劇場公開日 2009年11月21日

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「魔法もなければワープもしない退屈なストーリー。ノスタルジーに癒されたい人むきの作品です。」マイマイ新子と千年の魔法 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0魔法もなければワープもしない退屈なストーリー。ノスタルジーに癒されたい人むきの作品です。

2009年11月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 舞台は、昭和30年の山口県防府市。これは原作者が年少期の思い出を綴ったものです。 『千年の魔法』は、アニメ版に付加されたタイトルでして、これが本作に過大な期待を寄せる元になってしまっています。
 実は魔法と言っても、主人公の新子が空想で思い込んで、1000年前の防府つまりかつての周防国国府の宮中でどんなことが起きたか勝手に空想しているのに過ぎません。それは新子のトレードマークとなっている「マイマイ」と名付けたおでこの逆立つ前髪が風でなびくとき、1000年前の国府にワープするものと、新子が勝手に解釈しているのに過ぎませんでした。
 だから、宮崎駿作品のように、ワープもしなければ、新子の実生活にも全く干渉しません。ただただ新子の実生活の体験をベースに、1000年前の国府に暮らすお姫様の日常を空想しているのに過ぎないのです。

 大きな事件と言ったら、遊び仲間でいつも木刀を持った勇ましいタツヨシの父親が自殺してしまい、その原因となった街のスナックへ新子とタツヨシが乗り込んでいくというもの。これもあっけらかんとしていて、拍子抜け。

 その他のエピソードも、新子と遊び仲間の日常を綴っただけのもの。原作が自叙伝的小説なので仕方ありませんが、アニメにするならもう少し不可思議な要素が欲しかったです。
 でもそこはマッドハウス作品。映像はすこぶる美しいのです。広がる青い麦畑に浮かんだ新子の家は、本人が語るように大きな木船のようです。そしてのどかな田園風景に癒されます。清らかな用水路上に、新子のお爺ちゃんが造ってくれた木製のハンモックは、とても気持ちよさそう(#^.^#)
 そしてラスト近くの、天の川に照らされて、新子とタツヨシが家路に着く夜景のシーンは、さすがマッドハウスだ!と惚れ惚れする仕上がりでした。

 東京から埋立地の紡績会社の社宅に引っ越して来た。工場医の娘貴伊子と新子の友情はちょっといい感じでした。
 都会から移り住んだだけに、田舎の子供たちと貴伊子は馴染めずにいました。おまけに母親と死別してしまい、深くこころを閉ざしていたのです。
 そんな貴伊子に新子は積極的に近づいていき、孤独を癒すのでした。

 ストーリーとしては悪くないので 実写で芸達者な子役を投入して製作したほうがよかったかも知れません。

流山の小地蔵