ハート・ロッカーのレビュー・感想・評価
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市民全員が爆弾テロリストに見えてくる〜製作陣の力量
2009(日本は2010)年公開、アメリカ映画。
【監督】:キャスリン・ビグロー
【脚本】:マーク・ボール
主な配役
【ウィリアム・ジェームズ一等軍曹】:ジェレミー・レナー
【J・T・サンボーン三等軍曹】:アンソニー・マッキー
【オーウェン・エルドリッジ特技兵】:ブライアン・ジェラティ
【マシュー・トンプソン二等軍曹】:ガイ・ピアース
アカデミー賞にて、作品賞、監督賞、オリジナル脚本賞、編集賞、音響効果賞、録音賞受賞。
1.「極限状態」
Hurt Lockerは軍隊の隠語で、ギリギリの状態、棺桶といった意味合いだという。
※恥ずかしながら、最初は ″Heart Rocker″ だと思っていた。戦争中毒でも意味するのかと勝手読み…
監督のキャスリン・ビグローも、撮影時は極限状態だったのではないか?
◆コロンビア大学芸術大学院で映画理論を専攻
◆モデルとしても活動
◆ジェームス・キャメロンの元妻
成功を期待された彼女だが、
本作の前2作(『ストレンジ・デイズ/1999年12月31日』と『K-19』)は、製作費の半分も賄えない、とてつもない大赤字で興行的には大失敗。
58歳で臨んだ本作は、背水の陣だったはずだ。
(勝手な思い込みの可能性あり)
低予算ながら、大ヒットを放ってみせた。
2.緊迫感
本作については、
一部のホンモノの軍人からは、不評もあるようだが、
画面から漂う緊迫感は、シロウトを十分にビビらせてくれる。
観ていると、
誰と、
何と戦っているのか、分からなくなる。
すべての市民が爆弾テロリストに見えてくる。
製作陣の力量だろう。
素晴らしい。
爆発物処理の場面はもちろんのこと、
砂漠の真ん中で敵と対峙し、狙撃し合うシーンも、
観ているだけで、顔面が日焼けしたような気になる。
3.まとめ
砂漠の戦争と言えば、ロンメルから書き換えできていない私には、新たな情報をたくさんくれた映画だ。
近い将来、
いわゆる「戦闘」は、ロボット兵士やドローンにすべて任されるようになるだろう。
戦争に限らず、
世に存在する「危険な仕事」は、人間の手を離れていくに違いない。
命知らず、とか、こわい物知らず、
といわれたタイプの人間は、
どこに、何に、生きる道を見つけるのだろうか?
☆4.0
向こう見ずな主人公は戦争の狂気が作り上げたものなのか…
アカデミー作品賞受賞のこの映画、
起爆方法と破壊力が場面場面で
都合良く使い分けられ過ぎている傾向を
感じたものの、
緊迫感に溢れた作風に引き込まれた。
しかし、何故か初めに観た時の印象が
あまり残っていない再鑑賞となった。
爆弾(こちらは地雷)処理兵の話となると、
やはりアカデミー作品賞を受賞した
「イングリッシュ・ペイシェント」
のインド人工兵を思い出すが、
この作品での主役、レイフ・ファインズが
出演していたことには驚いたが、
冒頭のガイ・ピアースと共に、
名のある俳優が登場後直ぐに戦死するという
チョイ役出演にも更に驚かされた。
理解不能なのは、主人公の軍曹が、
何故、こうまで向こう見ずなのかという
点なのだが、
ベッカム少年への思い入れから、
一人危険な地域に入り込んだり、
離縁している家族との関係から想像すると、
危険な行為への強い使命感というよりも、
作品冒頭での“戦争は麻薬である”
とのテロップもあり、
ある意味、戦争の狂気が作り上げた人物
としたかったのだろうか。
更に、反戦意図的に印象的だったのは、
主人公がスーパーに買い物に来たシーンで
