青い鳥のレビュー・感想・評価
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首吊り自殺の残影を抱いて
もしも自分がいじめていたクラスメイトが、自殺をはかったら・・・
経験の少なさ故に、本能のまま全霊をかけて相手を罵倒し、強要する。
ふざけ半分でした事なのに、人が死んでしまうなんて・・・
誰もが大金を払ってでも、生きたいと願う。
例えば、がんの末期患者が痛みに耐えかねて自殺をする。
それと同程度の、苦しみを相手は味わったのだ。
逃げても、逃げても、逃げても、首吊り自殺の残影は追いかけてくる。
少しして、きつ音の先生がクラスの担任になった。
身体的に話すのが苦手で、どんな思いがあって先生になったのだろう・・・
その頃、すでに自殺の件はひと段落したという空気感があった。
生徒にたくさん反省文を書かせ、マスコミ対応も終えた。
青い鳥の箱を設置して、悩んでいる生徒のケアも万全だ。
教室に被害者少年の机はもう無かった。
先生は生徒の前で、その机を校庭から運んできた。
少年が元いた場所に机を置く。
生徒の反発は大きく、大音響で授業の邪魔をする。
あんなに反省したのに、まだ私たちを責めるたつもりなんだ・・・
自分の犯した罪の全容は何だったのか全力で考え。
その大き過ぎる真実に、死ぬまで責任を負って生きていくこと
そんなシンプルだけど、難しい答えにたどり着いてほしい。
先生は、森のように静かな覚悟で彼らと対峙する。
説教臭くなるのでなく、真摯にいじめを見つめる
総合75点 ( ストーリー:70点|キャスト:80点|演出:75点|ビジュアル:65点|音楽:75点 )
真摯にいじめ問題に向き合っている映画だと感じた。説教臭くなるわけではなく、理想的なきれいごとばかりを並べるのでもなく、とかく教育的になりがちな問題をとらえつつも映画としてもしっかりと構成されていた。重々しい空気の中でしっかりと人々の姿勢をとらえていた。虐めたもの、見て見ぬふりをしたもの、表面的に体裁を取り繕う学校というものをわざとらしくならず自然に取り入れていた。
いつもの二枚目俳優をすっかりと捨てて、吃音で猫背でよたよたと歩く物静かで朴訥な臨時教師の阿部寛は好演だった。この歩き方と控えめな態度が、きっと子供時代にこの吃音で虐めに合っていたことをほのめかしていた。屋上にいるのはもしかすると自分も飛び降り自殺を考えたことがあるから? だからこそかどうかは知らないが、彼は生徒からも学校からも逃げることなく静かに、しかし強い意志をもってしっかりと問題を見つめていた。自分を見つめなおす生徒の園部役の本郷、ふてぶてしい虐めっこの生徒の井上役の太賀の演技も気に入った。劇中に挿入された音楽はなかったように記憶しているが、冒頭と最後に流れるまきちゃんぐの曲はなかなか作品に合っていた。
人生にリセットボタンなし
心が揺さぶられました
今年の五指に入ります!
これは傑作です。
今年は非常に面白い映画が多いですが、この映画は間違いなく僕の中で、今年のトップ5に入ってくる作品だと思います。重松清さんの作品は「流星ワゴン」しか読んだことがありませんが、その時も「人間の心理描写を非常にきめ細かく、そして温かく書く作家さんだなぁ。」と思いました。この映画でも重松さんらしさがでていると思います。
テーマは、中学校でのいじめですが、僕はこの作品にはもっと深いメッセージがあるように思いました。それは、いじめ以前に「人とどう接するか。」です。他人と接するときに、その関係を簡単にリセットすることが出来ないんだよ、という言葉が込められているように思えました。とても熱い映画です。
上映館数が少ないので、なかなか劇場で見る機会もないかもしれません。そんな人にもぜひDVDで見るようにお薦めしたい作品です。音楽も素晴らしいですし、また「静寂」を非常に上手に使っています。画面に釘付けになります。そして、阿部寛の演技も抜群です。文句なしの傑作だと思います。
あ、あと音楽担当の「まきちゃんぐ」ですが、なんと僕と同じ岡山県出身です。他の曲も聴いてみましたが、なかなか心にしみる良い音楽だと思います。これから注目したいと思います。
教師の理想像かも知れないが、少し現実離れのモンスター教師
この作品、
ケチをつけようとすれば色んないいがかりのできる映画だけれど
まず、この映画の趣旨に沿って温かい見方から。
突然、
市の教育委員会からの派遣という事で
村内先生というどもりの先生が中学校の担任として
2年1組にやって来ます。
このクラス、いわく付きなのです。
イジメが原因で
クラスメイトが自殺未遂を起こし転校しているのです。
村内先生、自殺した野口君の机を教室へいれ、
「毎日、野口君おはよう」とやるから、
クラスメイトはたまりません。
彼らはこの事件を忘れてしまいたいのです。
そんなことお構いなしに、先生は毎日続けるうちに
軋轢が表面化してきます。
先生の主義主張は、どもりだけれど、本気でしゃべるから
本気で聞いてくれ、これだけです。
生徒の方は、そんなこと言われても、
今までそんな先生いなかったから、
面食らいます。
メッセージは明確で、
物事を本気で受け止め、本気で対処するということ。
それと、やっちゃった事は、
ゲームのように一からやる直す事は出来ない。
その失敗をどのように受け止め、今後の糧にするか。
そんな風に受け止めたました。
さて、この作品を、「B」としてしまった理由は
村内先生のような人は、日本の教師にいるのか?
金八先生はなんとなくいそうな感じがするけれど
村内先生がまるで聖人君主のように描かれすぎていて
ちょっと引いちゃったせいです。
村内先生を、もっと身近な人間臭い先生にして欲しいと思いました。
それと、結構笑えるというか
反面教師として、
生活指導の先生が描かれていました。
この先生、イジメを無くする為に
大人の論理で、目安箱みたいなものを作るのですが
当然そんなものに投書するヒトなんか、
いないわけで。
いまどき、こんな先生がまだいるとするならば、
日本の教育現場は、危ない!
と、見たほうがよさそうですね。
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