだ。(最初にロレンスがどんな人物だったかというテーマから語られるのでそうなる)
そして彼は何も語らない。どんな表情をしても観客には彼の真意がわからない。ヒントとして与えられるのは、彼の周囲にいる者たちの憶測だけ。そしてきっと誰も彼の真意はわかっていない。だからこそ観客も考えるし、正解のない映画として楽しめるのかもしれない。
劇中、上司や敵のボスとかは割と本性で動いてるんだけど、(見栄や自分のプライドとか名誉を優先したり、常に利益を気にしている)ロレンスだけは、人への奉仕とか、生きることの本質だったりが見えている。でも砂漠に行ってから、裏切りや救えなかった命を目にすることで、自分の信念が揺らいでいくんだよなあ。これって意外と普遍的なことで、誰しも環境が変わると今まで持っていた概念を覆されたりすることが平気であるんだよね。そのとき人はどうなるのかって話だと思うんだけど、ロレンスの場合はどんどん衰弱していってしまって、最後には自分の魂なくなってしまってましたな… かわいそうに。
ここで思ったのは、ロレンスはずっと砂漠の民のために尽くしてきて、それが彼にとって“生きるということ”だったと思うんだけど、それが徐々にできなくなってしまってたんじゃないかな。誰かを救う事に意味はあるのかって葛藤と、自分の本能(心からしたいこと、今まで胸の内に秘めていた部分)が明らかになっていくに連れて、今までの自分じゃ保てなくなってきていた、というか…
辛い話ですよね、だからラストもあんな感じで。びっくりでした。4時間見続けて、スカッとさせてくれるわけじゃないんだなあ、と。そういうところもデヴィッドリーンは天才だと思う。
本来は自分探しの旅とか、心の旅とかで自分を発見したり、向き合ったりすると、人生がハッピーな方向に向かう気がするんですよね、(違うかな)でも彼の場合は違って、逆に追い詰められちゃってたのが印象的だった。でもそれって彼が悪いんですかね、社会が悪いんですかね。
この映画は、本当に繰り返し観れば彼に対する印象はどんどんかわっていくとおもうし、観る人によっても違いそう。
人類の宝。
もう10回近く観ているはずの「アラビアのロレンス」、これは映画館で観ないと意味がないので、午前十時の映画祭@TOHOシネマズ日本橋、満席の会場で観る。
もちろん、ストーリーやせりふ回し、シーンの数々はお馴染みで覚えているのだが、何度観ても新鮮。
約60年前に撮影された映画だが、技術が進歩した筈の現代でも絶対撮れない、何度も人類の宝というと陳腐だが、その言葉しかあてはまらない、驚異の映画である。
観なければ人生の損だと、真面目におもう。
ピーター・オトゥール、オマー・シャリフ、アンソニー・クイン、そしてアレック・ギネス、アンソニー・クェイル。。。
「風と共に去りぬ」の主人公4名と同様、鬼気迫る演技以上の、まさに、「そのもの」。
とても作り物の登場人物とは思えない。
そして、映画音楽史上最高の巨匠のひとり、モーリス・ジャールの名曲に彩られた「映像」。
砂漠の砂の上を風がさーっと、さらさらと舞い上がるその繊細さと、悠久の大地を映し出す圧倒的なスケールの映像、奇跡としか言いようがない。
そして、4時間観た後の、現代にも通じる人間の重たい宿命、そして今の中東情勢にまで至る、人類の歴史の宿命(さが)。
言葉では語りきれない、百聞は一見に如かず、とはまさにこのこと。
映画館で上映される度に、足を運びたい。
最後に、「アラビアのロレンス」と「ドクトル・ジバゴ」、この二作だけで、私にとって、デヴィッド・リーン監督は映画史上最高の巨匠である。
素晴らしい見世物映画
午前十時の映画祭にて。
