火天の城のレビュー・感想・評価
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人を建ててこそ…追悼・西田敏行さん…
Amazon Prime Video(東映オンデマンド)で鑑賞。
原作は未読。
突然の西田敏行氏の訃報に驚き、悲しみが胸に溢れた。あの緩急巧みで、様々な役柄を演じてこられた西田氏の演技をもう見られないのかと思うと、本当に残念でならない。
ご冥福を心よりお祈りすると共に、これまで観たことのなかった西田氏の主演作品を観ようと思い、本作を選んだ。
安土城築城を指揮した熱田の宮番匠・岡部又右衛門を西田氏が演じていた。西田氏の名演によって、とても魅力的な又右衛門像をつくり出していたように思う。
番匠としての矜持を胸に、城を建てるにはそれを建てる人をまず大切にしなければならないと、憶せず信長に言ってのける又右衛門の人柄に感動させられた。
それはそのまま、西田氏自身の人柄が又右衛門とリンクして滲み出しているからこそ生まれる感動ではないだろうか。
現場監督の仕事をしている身故に、この又右衛門の思想は私も常に大切にしなければならないものと肝に銘じた(それは国づくりにも通じる。政治家に聞かせたい言葉だと感じた)。
だからこそ、悲鳴を上げる心柱を切断するクライマックスシーンのアツさは筆舌に尽くしがたいものがあった。泣けた。
安土城築城と云う視点で戦国時代を描いているのが斬新だった。適度にスペクタクルもあって、とても面白い作品だ。
安土城の辿る運命を知っているだけに、ラストシーンの安土城の優美な姿には物悲しさが漂っているように感じられた。
原作レイプ
原作読んで面白かったので楽しみにしていたんですが・・・酷かった・・・
尺の関係で最後までやらずに、安土城築城までなのは解ります。
しかし、無用な配役の変換、なぜ又右衛門の息子が娘になっているのか?
物語上息子であったことで成立していた話がバッサリ切られて、代わりに
娘と部下の恋愛話が入る。(これがまた意味がない)
それに又右衛門がやたらと卑屈で誰にでもぺこぺこ頭を下げる。
原作にあったリーダーシップが影をひそめ、信長と部下に挟まれた中間管理職になり下がってしまってる。
原作未読ならそれなりに面白かったのかもしれないが、原作を読んでしまうと粗しか見当たらない駄作になり下がってしまった。
建築が好きで、歴史が好きな人へ
先日、原作を読んで、ぜひ観てみたいと、今日やっと観ることができました。
特に誰が建てるかを決めるための指図争いでの
岡部がそれぞれの模型に火をつけ、
「吹き抜けは火の道になりまする。親方様の住む城にそのようなもの造れませぬ」
と言ったセリフには、岡部の番匠としてのプライドが垣間見えて、
鳥肌が立ちました。
それを聞いて、信長も
「落城のおりも、そちの建てた城ならば、ゆるりと一指し舞う時間があるのじゃな」
と、粋なセリフを。
原作と微妙に変えてあるところもありましたが、
全体的な完成度には、大満足でした。
不器用は宝だ。・・・不器用を喜べ。
映画「火天の城」(田中光敏監督)から。
織田信長から「安土の山を丸ごと1つ、城にする。天守50じゃ」と
命じられた、戦国時代の名工・岡部又右衛。
その部下たちは、必死になって「安土城」建築に必死になるが、
若い大工は、時々失敗して、親や先輩に怒鳴られる日々。
仕事に自信がなくなりかけた時、励ましてくれた先輩の台詞は、
今の時代にも仕えるフレーズとなった。
実はメモした本文は、もう少し長い。
「不器用は宝だ。不器用なものはどうしたらよいか工夫して努力する。
毎日毎日やっていくうちに、いつのまにか心で計れるようになるんだ。
身体で感じられるようになるんだよ。だから、不器用を喜べ。」
その彼が、ラストシーンで大活躍するのだが、
現実は、なかなかこうはいかないものである。
こんな励ましをしてくれる先輩も減ったし、
不器用なものも、工夫も努力しないで、不器用のまま。(汗)
だから、失敗を繰り返し、周りに迷惑をかけることだってある。
いい話だけど、ちょっとなぁ、と苦笑いをした。
信長が、一所懸命働く女性を眺めて呟いた
「女が元気だと国も栄える。」の方が、現実的だなぁ。
笑顔と親柱。
いま日本は俄かに「城ブーム」なんだそうだ。
先日もTVで藤波辰爾やら、坂東三津五郎などの
城談議を見聞きして面白かったのを覚えている。
まぁただねぇ…職業映画というわけではないので、、
かなりベタな大河ドラマになっているのは否めない。
あ、違うな。これは大河じゃなくて…大木か?^^;
本物の安土城を見たことがないので(当り前って)
山一つ城にするという構想がどれだけ途轍もないか、
とはいえ、なぜ信長がそんなことを思いついたのか、
様々な解釈を加えて面白く作られている。
椎名桔平が演ずる信長がとてもいい!マジで怖い。
怖いんだけれど頭が切れて有能なのが見てとれる。
子供の頃は、信長が一番嫌いなタイプだったのに^^;
歳をとるとあの潔さがカッコいい!とまで思えてくる。
なぜだろう。。。
対する岡部又右衛門という男の一寸も曲げない己の
信念というか、職人魂もまた素晴らしいと思った。
奥さん(大竹しのぶ絶品!)の気苦労は絶えない筈だ。
私も笑みを絶やさない女になりたいと…^^;
しかし、いきなりそんな事をすれば気味悪がられる。
築城ノウハウを詳しく見られると思うとそうでもない。
ただ、指図争いのやり取りは面白い!