映し出された膨大な数の食料陳列。
その直前の荒廃したバグダッドの街とは
対極に感じている中、
そもそもが、やはり印象的だった冒頭での
米軍の戦闘車両がイラクの街を
我が物顔で進むシーンからして、
監督の戦争に異議を唱えることからの
描写なのだろうが、
やはり、戦場における兵士の心理を描いた
イーストウッドの「アメリカン・スナイパー」よりも少し印象が薄かったのは、
主人公の心理を今一つ掴みきれなかったから
だったろうか。
危険中毒
公開当時、知人にこの映画の感想を聞いたところ、「バーン!ドカーン!って感じだった!音が大きいから寝なかったよ!」と。え…感想それだけなん?中身うっすいなあ…と思いずっと観ていなかった。いや、バーンドカーンだけちゃうやんけ!監督たちに謝りなさいと今更になってツッコミ。映像の迫力はもちろん、物語としても違和感はなく観ることができた。
イラクで爆弾処理にあたる部隊の緊迫感あふれる日々を描いた本作。常に危険と隣り合わせで先が読めない。いつ誰が死んでもおかしくない。誰か死んだとしても感傷的になる時間もなく任務が次から次に。アメリカの現地派遣された兵士たちはPTSDになり自ら命を絶つのが社会問題になっていると以前ニュースで見たが、この人たちも例外ではなく心に深い傷を負っていることは物語の中でもわかる。
ジェームズは危険中毒なのだろう。もちろん爆弾処理という自分にしかできない使命感が彼を突き動かすのであろうが、家族とゆったり過ごしたり、なにか趣味を楽しんだりとそういう当たり前の日常が逆に物足りなく窮屈に感じているのかもしれない。専門家ではないのでもちろん分からないが、ジェームズは普通の心理状態ではないのかもしれないと感じた。あまりにも自分の状況とはかけ離れているので理解はできなかったが、また残される家族の気持ちを考えるとなんとも切ない気持ちになった。
鑑賞後、この映画に関して監督が語っている記事を読んだ。ガイピアースとレイフファインズ(どちらもちょい役)が出演しているが、ガイピアースは地味やけど、レイフファインズの存在感はこの映画の世界観を壊してしまうと懸念していたと。
え!ガイピアースってそんな地味な扱いなん!?大御所やと思ってたけど…地味なんて言わんといて〜🤨
とてもよく出来たハードボイルドのアクション映画
2009年のアカデミー賞の作品賞、監督賞など6部門を受賞した作品。
2004年のイラク・バグダッド郊外で、米軍の爆弾処理班の活動を描いている。
とてもよく出来たハードボイルドのアクション映画の傑作だと思う。ただ、アカデミー賞を取る作品かと言われれば、?というのが正直な気持ち。
主人公が、ジェレミー・レナーで、ラッセル・クロウを初めて見たときのような、魅力のある役者だし、出て来る役者も無名ながらよくハマっている。映画的にはとても面白い。
アクション映画としてみたら最高の映画だが、こと現実のことを描いているということを考えると、「映画」にのめりこみすぎなのが気になる。
実際の兵士から、事実と違うと抗議があったとか。
それは、この映画を見れば当然である。まさに映画的効果を狙った人物造型。かなり人工的に思える。例えば最後に腿を撃たれて帰国する兵士が、あんなに主人公を罵るか?また彼自身の心理描写も単純に思える。作り手の想像の範囲を超えていない。様々の事例を合わせた典型なのかもしれないが、ちょっと浅い。軍医にいたっては、ありえない、と素人の目でも思える。患者である兵士に「あんたは現場に立ってない」と反論され、それで現場同行を申し出るなんて、普通考えられない。案の定軍医は爆死してしまう。下手な偽善が命を落とす典型として。と、よく見るとかなりウソ臭い。主人公にいたっては、ラストでは、カッコよく登場する。(映画的には最高なんだけど‥)
