BOY Aのレビュー・感想・評価
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息子の嫉妬
当時はアンドリュー・ガーフィールドの認識も無く鑑賞、暫くしてから本作に主演していた事に気付いたけれど、初めて観た時に感じた胸糞悪い感覚は薄らぎながらも主人公に共感する部分は皆無、残酷な真実が明かされたにしろ一人位は寄り添う奴が居ても、映画的に煽った終盤の演出が悲観的にもワザとらしい。
息子と父親の関係性から過剰に思える描写に萎えてしまう、リアルを追求しない物語と周りが薄情すぎる演出、実際に起こりうるような事柄を安易に描いているだけに思えてしまう、救うも救われるも自分次第で受け入れるのかは社会次第、自分の過去が他人のように後悔するのは自分の為、損をするのは被害者だけなんだ、結局は。
公開当時、旧チネ・ラヴィータにて鑑賞。
重い題材だが今の時代こそ観るべきかも
服役後の少年犯罪者。
日本ではどのようにそのケアを行っているのか、
詳しく知らないが。
この映画の舞台のイギリスほど
細やかに面倒見てはいないんじゃないかな。
観る年代によっても受け取り方も違うように思う。
純粋に主人公の目線にカブって観ていれば、
世間の冷たさや、理解してもらえない哀しさ、
主人公の純粋さに目が行くだろう。
実際、世の中のほとんどの犯罪者が
私たち、いわゆる一般人と
変わらない人間で、
ただ一歩が違うだけなんだろう。
過去の罪を必死に払拭して、
新たな人生に踏みだした人にあんまりな仕打ちが
続いて可哀想にも思えるが。
でも私の隣人だったらやはり嫌だし!
自分が太目の彼女だったとしても
許せない気がする。
犯罪被害者がもし自分だったら?
自分の家族だったら?
そう思うと、どうしても。
殺されるときの被害者の恐怖や絶望や、
将来にたくさんあったはずの夢や希望が、ちっさい幸せが、
犯罪で一瞬に奪われることを思うと、
そのあと犯人が人生に絶望したって
当然な気さえしてしまうのだ。
犯人に事情があったとしても、
それじゃあ被害者にはなんの事情もないのかと。
境遇がかわいそうならみんな犯罪に手を染めるのかと。
きっと私は了見が狭いのだろう。
でもこういった意見交換はするべきだろうと思う。
その意味でもこの映画は
いまこそ観るべき。
日々事件事故には関係ないかのように
暮らしているが、
いつでも関係者になりうることに気付く。
生きてることは綱渡りで、それだけでまず運がいいんだ。
この映画は辛いばかりではない。
少なくとも主人公の彼は、
生まれたことを嘆いて最後の行動に出てはいないと思う。
今度は誰かを幸せにしてあげてほしい。
それで彼自身も救われると思う。
過度に衝撃作を期待しすぎた
「少年A」をメインに映画をみていくと、結構彼に都合のいい話になっていていやでも彼に同情的にならざるをえないという。
大人になってからの彼の動きがやけにぎこちないのも気になる。小さい頃の家庭環境に難ありっていうのもありがち、というか。
彼自身も何らかの障害をもっていた、と想像するべきか。
更生した人間を晒し者にしたところで、再犯の危険を助長するだけで何のメリットもないことは頭では理解出来ても・・・
自分の中にある「偽善」に気づく
「社会」を構成する大多数の人々は、直接の被害者でなくても犯罪者に対する批判的な眼差しを常に持っている。また、ここぞとばかりストレスを発散するように食いつくマスコミのあり様。更生しようとする若者に対し実質的に生きるすべを与えていない「社会」というもの。うまく描けている。
この映画は、イギリス?の家庭事情も仄めかしながら、当事者の悲劇をわかりやすく説明してくれている。良い映画でした。
終わり方には賛否両論
社会に怯えながら慎ましく生きようとする、儚げで健気でとても繊細、見ていて心がいたくなります。
日頃ニュースや新聞を見つめる私たち第三者にとっての印象と、当事者の印象は当たり前ですが違います。これも現実の一つなのでしょう。
