「エンドロールの歌。必聴です。」グラン・トリノ 勝手な評論家さんの映画レビュー(感想・評価)
エンドロールの歌。必聴です。
2004年『ミリオンダラー・ベイビー』以来のクリント・イーストウッド出演作品。この作品では、監督・製作も兼ねています。
華が無く、家族からも疎まれ、社会の表舞台で大活躍をする事も無く老境に入った朝鮮戦争帰還兵ウォルト・コワルスキーをクリント・イーストウッドが非常に上手く演じています。そしてその演技は、渋いです。クリント・イーストウッドの映画で、明るい作品は少ないのですが(失礼!)、この作品もその法則に従っています。
この作品のもう一人の主人公は、ウォルトの隣家に引っ越してきた、アジアの少数民族モン族(と、映画では言っていますが、“ベトナム戦争で米軍に協力したため、後の共産勢力に迫害されてアメリカにやってきた”と言う説明の件からして、実際にはどうもミャオ族の様です)の家族。その一家の少年タオを演じるビー・バンですが、冴えないモン族の少年を非常に上手く演じています。ウォルトに何かと鍛えられながら(?)、徐々に自分に自信を付けて行きます。
そしてそのタオの姉スーを演じるのは、アーニー・ハー。彼女が、タオと自身を助けてくれたウォルトに何かと世話を焼く事でウォルトの心が徐々に開いて行くことが良くわかります。ああ言う強い姉さんがいると、弟はタオのように成りがちなような気がしますが、どうでしょう。
『生と死』。これが、この作品のテーマでしょうか。ウォルトが、あのような“計画”で最後を迎えた事も、タオに、自身が経験した辛い経験を味あわせたくないと言う“真の生と死”の意味を知ったウォルトだからこそ取り得た“計画”なのでしょう。
ここからはネタバレになりますが、最後にウォルトがスーツを仕立て直しているとき、「スーツ姿で、討ち入りか?」と思ったのですが、違いましたね。その間違いには、タオを地下室に監禁したところで気が付きました。それでも、最後の結末までは、予想できませんでした。
最後に。エンドロールに流れる歌は、クリント・イーストウッドが歌っています。何とも渋くて、いい味わいです。