ハート・ロッカーのレビュー・感想・評価
全148件中、21~40件目を表示
【”全編に漲る緊迫感が尋常ではない作品。”キャスリン・ビグロー監督がイラク戦争を仕掛けたジョージ・ブッシュに激しい怒りを叩きつけた作品。米軍爆発物処理班の過酷な任務をリアルに映し出した作品でもある。】
■今作は、米国が大量破壊兵器をイラクが持っているという理由でジョージ・ブッシュが仕掛けたイラク戦争により、彼の地に駐留する事になった米軍爆発物処理班の過酷な任務をリアルに映し出した作品である。
◆感想<Caution! 内容に触れています。>
・冒頭の爆発物処理のシーン。地を這う様なカメラアングルで無人車で仕掛けられた爆発物を処理しようとするシーンを追う。
そして、米軍爆発物処理班のトンプソン班長が、分厚い防爆服を着ながらも、イラク軍が仕掛けた罠のために、殉職するシーンの苛烈さに驚く。
- あれだけ、厚い防爆服を着ていても、身体を守れない程の、爆発物の威力。-
・イラク戦争は、御存じの通り、米国がサダム・フセインを排除するために、米国が大量破壊兵器保持を理由として、一方的に仕掛けたイラクへの軍事介入である。
そして、結果としてサダム・フセインは捕らえられたが、大量破壊兵器の存在は確認されず、有耶無耶にされた。結果として、米軍、イラクの人民も含めて多数の死者が出、ムスリムのジハード思想により、今作でも描かれた通り自爆テロが行われた事は、周知の事実である。
キャスリン・ビグロー監督はジョージ・ブッシュの行為に対し、イラク戦争をリアルに、米軍を英雄視せずに描くことで、強烈な怒りを表明したのである。
・物語は、2004年夏。イラク・バグダッド郊外から始まる。
米陸軍の爆発物処理班・ブラボー中隊に、新たな爆発物処理班班長・ジェームズ(ジェレミー・レナー)が赴任する。型破りなジェームズのやり方に戸惑うサンボーン(アンソニー・マッキー)とエルドリッジ技術兵(ブライアン・ジェラティ)
”ブラボー中隊任務終了まで〇〇日”と度々テロップが出る中、3人は時に対立しながらも、過酷な任務を切り抜けていく。
- 灼熱の砂漠の中での、急襲を受けた後の、イラク兵スナイパー達との持久戦のシーンや、人間爆弾として使われるイラクの子供の死体。
そして、彼らの動きを建物から見つめるイラクの民たちの視線も印象的である。-
<今作は、イラク戦争で闘う米軍を全く美化せずにリアルに描いている所が、真骨頂である。そして、米軍に対抗してくるイラクの民たちの自爆をも厭わない、ジハード思想の描き方。
キャスリン・ビグロー監督は今作と、以降の「ゼロ・ダーク・サーティ」「デトロイト」(この2作品の緊迫感も尋常ではない。)により、ジェームズ・キャメロンの元妻というレッテルを剥ぎ取り、戦争及び米国の負の歴史を美化せずに描く第一人者となったのである。>
単独行動が過ぎる爆弾処理班長を中心にイラク戦争を淡々と描く。事件は...
単独行動が過ぎる爆弾処理班長を中心にイラク戦争を淡々と描く。事件はいくつか起こるものの、どれも大きな変化や感動をもたらすものではない。戦争は麻薬ってことなんですね。ということは冒頭でネタバレしてたってことか(笑)
アカデミー作品、私にとっては面白い作品があまりない。
BS12字幕版鑑賞
優しさやヒューマニズムのかけらも無い死と直結するリアルな戦争の本質
女性監督による戦争映画が珍しく、しかもアカデミー賞受賞ということで、映画館に行き鑑賞した覚えがある。
キャサリン・ビグロー監督による2009年公開の米国映画。脚本はマーク・ボール(製作兼任)で、撮影はバリー・アクロイド。
イラク戦争におけるジェレミー・レナー演ずる爆弾処理班班長が主人公。
彼は解体した爆弾は800以上。死と直結の仕事で恐ろしいはずだが、通常の精神がいかれて麻痺してしまっているのか、全く危険を顧みない行動を取る。
戦争の中、人知れず国家のために頑張っている人間に光を当てた映画ということかもしれないが、むしろ戦争により否応なしに兵士にもたらされた狂気そのものを感じさせられた。
