「描いたのは義賊ではなく強盗。」パブリック・エネミーズ こたーさんの映画レビュー(感想・評価)
描いたのは義賊ではなく強盗。
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ジョニー・デップが伝説の強盗を演じる。
民衆からの義賊として一定の支持を受けていたというジョン・デリンジャーだが、作中でそういった英雄として賞賛を受けていた描写は少なめ。
代わりに銀行強盗の大胆な手口、自身の手腕や無関係の人間は巻き込まないという信念、愛した女を一途に追い求める男、といった部分が多く描かれていたように思う。ジョニーデップの姿がセクシーに見える。
ほとんどは警察に追われる場面が多く、仲間を失いつつ憔悴しきった彼の末路が印象的。終盤打つ手がなくなって、信念を曲げなくてはいけない犯罪にも手を染める。
現代に比べ当時は監視カメラや通信網も脆弱だから、捕まえるのも一苦労だったろう。裏主人公として描かれるパーヴィスも、上層部に圧力をかけられつつ、同じく仲間を失いながら壮絶なプレッシャーと闘っていたのかと思うとため息が出る。
ラストの一文が悲劇的。
起こった事実と、彼らの内面を淡々と描いたような、硬派な映画だと感じた。
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