技と頭脳の大合戦という感じで、緊迫感があった。
また、親柱が立つときの感動!やっと…の思いだ。
ここに描かれるドラマ部分がフィクションを交えて
いるにしても見事築城を遂げたのは紛れもない事実。
ものすごい人間たちがいたのだと、改めて感心し、
天下を取る。国を治める。ということがどういうことか、
ぜひ宇宙から来た総理大臣の意見も聞いてみたい。
(緒形直人も潔いんだけど、あの扱いは勿体ないなぁ)
木曾檜は強く美しいが・・・
なぜ「火天の城」というタイトルになったか。その由来が原作では序盤に一度そして最後にもう一度出てくる。
原作を読む前に映画を見ていたら、邦画にしては巨額の費用をかけた画面に圧倒されていたかもしれない。
組み上げられた木の美しさ、しなやかさ、たくましさは一見の価値がある。
だが、番匠達の手つきは日曜大工にしか見えず、岡部一家の類型的な人情劇に感情移入する事はできなかった。
原作では岡部又右衛門は二人いる。棟梁とその息子の二人である。
どの時代にもある親子の軋轢や、しょせん他人でしかない夫婦間の諦感・それを通り越した時に芽生えてくる家族の繋がり等が、すっぱり切り捨てられているのは仕方ないとしても、説得力のない口先だけのせりふが気になった。
また、うねと言う乱波(忍びの者)の設定、木曾の大庄屋甚兵衛が何故檜を譲る事になったか何故命を落としたのか等無理やりこじつけてまとめてしまった感が否めない。
もちろん、原作をそのまま映画化するには予算的にも上映時間からも無理がある事はよくわかる。
すばらしい素材であるだけに、脚本をもう少し練って後世に残る作品にして欲しかった。
主役は安土城であり、信長・岡部又右衛門親子その他築城に関わる人間模様でもあるが、原作の骨太さ面白さには残念ながらはるかに及ばない。
退屈はしない
要所要所に(わかりやすすぎる)見所があるので退屈はしない
でもできあがった城に対しては、
「えっ…」ていう
どうせなら消失の理由も描いてほしい
なんにせよあっけない
あと、死亡する人、実は死亡してない人の描写の伏せんがあからさますぎ。
大竹しのぶはよかったけど福田沙紀はひどすぎです
どこを魅せたいかの問題
原作のすべてを盛り込むと消化不良の映画になってしまう。
では、映画としてどこを魅せるか。
やはり、雄大な風景、巨木、築城中と完成した安土城、ライトアップされた安土城・・・
ということで、物理的な築城を中心に置き、活劇シーンを織り交ぜて、骨太に作りこまれた映画だと感じました。その意味で、ドラマシーンはおまけだし、余計な説明もカットして観客の想像にまかせています(原作未読ならば乱破の主人は武田氏と思うでしょうが、それで良いと思います)。
現実に見ることのできない幻の城を、映画の大スクリーンで見ることができ、幸せでした。
ガッカリ。。
東映歴史物もここまできたか(/_;)
話が淡白、ヒネリなし。いやあるんだけどムリヤリすぎて・・。
西田敏行、大竹しのぶ、椎名桔平でなんとか見れるけど、
吉本芸人がゾロゾロ。出てきた瞬間にガッカリ。
エキストラも芸人かな。。勘弁してくれーて場面がチラホラ。
まじめな歴史映画をつくりたいのなら、無名でも俳優を使ってほしい。
東映さんお願いしますよ。。ほんと。。
細密画のような俯瞰映像に驚く
安土城の時間とともに築城が進む琵琶湖からの遠景は見ごたえあり。
遠景で人が大量にうごめく精緻な映像は凄い。(ボカシ無し)
そしてストーリーの見せ場である
指図競技は現代につながるプレゼンテーション手法が堪能できます。
(現代の人が脚色したから、この表現になったのかもしれないけど)
金色と白壁が印象的な京都代表案
朱と灰色瓦屋根のコントラストが美しい奈良案
それぞれが『吹抜け』有りの案
そこに割ってはいるのが、西田。
図面の展示も色彩を使用せず実直さと想像力を呼び起こすアピール
解りにくい図面で興味を引かせ、興味を持続させる手法を駆使。
図面と模型を審査者が時間をかけ読込んでいくと
天守の構成は他案を完全に凌駕する独創案で
柱梁の構造手法にも特徴があり、全体の構成力でも他を圧倒。
そして、最後の仕上げは説得。
要件の『吹抜け』をはずして、信長の感情を荒げさせたらしめたもの、
誰もが想像できなかった、最高解答『火災に弱い=殿の御命が大事』
を進言し信長より先を見据えていることを猛烈主張で場を納得させた。
強引なところもありますが、戦略勝利で仕事獲得です。
『火を放たれても、舞を踊る時間があるのだな』との
信長の回答はなかなか雅やかで
西田の言葉に納得する椎名桔平は今作のはまり役、カッコいいのです。
===ひとりごと===
TBS『ふしぎ発見』でこの映画の安土城特集をしていましたが解答がネタバレで
『吹抜け』のことが、映画映像の模型を燃やすシーンと西田の説明映像が共に解答として出ていました。
この番組を見る以前からこの映画を観ることは決めていたので番組観たことを後悔反省。
しかしながら、現実に建てられた城に、『吹抜け』があったかどうかは、いまだに謎らしくそこは興味を引かれたので『ふしぎ発見』グッドジョブです。
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