画像の粗さと砂塵舞う過酷な戦場風景も相まってか、優しさやヒューマンニズムのかけらも無い死と直結するリアルな戦争の本質を、独特の映像により体験させられた思いがした。
NHKスペシャル
ほぼドキュメンタリーとして見れば間違いありません。ただひたすら爆弾処理の緊迫した場面が延々と続きます。映画なので一応ストーリーありますが、なくてもいいです。脚本は必要最小限、爆弾処理事態が主役なので役者の演技にも重要性ありません。人物の背景とか人間描写に主題はありません。反戦と捉えるか、単に爆弾処理班カッコいいなあ、と思うかは見た人が勝手に考えれば、っていう突き放した態度が大変よろしい。それでも2時間保たせる演出は大したもんです。
但し、ダメな人には全くダメな映画なので30分見てダメなら、話しは進展しないので止めちゃった方が時間の節約です。
戦争は麻薬、なんだろうねやっぱり
中毒の理由は、単純にサイコパスな場合と、「ここでなら自分にできることがある」と思える場合があるのかも。
「誰かに必要とされてる。自分は役に立つ」って思えることが大事なのかもね。
精神が削り取られていく
イラク戦争中の爆弾処理団の死闘を描いた今作。
戦争と言っても相手は爆弾。しかも市街地で多くの住人がいる中での作業。死がこんなに身近にある状況で、住人に紛れ込んでいる敵は誰なのか?こんな環境にいたら精神がすり減ってしまうと思った。
イラク戦争の正当性についての葛藤が描かれていたら更に良かった気がした。
人対人ではない戦争映画
画面を見ていて何かこれまでの戦争映画とは違うな、と思っていたら気が付いた。
あまりマッチョがいない。
それもそのはずと爆弾処理班が主人公のこの映画は、対人ではなく対トラップだ。ゆえに部隊が展開するダイナミックさよりも、いつドカンと来るかもしれない閉塞感とジワジワ感がたまらない。
主人公のクレイジーさは映画ならではとして、彼らの仕事の不毛さにはやはり、戦争状態という失態を痛感せずにはおれない。
ふともするとドキュメンタリーかと思えてしまう映像も秀逸な1本は、その他シールズが出てくる戦争ものと合わせてみると相乗効果でなお奥行がでてくるのでは、と感じた。
USAで受けるわけだ
最新の『MI』にブラントがいないと思っていたら、ここで任務に就いていたのね。という冗談はさておき(制作年代が違うよ)。
あれ?
冒頭に「高揚感は~中毒になる」「戦争は麻薬だ」とテロップが流れる。
戦争によって、本来の生活・人生を壊されてしまった人の映画かなと想像する。
たしかに、戦場でしか生きられなくなってしまった主人公。
無謀な作戦。自殺したいのか?とも言えるような。
USAに帰ってからのスーパーマーケットでの戸惑いが見事。
対局として、
基本慎重な兵士。
「撃つか?」と責任を上司に丸投げする、ぎゃあぎゃあうるさい兵士。
あっけなく散る命。
そのコントラストで、主人公の、常軌を逸した行動が際立つ。
けれどね、観ているうちに主人公が、誰もがやりたがらないけれど、人の命を守るために自分の命・人生をかけているヒーローのように見えてくる。
”戦争”現場というより、テロに巻き込まれた現地の人を助けることに命をかけているシーンしかない。
途中、西部劇を彷彿とさせるシーンもある。
たんに、ドンパチ華やかにやり合うのではなく、手に汗握る、こんなことも起こりえるんだというような細やかな部分を丁寧に見せてくれるヒリヒリとした緊迫したシーンなのだが。
そんな彼らの仕事を称賛する軍の上司。
”英雄扱い”もドラッグの一種か。
同じような任務に就いた人ー爆弾処理班ではなくともー現地で活動した兵士の気持ちを代弁しつつ、ヒーロー気分を味わえる。
もしくは、彼らを困難なミッションをこなすヒーローとして称賛したくなる。
この映画から私に伝わってくるのは、
”戦争””兵士”の悲惨さや無常ではなく、
テロ組織から現地の人々を守る活動へのやりがいと困難さ。
そういう映画なのか?
このような任務を経験した脚本家の経験がベースなのだという。
だったら、彼らの経験を否定するわけにはいくまい。
「こんなにたいへんなことをやってきた人たちなんだよ」ということを理解してもらう為の映画なのか。
監督は、それが描きたかったのか?
