劇場公開日 2009年4月25日

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「イーストウッドだからこその傑作」グラン・トリノ マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0イーストウッドだからこその傑作

2009年5月22日
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

幸せ

人種差別を背景に、頑固な老人が移住してきた東洋人たちと徐々に心が通うようになり、最後は不良グループからその家族を守る。ストーリーはありふれたものなのだが、イーストウッドが作ると、なぜか見入ってしまう作品になる。暗さを伴う内容なのにどこかあっけらかんとしたところがある。それでいて気骨を示し、しかも笑いも誘う。いろんな要素を盛り込んでいながら訴えるテーマにはまったくブレがない。
頑なに交流を拒んでいたウォルトの心を開いていくのが燐家の長女スーで、彼女の存在が大きく、ウォルトによって弟のタオが一人前の男に育っていく過程ともども作品の手堅い足回りになっている。
もちろんエンジンはイーストウッドだが、その燃料はこれまでイーストウッド自身がスクリーンで築いてきたイメージだ。イメージが固まるのを嫌う役者もいるが、彼はそのイメージを逆手にとって傑作を作り上げた。
タオとスーを守るため、最後にウォルトがつけた決着とは・・・ジーンときます。

p.s. エンドロール・・・歌はジェイミー・カラムですが、冒頭、クリント・イーストウッドの渋い歌声が聴けます。

マスター@だんだん