現代の感覚だと冗長と思われるカットが多くて、十分睡眠を取っていたにもかかわわらずしばしば寝てしまったが、現代では不可能と思われるスペクタクル(見世物)の連続には圧倒。どうやって撮影したのかな。映画館で見ることができて良かった。
第二次大戦前の英国と中東の関係については全然知らなかったので勉強になった。
物凄く壮大だった。
・砂漠のシーンがとても迫力があって良かった。スクリーンで観たこともあって、前半パートの地平線の先にラクダから落ちた男をロレンスが救いに行って帰ってきたシーンが映像ではなく本当に地平線の先から来たような気がした。とにかく、砂漠地帯の大きさを感じた。
・アラブでは部族間の強い争い縄張りがあって井戸を勝手に使ったら殺されてもしょうがないとか恐ろしかった。それをロレンスだけがアラブのためにも皆で協力していかないとっていう話を鼻で笑われてて、相当根深いんだなと思った。よく見たら、鼻の形とか骨格も微妙に違うんだと初めて思った。
・ロレンスが前半パートでは英雄になり、後半パートで堕落していくという構成がわかりやすくてよかった。ロレンスの自信過剰な態度が戦地へ行くにつれ陰惨になっていっていくのが切なかった。運命っていうのはないんだとか身の程を知らない感が若々しいけど自分にはもうないなと感じた。その後、アラブの仲間になって衣装をもらったあとはしゃいだりしてたが面白かった。
・一旦総司令部?に戻ってきて命からがら助けた男を処刑しなければならなかった末に、それを楽しんだと言った後の堕落していくセリフが、リアルだなぁと思った。そこから判断ミスや失敗で仲間を失ったりを繰り返していった末、運命には逆らえない的な感じに堕ちていくけど、それのおかげで色々と制圧してもきていたしと複雑な気持ちになった。
・ジュネーブ条約を守らず捕虜は厳しい拷問を受けるという理由で負傷した仲間を殺すのが当人のためだという状況が恐ろしかった。
・4時間近い作品だったけど、冒頭の葬式でロレンスに強い好印象を持っていたじいさんが終わる手前にちょっとだけ出てきて、それでも覚えてるもんだなと思った。人の印象って側面的で曖昧だなと改めて思った。
・初めて見たので、いきなりバイクで事故ってえ?死んだの?と思いながら、その死んだ男の話っていう構成に若干戸惑った。
・これだけ長い映画で男ばかりで凄いなと思った。
砂漠の風を見る
本物の動物
人間が一緒に懸命に生きる映画
よく練られた脚本と、キャスティング、音楽、撮影と辛抱強く完成させた映画業界の皆様に拍手です。
ぜひ映画館で
字幕
午前10時の映画祭10
1100円でっせ。安い。
広大な砂漠の果てから現れるラクダとロレンス
戦争は若者の美徳だが平和は老人の悪徳。それ故、平和には警告と相互不信が満ちている(意訳)。昔見たときはこんなセリフの記憶はないが、引っ掛かったは今の世界情勢のせいか自らの年のせいか。
砂漠の地平線から現れるロレンスを自分の目で発見する感動はこの映画の肝でもあったと思う。このシーン、TV画面は論外だが映画館でもちょっと寂しい。
この映画はシネラマかIMAXで見たい。(4KTVだとどうなんだろう?)
壮大なスペクタクルロマン
言わずと知れた歴史的名作。壮大なスペクタクルロマンで砂漠の映像は圧倒的な迫力です。この作品は劇場の大スクリーンで観るべき価値のある作品。
(午前十時の映画祭にて鑑賞)
2020-16
午前10時の映画祭で鑑賞
1、仲間になるには仲間に信用される事
港占領に向かう際に進軍から遅れたアラブ人を砂漠の中で救いにいったロレンス、このお陰でアラブ人から信用されるようになった。
2、アラブ人が民族同士で対立していたのをまとめた
ロレンスがある一族と仲間になるも、別の一族とのいざこざが発生してしまう。それをロレンスは治める。
3、ロレンスはハッピーだったのか?