映画ですから、かなり繊細で美しく描きすぎているようにも見えます。そして、人によってはただ悲しい。この映画が何を訴えたいのか分からない人もいると思います。
音の入り方や映像、個人的に好みです。
友人はエンディングが嫌だったらしいのですが、私は良かったと思っています。
ストーリーだけを見たらそこまでかもしれませんが、描き方がとてもすてきでした。一人でしっとりと観て、見終わってからいろいろと考えを巡らせてみるのをおすすめしたいです。
日本だけの問題じゃないんだね
~映画を見た人は、まだ見ていない人に彼の過去を話さないでください~
リーフレットに書かれた脚本家からのメッセージ。
鑑賞後、劇場に張ってあった各種関連記事を読みました。
脚本家の着想“日本であった、ある事件に衝撃を受け書きました”。
事件の具体名は触れられておりませんでしたが、おそらく神戸の事件でしょう。
この記事を読むまでは、イギリスで起きた駅から少年が
幼女を連れ去った事件から、着想を得ているのかとばかり思っていました。
ストーリーを、一言で表するなら“重い”。“実に重い”。
初主役アンドリュー・ガーフィールドの素晴らしさに
論評を集中させている感想が主でしたが、そうしなければ
重々しくなってしまうので、あえて避けたとしか思えません。
映画を見るときは、たいてい、
共感をしつつも、どこかに客観的な自分がいるのですが、
今作については、スクリーンで演ずる役者たちの行動を見ながら、
「果たして、私なら、このような場合、どのような行動をとるだろうか」
主役ではなく、主役を取り巻く周囲の人と同化をしてしまいました。
そのため、劇場に張ってあった論評記事とは視点が異なっていました
(論評は主役目線か、先に記した主人公の演技の素晴らしさがメイン。
サブで、加害者目線が欠けている、との批判記事もありました)。
取り巻く周囲の人々を見ながら考えていたこと。
もしも、今、目の前にいる若者が、
爽やかで、人間的にも素敵で、信頼のおける人物だったとして、
実は、過去に、上に記した過ちを犯していた人物だとしたら、受け入れられるか。
・・・・・恐らくわたしも、作品内の周囲の人と同じ行動を取っただろうと・・・・・。
それは、単純に彼が犯した過去の過ちが許せないだけではなく、
それを、許してしまう自分自身も許せない、二重の縛りに責められるから。
「 今だけを、見てあげればいいじゃない。今は、変わったんだから 」
似たようなセリフが繰り返し語られる。
しかし、ことはそんなに単純なものなのだろうか。
いくら昔のこととはいえ、またなにかの拍子に再発することだって、十二分にありえる。
「 たしかに彼は昔、罪を犯した。でも、彼も苦しんだんだ。わかってやってほしい 」
じつに、模範的な意見だ。
でも、忘れないでほしい。被害者は、それ以上に苦しんだ事実を。
あなたは、生・き・て・い・る。被害者は、生・き・て・い・な・い。
そう考えると、やはりわたしは許せないだろう。
赦してやりたい、その気持ちはゼロではないが、
今までどおりに、つきあうことはできないだろう。
救いのないラストが待っているが、
あれは、彼にとって、最善の救いではなかったかと思う。
最後に、主役の演技のすばらしさについても少しだけ。
あの、ロバート・レッドフォードが凄い、と唸ったそうです(笑顔)。
★彡 ★彡
最近は、邦画に偏りがちでしたが、
こういう作品を見せつけられると、
洋画も見なくては、との気にさせられます。
そして、また観たい映画が増えて・・・
「全部、観れないよ~~」と嘆き悲しむ(苦笑)。
それくらいの思いを突きつけられる、まさに“衝撃作”でした。
◆ ◆
【 補記 】
個人的には、
是非、学校の授業の題材として選んでいただきたいです。
同世代の若者たちが、どのような意見を述べるのか、非常に興味があります。
先入観なしに観て正解☆の傑作
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