劇場公開日 2011年4月30日

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「ジャコ・バン・ドルマルによるイマジネーションの渦」ミスター・ノーバディ つとみさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ジャコ・バン・ドルマルによるイマジネーションの渦

2024年12月12日
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鑑賞方法:VOD

人生では常に選択を迫られるものだ。あっちもこっちも両方は選べない。それは時間的制約によってやり直しが出来ないからだ。
自分の選択について、ああすれば良かったとかこうすれば良かったと後悔するのは誰にでもあることだろう。

では、後悔は悪いことなのか。
仮に何を選んだとしても、選ばなかったことに対する後悔は発生する。選択はゼロサムゲームではないからだ。
ならば、何を選んだとしても後悔はするし、後悔しないとも言える。もちろん明らかな間違いの場合を除いて。

誰もが寿命を迎えなくなった未来。選択が時間的制約によるものならば選択によって生まれる後悔が存在しない世界だ。
失敗したと思ったら新しくやり直せばいいのだから。
そんな世界で、最後の「寿命を迎える人」となった主人公ノーバディは、過去を思い出せとしきりに迫られる。
死なない人々にとって過去とは意味のないものなのかもしれない。ある意味で時が止まったままであるのだから過去も未来も全て「今」なのだ。だからこそやり直せない「過去」のあるノーバディに尋ねる。

過去を回想していくノーバディ。しかし彼の語る過去は辻褄の合わない支離滅裂なものだった。
その中に本当の過去があったかどうかすら定かではない。
ノーバディにとってもまた、過ぎてしまった真実の過去など意味のないもの、なのかもしれない。

レビューが前後してしまうがジャコ・バン・ドルマル監督の作品は「神様メール」に続いて2作目だ。
イマジネーションだけで作り上げるような彼の作風は中々面白い。
他の作品も観ようと思う。

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つとみ