この監督にとって、アクション映画の設定として「美味しい」現実が、イラクの実態だったのだろう。現実にある話を、リアルに臨場感たっぷりに描けば、それだけで「反戦」映画になるという確信のもとに、彼女(キャスリン・ビグロー監督)は嬉々としてアクション映画を撮っているように思える。
結局、今のイラクの現状や米国兵士の苦悩より、アクション映画を描きたかったと思うしかない映画である。それであれば、すこし現実から距離を置いて描くのがスジでは?と思うのだが。
「戦争は麻薬」という言葉がこの映画の冒頭に出てくるが、「戦争」だけでなく、やはり「映画」も「麻薬」なのだ。
緊迫感なし、リアルでは無い
一部では評価されてるが、全く面白く無かった。
演出で戦場の緊迫感をやたらと大げさに描く演出は冗長で下品にすら思える
監督は映画を撮る才能が全く無く、映画の神様に愛されていないとしか言えない位に映画制作には向いてない。こういうのは作りたければドキュメンタリー作れば良いと思う
終始緊張感ハンパないが…
第82回アカデミー賞9部門ノミネートされ、作品や監督賞等々6部門受賞作品ということで鑑賞。
本作はイラク戦争中の爆弾処理班の壮絶な死闘を描いているだけに、終始緊張感がハンパない。ざらついたフィルム映像がさらにリアリティーに拍車をかける。気が付くと歯を食い縛り肩が凝ってしまうほど身構えて観ていた。
チームワークを絡めた人間関係やメンバーの個性もしっかり描かれているあたりも、本作の魅力のひとつであるだろう。
かなり観入ってしまう内容ではあるのが、冷静に振り返ると個人的にはアカデミー賞の目玉になるほどでは…というのが正直なところかな。主人公の戦地に生き甲斐を求めているように映る感覚が、しっくりこず反発を感じるからかもしれない。
とはいえ、女性初のアカデミー監督賞作品という意味では必見の作品であろう。
衝撃の映像と音響
劇場で観て以来の観賞。
アカデミー作品、監督賞も納得の心に刺さる作品です。
今になって思えば
アンソニー・マッキー(サンボーン三等軍曹)
今を時めく2代目キャプテン・アメリカ役。「キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド」が2025/2/14日米同時公開。
レイフ・ファインズ(PMC分隊長 )
「ハリー・ポッター」シリーズで言わずと知れたヴォルデモート卿役で有名です。
デヴィッド・モース(リード大佐)
「グリーンマイル」のブルータル役でこちらも有名。
エヴァンジェリン・リリー(コニー・ジェームズ)
「アントマン」シリーズのワスプ役。2024年に引退宣言したとの事で残念ですね。
ガイ・ピアース(マシュー・トンプソン二等軍曹)
「メメント」が印象的です。出番が序盤だけとは当時ビックリしたものです。
主演のジェレミー・レナーも含め、名だたる俳優が出演しています。
極限状態に身を置くこと
ジェームズは爆弾処理に成功すると
脳内に幸せホルモンのドーパミンがドバドバ出るんでしょうね。だからもっと大きな爆弾を、もっと難しい爆弾を処理したいって、もっともっとーって思っちゃうのかな。奥さんとの買い物超つまんなさそうですもんね。
それにしても戦争ってほんとクソですね。悲しみ、憎しみ、絶望、不安で溢れ、後には何にも残らず只々消耗するだけ、勝っても負けても瓦礫の山で悲惨な状態。
この作品で本物の戦地を垣間見た気がしました。日本が平和で良かったです。
しらんけど
戦地で爆弾処理に挑む兵士たちの極限の緊張感が伝わり、息をのむシーン...
兵士の日常を切り取ってるだけなんだけど、 めちゃくちゃしんどい こ...