大佐になったロレンスが最後に故郷(イギリス?)に戻るところで映画は終わる。アラブ人をまとめてダマスカスを占領したのは大きな功績だが、それまでに虐殺をしてしまいオカシクなる。政治的なことは別の人に任せて彼は故郷へ帰る。映画の冒頭は彼がバイクを高スピードで走らせて死ぬのだが、これは自殺なんだろう。
紛うことなき傑作
完全版とそれ以前の違いはわからなかったが、まっこと久しぶりに映画らしい映画を堪能した。約4時間の超大作、紛うことなき傑作。オトゥールが、シャリフが、クインが躍動する、モーリス・ジャールの名旋律が響き渡る、この贅を極めた映画芸術の極致。陽炎の向こうからやって来るのは誰か。この長いショットを飽かず眺められるのは、やっぱり演出が素晴らしいからだろう。
4Kレストアの成果も素晴らしい。うまいもんはうまい!
They hope to gain a freedom. ロレンスさんの苦悩の物語
超有名作品でありながら「長い」のと「昔の映画」と理由で敬遠していた本作。いやー、正直面白かったです。
観る前は「どうせ白人が作るイギリス万歳作品じゃないの?悪名高き三枚舌外交で中東をメチャクチャにしたくせに「イギリス人は世界一ィィィ!」とか言ってるんじゃないの?ま、でも有名作だし映画ファンの教養として一応観ておくか。」という風に何故かメチャメチャ斜めに構えていたのですが、内容は全然そんな事はなくロレンスさんの人物にフォーカスした作品で、むしろイギリスの悪どさが示唆される作りでした。いやいや、映画って観てみないと分かんないもんですね!
ロレンスを単なる英雄として描いていない所が良かったですね。もっとガッチリした英雄譚かと思いきや全然真逆で一人の弱い人間でした。色々上手く進んで自分自身を「俺は人間以上の存在なんや」と勘違いするトコも、拷問受けたらあっさり「弱い人間やった。安全な生活が一番や~」と考えを変えるトコも、その後はガッチリ金でボディーガードを雇っちゃう所も、ダマスカスでの失意も、英雄とかではなく弱い人間として描かれている作りに好感が持てました。ってかロレンスさん全編を通してけっこう不幸。
戦争の時代を描いている作品の割には戦争のシーンって割りとあっさりしているんですよね。あくまでもロレンスさんの人物に迫るのが物語の焦点になっています。50年以上前の作品ですし迫力って観点だったら今の作品にかなうはずもないのですが、人間を描いている作品だから今観ても面白かったんだと思います。
あ、ファイサル王子は後にオビワン-ケノービを演じて有名になるアレック・ギネスだったんですね。全然わからなかった!
これこそ映画の中の映画
個人的に永遠のベストムービーです。奇跡のような砂漠の美しい映像と地響きが聞こえてくるようなスケールの戦闘シーン、観る者の心をあっさりと異世界にいざなうテーマ曲、この役柄を演じるために生まれてきたようなキャスト陣、単なる英雄譚でなく、単なるスペクタルでなく理想と現実に苦しむ人間ドラマとしての重厚さ。これこそ映画であり、スクリーンで完全版を観ることの出来たことが素晴らしいと思います。
プロジェクターで見なさい。
クライマックスだけでなく、全編に渡って大エキストラを使っており物凄いスペクタクル感を生み出している。まさに史上最大の巨編。
この映画には政治的歴史的背景があるので見る前に少し予習しておくとよいでしょう。ま、要はアラビア半島のオスマントルコからの独立をイギリスが支援するってワケですが。
この映画で語られている物語の後、サウジアラビアという国ができてイギリスと良好な関係を築きます。その後、石油ビジネス支配権がアメリカに移り現在もサウジとアメリカは親密な関係にあります。
シナリオ的には結構ちゃらんぽらんで「なんで、それで納得するの?」的な部分が多く、主人公の内面的感動も上手く描けていません。というか最後までジレンマを抱えたままです。ジレンマを描いただけになっちゃってます。でも、映画の壮大感や演出の力によって見ごたえのある、心に残る作品に仕上がっています。
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