それはそれで意味のある映画なんだろうけれど。
童顔のレナー氏に魅了されつつも、何かすっきりしない。
追記:黒い場面はありますが、肉片がとびちったりとかの場面はありません。さすが女性監督。映像がワンシーンを除けば、汚らしくはない。冒頭の映像は、偵察マシンが見ている映像だね。
再視聴でもドキドキ
久しぶりの再視聴でしたが、爆弾処理シーンはやはりスリリングでドキドキです。スナイパーとしての腕も凄くて、過酷な状況の中での集中力が半端なく凄いです。ラストのジェレミーの生き生きとした顔が印象的です。
ホークアイとファルコンそしてワスプも出演していたんですね。
ドキュメンタリーの様なリアルさ。
この作品を観ると派遣されている兵士は何をモチベーションに頑張ってるのか解らない。自国や家族の為ではなく他国民の為に命を掛けて、その国の人に命を狙われる・・・。自分には絶対出来ない。
作品の方はドキュメンタリーの様なカメラワークでとてもリアル。主人公がなぜ命知らずな行動をとるのかは最後の帰国してからの描写で想像出来る演出。
自分には理解出来ないがヒマラヤやマッキンリーなんかに登る冒険家に近い感じなのかと思う。
ジェレミー・レナーも良かった。爆弾を処理してる時の生き生きした表情と対照的な帰国後の表情とか・・・。
好きな俳優だと認識した。
大好き
何度見てることか。
映画を分割で観る癖のある自分だが、この映画を途中で止めたことがない。
不自然にドキュメンタリーにしすぎて、ざらつきすぎていることもない。かといって、活劇でもない。
ただただ、のめり込むほどに、狂っている。
戦争に、危険に、心を奪われた「狂」の物語。
War is a drug. 止められない止まらない。
ジェレミー・レナー、2018東京コミコン来日記念(見れなかったけど)ということで今月はジェレミー・レナーの出演作を色々観ていく題して1人で勝手に「ジェレミー・レナー強化月間」です。ジェレミー・レナーってアベンジャーズやミッション・インポッシブルで良く観ているのですが、それ以外では余り観てないんですよね。
という訳で第一回はジェレミー・レナーの名を一躍有名にした「ハート・ロッカー」です。イラク戦争時の爆弾処理班を描いています。アメリカがイラクへ「大量破壊兵器持ってるやろ」って因縁付けた戦争として、端からみるとロクでもない酷い戦争とわかるのですが、そんな戦争でも現場の兵士は命懸けだったんだなっと感じました。まぁ、多国籍軍の戦死者数約2万5千人に比べ民間死者数は10万人超えなんでイラク人にとっては本当に迷惑以外何物でもない戦争だった訳ですが・・・
しかし、本作のジェレミー・レナーは良かった!いつ爆発するかわからない緊張感の中、型破りな爆弾処理員ウィリアムを好演しています。ウィリアムのヒリヒリする状況じゃないと生きられなくなっている悲劇。ラストのアメリカのスーパーでのシリアルに呆然としてるシーンはどこかおかしくなってしまってるウィリアムを見事に表現していますね。
息子に大事な物は1つしか残っていないって語りかけたその1つは家族の事ではないでしょう。誰かがやんなきゃいけないからって自分に言い訳しながら実は戦場へ赴く事を願っている。最後の爆笑へ向かってる時の清々しい顔といったら!冒頭に出てくる戦争は麻薬だって言葉が全てを表しています。
ちなみにアンソニー・マッキーとジェレミー・レナーはアベンジャーズ繋がりですね。その他にもガイ・ピアーズがいたり、エヴァンジェリン・リリーが出てたりで後のマーベル俳優が不思議と揃ってます。
大げさなアクションは無くともリアルな戦争を感じる本作。アカデミー賞納得の作品でした。
最近の戦争映画ではピカイチ
アメリカンスナイパーに匹敵する出来である。
爆弾処理というのはとても危険な仕事だが、その処理に当たる隊員は
危険に当たって心拍数が下がり落ち着くという。
これは通常の生活を送る人間としてはいささか異常な話だ。
戦場ならではの空気感、異常が正常となり、ありとあらゆる良識は失せる。
人間爆弾が登場するシーンはこの映画屈指のシーンだ。子供の遺体を弄って
爆弾にしてしまったのだ。これを処理するに当たってさしもの主人公も苦悩する。ただ興味深いのはこれすら主人公が戦場を離れる理由にはなり得ないということである。他の隊員は終盤で、その弱さを終ぞ吐露する。しかし主人公は苦悩するものの、強烈に戦場に惹きつけられる。その業がまざまざと
映し出されている。
冒頭に戦争は麻薬であるという緒言が描かれるが
最後まで見終われば、なるほどその通りである。
The Narcotic Farm
爆発までのリズムは気持ち良く、役者の表情もその場の雰囲気を漂わせていた。
しかし、画面がドキュメンタリータッチならば、音響演出でリアリズムから脱して欲しいところだ。
ペンローズの365日が始まる。
全148件中、21~40件目を表示