「【”アラブ人にアラブの誇りを取り戻させるために。”若きピーター・オトゥール演じる”エル・オレンス”の姿を、故伊丹十三氏のエッセイを絡めて記す。】」アラビアのロレンス 完全版 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”アラブ人にアラブの誇りを取り戻させるために。”若きピーター・オトゥール演じる”エル・オレンス”の姿を、故伊丹十三氏のエッセイを絡めて記す。】
■1916年。イギリス陸軍少尉・ロレンス(ピーター・オトゥール)は、オスマントルコ帝国からの独立を目指すアラブ民族の情勢を確かめるため現地へ向かう。
反乱軍の現状を目の当たりにした彼は、アラブの種族をまとめ上げてゲリラ戦を展開。
拠点をめぐる激戦に勝利するまでになるが…。
◆感想
・ご存じの通り、今作はオリジナル版(207分)と、1995年に公開された227分の完全版がある。私が学生時代に名画座で観たのは、年代的にもオリジナル版である。
ー インター・ミッションて何々??と言いながら、WCに駆け込んだなあ・・。
それにしても、私がコロナ禍以降に劇場で観た「ベン・ハー」「風と共に去りぬ」などは、皆3時間を超える長尺である。
インド映画ではないが、1960年代の傑作映画は皆、インターミッションがあったのかなあ・・。更に言えば、今作同様「ベン・ハー」でも、本編がナカナカ始まらない・・。
“放置プレイか!と思ってしまったぞ!”-
・ロレンスを演じた当時30歳のピーター・オトゥールの金髪、碧眼の美しさには、今でも惹かれる。
ー 因みに、ピーター・オトゥール氏はアイルランド人である。この辺りも、是非、伊丹十三氏のエッセイで、お楽しみ願いたいところである。-
・冒頭のロレンスが、バイク事故するシーンはピーター・オトゥールの友人であった、伊丹十三氏のエッセイをそのまま記す。
- ”スタンド・インなど使わなかった。””そりゃ、随分危ないじゃないか!””勿論危ないさ、だからあのシーンは撮影最後の日にやらされた・・。”-
・又、今作ではロレンスが難攻不落のアカバを内陸から攻め落とし、彼の名を高らしめるシーンがあるが、このシーンでのピーター・オトゥールの発言も興味深い。
ー 何千頭の駱駝が全速力で掛けるシーン。ピーター・オトゥールは先頭に立っていたそうであるが、落ちてしまったそうである。誰もが彼が死んだと思っていたら、駱駝はそういう場合、上に被さって守る性質を持つ生き物であるそうである。
で、ピーター・オトゥールが、ゴソゴソと駱駝の下から這い出した時に今作の監督である、デヴィッド・リーン監督が彼に掛けた言葉が、相当凄い。
”どうかね、ピーター。次のカットは取れるかね?”
ピーター・オトゥールは”こいつは、鬼だ!”と思ったそうである。
彼が、未だ大スターになる前であるが、当時の映画製作の現場の状況が見えて来るようである。ー
<勿論、今作の砂漠の彼方に沈む数々の夕日のシーンや、ロレンスの想いがアラブの部族を越えた民に認められ、彼が”エル・オレンス”と呼ばれ、慕われて行く姿や、彼の理念が大英帝国の思惑に会わずに、彼が失意の中、事故死する冒頭のシーンとの連想性も見事なる作品である。>
■オリジナル版と完全版を鑑賞。
素晴らしいレビューありがとうございます!^ ^m(_ _)m
伊丹十三さんの貴重なお話等、勉強になります。感謝です!
これぞ映画館で観るべき映画。何回観てもまだまだ全てを理解出来ないすごい文学作品映画ですよね。映画館で観ること5回目ですが、また所々寝てしまい(><)次回また歴史も調べてチャレンジです。^ ^
しかし、砂漠、太陽、大セット、大エキストラ、馬、駱駝、等と何回観ても大興奮、大感動ですm(_ _)m
山に登るNOBUさんですから、何かハイになるものを砂漠にも感じて、それでロレンスを親く感じられたのではないでしょうか。
この映画を観たあとは誰だって寝付けません。
NOBUさんこんばんは、
故国にも帰れず、砂漠の民に同化することも出来ず、砂漠だけを友とした男の、あの陽炎の中に揺れるロレンスの悲しみの眼が忘れられません。
オパールを見るとあの眼を必ず思い出します。
きりん
NOBUさんのレビュー嬉しいです。私は完全版は見ていないと思います。それでも休憩ありのこの映画は大好きでピーター・オトゥールを愛してます。変な男だけど、もしかしたら初めて好きになった男性俳優かも知れません。