ハート・ロッカーのレビュー・感想・評価
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精神が削り取られていく
イラク戦争中の爆弾処理団の死闘を描いた今作。
戦争と言っても相手は爆弾。しかも市街地で多くの住人がいる中での作業。死がこんなに身近にある状況で、住人に紛れ込んでいる敵は誰なのか?こんな環境にいたら精神がすり減ってしまうと思った。
イラク戦争の正当性についての葛藤が描かれていたら更に良かった気がした。
人対人ではない戦争映画
画面を見ていて何かこれまでの戦争映画とは違うな、と思っていたら気が付いた。
あまりマッチョがいない。
それもそのはずと爆弾処理班が主人公のこの映画は、対人ではなく対トラップだ。ゆえに部隊が展開するダイナミックさよりも、いつドカンと来るかもしれない閉塞感とジワジワ感がたまらない。
主人公のクレイジーさは映画ならではとして、彼らの仕事の不毛さにはやはり、戦争状態という失態を痛感せずにはおれない。
ふともするとドキュメンタリーかと思えてしまう映像も秀逸な1本は、その他シールズが出てくる戦争ものと合わせてみると相乗効果でなお奥行がでてくるのでは、と感じた。
USAで受けるわけだ
最新の『MI』にブラントがいないと思っていたら、ここで任務に就いていたのね。という冗談はさておき(制作年代が違うよ)。
あれ?
冒頭に「高揚感は~中毒になる」「戦争は麻薬だ」とテロップが流れる。
戦争によって、本来の生活・人生を壊されてしまった人の映画かなと想像する。
たしかに、戦場でしか生きられなくなってしまった主人公。
無謀な作戦。自殺したいのか?とも言えるような。
USAに帰ってからのスーパーマーケットでの戸惑いが見事。
対局として、
基本慎重な兵士。
「撃つか?」と責任を上司に丸投げする、ぎゃあぎゃあうるさい兵士。
あっけなく散る命。
そのコントラストで、主人公の、常軌を逸した行動が際立つ。
けれどね、観ているうちに主人公が、誰もがやりたがらないけれど、人の命を守るために自分の命・人生をかけているヒーローのように見えてくる。
”戦争”現場というより、テロに巻き込まれた現地の人を助けることに命をかけているシーンしかない。
途中、西部劇を彷彿とさせるシーンもある。
たんに、ドンパチ華やかにやり合うのではなく、手に汗握る、こんなことも起こりえるんだというような細やかな部分を丁寧に見せてくれるヒリヒリとした緊迫したシーンなのだが。
そんな彼らの仕事を称賛する軍の上司。
”英雄扱い”もドラッグの一種か。
同じような任務に就いた人ー爆弾処理班ではなくともー現地で活動した兵士の気持ちを代弁しつつ、ヒーロー気分を味わえる。
もしくは、彼らを困難なミッションをこなすヒーローとして称賛したくなる。
この映画から私に伝わってくるのは、
”戦争””兵士”の悲惨さや無常ではなく、
テロ組織から現地の人々を守る活動へのやりがいと困難さ。
そういう映画なのか?
このような任務を経験した脚本家の経験がベースなのだという。
だったら、彼らの経験を否定するわけにはいくまい。
「こんなにたいへんなことをやってきた人たちなんだよ」ということを理解してもらう為の映画なのか。
監督は、それが描きたかったのか?
それはそれで意味のある映画なんだろうけれど。
童顔のレナー氏に魅了されつつも、何かすっきりしない。
追記:黒い場面はありますが、肉片がとびちったりとかの場面はありません。さすが女性監督。映像がワンシーンを除けば、汚らしくはない。冒頭の映像は、偵察マシンが見ている映像だね。
再視聴でもドキドキ
久しぶりの再視聴でしたが、爆弾処理シーンはやはりスリリングでドキドキです。スナイパーとしての腕も凄くて、過酷な状況の中での集中力が半端なく凄いです。ラストのジェレミーの生き生きとした顔が印象的です。
ホークアイとファルコンそしてワスプも出演していたんですね。
ドキュメンタリーの様なリアルさ。
この作品を観ると派遣されている兵士は何をモチベーションに頑張ってるのか解らない。自国や家族の為ではなく他国民の為に命を掛けて、その国の人に命を狙われる・・・。自分には絶対出来ない。
作品の方はドキュメンタリーの様なカメラワークでとてもリアル。主人公がなぜ命知らずな行動をとるのかは最後の帰国してからの描写で想像出来る演出。
自分には理解出来ないがヒマラヤやマッキンリーなんかに登る冒険家に近い感じなのかと思う。
ジェレミー・レナーも良かった。爆弾を処理してる時の生き生きした表情と対照的な帰国後の表情とか・・・。
好きな俳優だと認識した。
大好き
何度見てることか。
映画を分割で観る癖のある自分だが、この映画を途中で止めたことがない。
不自然にドキュメンタリーにしすぎて、ざらつきすぎていることもない。かといって、活劇でもない。
ただただ、のめり込むほどに、狂っている。
戦争に、危険に、心を奪われた「狂」の物語。
