劇場公開日 2009年12月18日

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THE 4TH KIND フォース・カインド : インタビュー

2009年12月8日更新

2000年にアラスカ州ノームで起こった未解決事件を題材に、心理学者アビゲイル・タイラー博士が撮影した記録映像、音声、インタビューと再現映像を織り交ぜながら描く実録スリラー「THE 4TH KIND フォース・カインド」。本作でタイラー博士を演じたミラ・ジョボビッチにインタビューを敢行し、衝撃映像の真相に迫る。(取材・文:編集部)

ミラ・ジョボビッチ インタビュー
「あの記録映像はそれまでの自分の経験をすべて超えたものだった」

今回は主演とナビゲーターを兼ねるミラ・ジョボビッチ (C) Mayumi Nashida
今回は主演とナビゲーターを兼ねるミラ・ジョボビッチ (C) Mayumi Nashida

■衝撃の記録映像を自分の目で確かめて

記録映像(上)と再現映像を交えながら 事件の真相に迫る
記録映像(上)と再現映像を交えながら 事件の真相に迫る

――この作品のどんなところに一番惹かれましたか?

「現実に存在する人々の記録映像に基づいた話だという点ね。記録映像は私も見たけど、これまでの人生の中でもっともゾッとしたわ。私はもともと物事を簡単には信じないタイプだけど、あの映像は私の物の見方を完全に変えた。だから観客のみなさんも、自分の目で見て自分で判断してほしい。どうしてあんなことが起きたのかは分からないわ。でも映像の中に出てくる部屋の中での出来事は事実で、彼らの中には半身不随で歩けなくなってしまった人もいるのよ」

――現代の映像技術があれば、どんなこともリアルに作り出すことができますが、記録映像はすべて本物だと信じているのですか?

「もちろん本物だと思うわ。これは映像の魔術なんかじゃない。あるドクターが行った本当の精神分析施術の記録テープなのよ。そして、みんな実在する人たちが映っているの。ドクターの施術(セッション)を受けた膨大な数の患者の映像を見れば、わざわざ誰も見ないような記録映像を捏造したりしないって分かるはず。そんなの単純にバカバカしいもの。あれは私が今まで見た中でももっとも心を乱されるような映像だったのよ。特に患者のうち2人だけしか記録映像を見る許可が出なかったことも、あれが真実だっていう証拠ね。なぜ私たちはすべてを見られなかったのか。なぜ映画の中では半分の映像しか見せないのか。公開されている映像よりもひどい映像は上映できなかったのよ。どうしてかって? すべての人間が何百万という人に見られたいわけじゃない。多くの人たちは映画として公開されることを拒否したの」

――今回演じたアビゲイル・タイラー博士とは実際に会って話したのですか?

タイラー博士本人には会えなかったものの 心理学を入念にリサーチして役に挑んだ
タイラー博士本人には会えなかったものの 心理学を入念にリサーチして役に挑んだ

「残念ながら、タイラー博士と実際に会うことはできなかったわ。彼女は私たちが真実を伝えることを望んではいたけど、決して誰にも会いたがらなかった。私だけでなく、ほかの出演者たちも本人には会えなかったのよ。だから、私たちは記録映像からできるだけのことを感じ取り、彼らになりきろうと努力したわ。私自身は、大変な目に遭った女性に対する思いやりと共感を自分の中に見いだそうとした。母親という部分では共感できるところもかなりあったし。そうして本質を捉えることで知らない部分を埋めていき、全力を尽くしてタイラー博士という人物を誠実に描いたつもりよ」

――今回演じた心理学者についてどんなリサーチをしましたか? 劇中に催眠療法が頻繁に出てきますが、実際に受けたことはありますか?

「催眠療法に関する文献をたくさん読んだわ。ドクターが患者に催眠術をかけるために行う手順とかね。あとは実際の催眠療法の施術を見学させてもらって、患者にどんな影響を与えるか学ぶこともできた。とても興味深いものだったわ。今の私は昔よりもずっと催眠療法に対してオープンだと思う。随分昔に催眠療法を受けたことがあるんだけど、当時は催眠療法に対して懐疑的で、無意識のうちに催眠術にかかることを拒否してしまった。まずは自分が催眠療法を受け入れることが重要で、心の中で拒んでいたら催眠術にはかからないの。信じることが重要なのよ」

■子を持つ親だからこそ、この役を演じたかった

母親になったことが本作に出演する後押しに
母親になったことが本作に出演する後押しに

――今回は母親役でもありますが、出産・子育てを経験したことで、演じる上で役立ったことはありますか?

「もし私が母親でなかったら、今回の役を同じようには演じることはできなかったわ。それがいいことか悪いことかは分からないけれど、母親だからこそこの役の考えを理解する事ができたし、それがキャラクターに一層の深みを与えたと思う。このことをうまく説明するのは難しいけど、私が子を持つ親だからこそ、母親であるタイラー博士という女性を演じたいと思ったのよ」

――ご自身はUFOや未知の生命体などを信じるタイプですか? また、本作に出演して考えが変わったことはありますか?

「この手のことはあまりよく知らなかったの。SF映画やTV番組なんかでは見たことがあるけど、私はとても疑り深い方だし、そういうのってほとんど滑稽に見えるのよね。でも今回の記録映像は、それまでの自分の経験をすべて超えたものだったし、とても衝撃的で恐ろしかった。未だに夜ひとりで家にいられないもの。友達に泊まりに来てもらわないとダメ。あれを見てから、私は自分が何を信じるべきか、または信じないかを考え直させられた。人間の心理がどう働き、どこが限界で、どの時点で心が壊れてしまうのかは決して誰にも分からない。

本作で描かれていることが真実なら…?
本作で描かれていることが真実なら…?

記録映像で人々の肉体的に起こったことは、物理法則に反してるとしか説明のしようがないけど、私はこれまであれほど恐ろしいものを見たことがなかった。でも、それを見てもらうことが目的だから、もっと劇中に記録映像を使えたらよかったんだけどね。今後、きっと同じような体験をした人たちがどんどん現れると思うわ。というのも、政府当局は多くのことを隠蔽しているんだけど、数年のうちに多くの研究事例が公表されるはず。とにかく、政府はそういう記録を厳重に管理している。でも私たちにはそういう情報を知る権利があるし、少なくともなぜ隠されているのかを知る権利があるはずよ。ただ、私はこの記録映像を見たとき、なぜ政府が情報を隠したがるのか理解できたわ。だって事実を知ったら錯乱する人が出るかもしれないもの」

――最後に本作の見どころをお願いします。

「世の中には理解不可能な現象が実際はたくさんあり、それを頭から否定してはいけない場合もある、ということをみなさんに理解してほしいの。実際に、否定できない目に見える形で人生を変えるような出来事が人々に起こっているのだから。私たちはフィルムメーカーとして、そういうことが起こり得るという事例のいくつかをこの映画で見せているのよ」

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