イラク戦争のお話
バクダッドで爆弾処理をする軍曹、班長が主人公のようだ。はじめは、もう一人の軍曹が主人公かなと思った。
前の主任は『危険範囲』の25mよりもだいぶ遠くに逃げたのに亡くなってしまった。
それほどの爆弾だったのか。155mm?とかいってたけど。
次に来た主任が主人公。ぶっ飛んだ行動の人。
午後ロードで観たからなのか、映画全体のストーリーがない。他の人のレビューにある、少年との「交流」も
運転手?の行動もわからなかった。
砂漠の中で出会った部隊(仲間?)が狙撃されるシーンも何もつながりがない。
ただ細切れの爆弾処理班のエピソードを描いているだけのように見える。これも午後ローのせいかな。
イラク戦争は、いやいや戦争は理不尽なものだ、という主張はわかる。
子供の死体を爆弾にしたり、生きている人に無理やりタイマー付きの爆弾をつけたり。
ただその戦争に魅入られて逃れられない人もいる。麻薬に溺れる人のように。
2008年アメリカ映画
任務明けまであと◯日
『戦争は麻薬である』
そういった文から今作は始まる
観賞後読んだレビューに「主人公の姿は米国そのもの」という物があり、私にはとても腑に落ちた
やめたくてやめられないのか、やめたくなくてやめないのか
「米国そのものだ」ではなく「人間という存在そのものだ」と読み直すこともできるかもしれない
主人公はイラクに駐留している米軍人で爆弾処理の専門家
優秀だがスタンドプレーが目立ち、仲間からは疎まれている
町中に仕掛けられているテロ爆弾を処理したり、それが激しい銃撃戦に繋がったりと苛烈な毎日だ
全員が肉体的・精神的に摩耗していく
特に酒を飲んでふざける感覚でお互いを殴り合い、しまいに一線を超えてナイフを首元に突きつけるシーンでは彼らの「何か」が外れかかっていることを感じずにはいられない
しかしそんな日々にも区切りがある
「任務明けまであと◯日」
シーケンスごとに表示されるテロップで観客もそのことを知らされている
区切り。実際の麻薬も一度手を出したらあとは「薬を使わなかった」一日ずつを繰り返すしかないのだという
緊張感、臨場感はあるが、ストーリーはやや散漫な印象
爆弾処理はもちろん、民間人に紛れて敵が潜み、いつ攻撃してくるか分からない緊張感と臨場感を感じられる映画。米兵達も下手に攻撃を行えば国際的な批判の的になるので、彼らも危険を感じながらも、迂闊に先制攻撃できないだろう。それが観ていてさらに緊張感を煽る。命がけで自国のために戦う米兵達に頭が下がる。今作はドキュメンタリー寄りだが、銃撃戦など盛り上がるシーンも入れてきて面白みのある構成になっている。
前線の米兵達の戦闘や爆弾処理の実態をリアルに描いた良い映画だと思う。しかしストーリーは全体的にやや散漫な印象を受けた。爆弾処理や敵アジトへの潜入などそれぞれの作戦に関して、どういった経緯で始まり、問題を解決したその先で最終的には何を達成したいのか、観ていて分かりづらいシーンが多い。あくまで『戦争は麻薬』というテーマを表現したいのかもしれないが、それにしても説明不足な印象。例えば今作と同じ監督の『ゼロ・ダーク・サーティ』はヴィンラディン殺害という最終目的に向けて全ての物事を進めているのが分かるため、そういった印象は受けなかった。
絶対にあり得ない傑作だと思う。
有り余る飽食の国。
愛と自由と民主主義の国。
それがアメリカ合衆国。
彼らはなぜそこを離れ、アドレナリン垂れ流しの砂漠にいるのか?
それが理解できない。だから、数あるシリアルの中からどうでも良い物を選び、戦場に逃げ帰る。それが全く理解できなかった。
だが、しかし、それは演出家のデフォルメ的な狙いなのかもしれないと判断して、共感を示したいと思う。
グロく無くて良かった。それに、主人公の行動は絶対にあり得ない。しかし、
女性だからと言って、人道的で無くても良い。
かと言って、何が次に起こるのか?が気になって疲れてしまった。1時間15分くらいの話にしてもらえれば良かったかなぁ?
描くは地獄なのだから、もう少し早く綺麗な地獄を再現していれば、映像の面も映えたと思う。
おしい傑作だと思う。
原題 The Hurt Locker
製作年 2008年
製作国 アメリカ
劇場公開日 2010年3月6日
上映時間 131分
映倫区分 PG12
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