劇場公開日 2010年1月16日

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「男は一度愛した女を別れてもひきづるもので...」今度は愛妻家 こもねこさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0男は一度愛した女を別れてもひきづるもので...

2010年1月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 男はとかく未練がましいもので、女と別れたあとでも、愛していたときにこうすればよかった、もっと優しくしていればよかった、などとよく思ったりする。この映画は、そんな男の心情をよく描いている。

 もっともその男の心情は映画の後半に、切ないばかりに演出されており、前半はむしろ、仕事もまともにしない、浮気ばかりする、何ともダラしのない亭主と、その夫からなんとか愛情を取り戻そうとするいじらしい妻の姿が描かれる。そのダラしない亭主役の豊川悦司と妻役の薬師丸ひろ子の絶妙の夫婦の会話が、なんとも面白く、可笑しくなるところがこの映画前半の魅力だ。特に、真っ白なシャツを着こなし、グウタラな亭主に寄り添っていく、薬師丸ひろ子の可愛らしい演技は絶品と言っていいものだ。男性目線の映画だから余計に可愛らしく感じてくるのかもしれないが、薬師丸ひろ子の魅力があふれている映画だ。

 さらに、この映画は脇を固める俳優もまた面白い。特に、石橋蓮司のオヤジ・オカマの演技は特筆モノだ(後半になって、主役の夫婦との関係が明かされて愕然となるのだが)。そしてワンシーンしか出てこないが、井川遥の色気たっぷりの美しさも注目!。この映画は、舞台劇がベースのために、あまりシチュエーションに変化はないのだが、いろんな見どころを監督は用意している。

 愛情が冷めてしまった夫婦に、もういちど愛を燃え上がらせることはできるのか。愛情とは育んでいくものなのか、大切に胸にしまいこんでいて大事なときに出してくるものなのか。この映画からは、愛情のあり方を考えさせられ、昔に別れた異性の面影を思い出させてくれる。
 ただ、薬師丸ひろ子のような、女性がいつまでも可愛らしくてあり続けてくれるなら、男はふたたび愛情を取り戻せるのかもしれない、などと傲慢な男心がもたげてきた。そこがある意味、女性側からするとこの映画の欠点になるかもしれない。

 一方で、試写会場を出て、帝劇でジャニーズのタッキーの舞台を観たあとの嬉々とした40代の女性たちを見ると、亭主に顔を向けてくれることさえも難しいのかな、と思えてくる。やっぱり夫婦の愛情の継続とは難しいものなのか。

こもねこ