War is a drug. 止められない止まらない。
ジェレミー・レナー、2018東京コミコン来日記念(見れなかったけど)ということで今月はジェレミー・レナーの出演作を色々観ていく題して1人で勝手に「ジェレミー・レナー強化月間」です。ジェレミー・レナーってアベンジャーズやミッション・インポッシブルで良く観ているのですが、それ以外では余り観てないんですよね。
という訳で第一回はジェレミー・レナーの名を一躍有名にした「ハート・ロッカー」です。イラク戦争時の爆弾処理班を描いています。アメリカがイラクへ「大量破壊兵器持ってるやろ」って因縁付けた戦争として、端からみるとロクでもない酷い戦争とわかるのですが、そんな戦争でも現場の兵士は命懸けだったんだなっと感じました。まぁ、多国籍軍の戦死者数約2万5千人に比べ民間死者数は10万人超えなんでイラク人にとっては本当に迷惑以外何物でもない戦争だった訳ですが・・・
しかし、本作のジェレミー・レナーは良かった!いつ爆発するかわからない緊張感の中、型破りな爆弾処理員ウィリアムを好演しています。ウィリアムのヒリヒリする状況じゃないと生きられなくなっている悲劇。ラストのアメリカのスーパーでのシリアルに呆然としてるシーンはどこかおかしくなってしまってるウィリアムを見事に表現していますね。
息子に大事な物は1つしか残っていないって語りかけたその1つは家族の事ではないでしょう。誰かがやんなきゃいけないからって自分に言い訳しながら実は戦場へ赴く事を願っている。最後の爆笑へ向かってる時の清々しい顔といったら!冒頭に出てくる戦争は麻薬だって言葉が全てを表しています。
ちなみにアンソニー・マッキーとジェレミー・レナーはアベンジャーズ繋がりですね。その他にもガイ・ピアーズがいたり、エヴァンジェリン・リリーが出てたりで後のマーベル俳優が不思議と揃ってます。
大げさなアクションは無くともリアルな戦争を感じる本作。アカデミー賞納得の作品でした。
最近の戦争映画ではピカイチ
アメリカンスナイパーに匹敵する出来である。
爆弾処理というのはとても危険な仕事だが、その処理に当たる隊員は
危険に当たって心拍数が下がり落ち着くという。
これは通常の生活を送る人間としてはいささか異常な話だ。
戦場ならではの空気感、異常が正常となり、ありとあらゆる良識は失せる。
人間爆弾が登場するシーンはこの映画屈指のシーンだ。子供の遺体を弄って
爆弾にしてしまったのだ。これを処理するに当たってさしもの主人公も苦悩する。ただ興味深いのはこれすら主人公が戦場を離れる理由にはなり得ないということである。他の隊員は終盤で、その弱さを終ぞ吐露する。しかし主人公は苦悩するものの、強烈に戦場に惹きつけられる。その業がまざまざと
映し出されている。
冒頭に戦争は麻薬であるという緒言が描かれるが
最後まで見終われば、なるほどその通りである。
The Narcotic Farm
爆発までのリズムは気持ち良く、役者の表情もその場の雰囲気を漂わせていた。
しかし、画面がドキュメンタリータッチならば、音響演出でリアリズムから脱して欲しいところだ。
ペンローズの365日が始まる。
観る者もまた中毒者である
戦争の当事者たちの麻薬のような中毒性。しかし、
観ている視聴者自身も戦争を観ることに中毒しているのではないのか?
そう考えると、傍観者もまた関係者なのである、と思わずにはいられない。
いや戦争や麻薬に限らず、中毒性というものは誰しもそれに弄されるリスクを抱えて生きている。映画、読書、音楽、スポーツ、仕事、家庭生活、子育て、etc。
日本人にとっての、あるいは私自身にとっての中毒性というものを考える。
この映画を「映画として観る」だけではもったいない。
ハート・ロッカー
死と隣り合わせの日常を生きるアメリカ軍爆発物処理班の男たちの姿を力強く描き出した緊迫の戦争アクション。
テロの脅威が続く混沌のイラク・バグダッドを舞台に、
爆発処理チームのリーダーとして新たに赴任した破天荒な主人公ら3人の兵士が尋常ならざるプレッシャーに晒されながら爆弾解除に取り組むさまを、
徹底したリアリズムで生々しくスリリングに捉えていく。
実に7年ぶりのキャスリン・ビグロー監督作品です。
女性なのにこれほど男臭い映画が撮れるのには感心する。
爆弾処理やゲリラとの戦闘の緊張感はただごとではなく、
終始緊張感のある展開は、
見終わった後はめっちゃ疲れました。
誰もが命を落としうる戦場のリアリティを追求するため主要キャストを有名スターではない若手俳優を抜擢したのは正解だと思います。
驚いたのは豪華俳優陣のサプライズ出演でした。
請負チームリーダー役のレイフ・ファインズ、
マット・トンプソン軍曹役のガイ・ピアース、
リード大佐役のデヴィッド・モース、
コニー・ジェームズ役でエヴァンジェリン・リリーが限られたシーンの中で存在感を発揮。
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