ウルフマン(2010)のレビュー・感想・評価
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野性への畏怖が見え隠れする古典ホラー
『フランケンシュタイン』や『ドラキュラ』などの古典ホラーの雰囲気を味わいたい方ならきっと気に入る映画。
話の展開は非常にオーソドックス(悪く言えば意外性に欠けるとも言えるが)。
19世紀ロンドンの再現やモノクロに近いトーンで描かれる森のシーン等も美しく、切ない後味も良い。
人間性を失う事への恐れや父との関係に苦悩するベニチオ・デル・トロ、“頭のキレる嫌な奴”を好演するヒューゴ・ウィービング、華奢な雰囲気と芯の強さを併せ持ったエミリー・ブラント。
達者な役者陣が作品を盛り上げているが、映画の風格を1段も2段も上げているのはやはり、サー・アンソニー・ホプキンス。
登場シーンからして『ああ、この御方はおイカれになっておられる』と思わせる、その鬼火の如くギラつく青い瞳が恐ろしい。
何事にも(息子の死にさえ)無関心な態度や、冷たく突き放すような言動からは、人間的な温もりというものが殆ど感じられない。
彼の、息子を貶めるような行動全てが『より強い種を繁栄させる』という原始的な生存本能から来る行動だったと分かるクライマックスには戦慄。
『より強い種となれ』とは言い換えれば『自分(父親)を越えろ』ということ。世の父親なら誰でも息子に『強い男になれ』と願うものなのだろうが、この父親はまさにその究極形だ。
彼は、息子が強くなる為なら人が何人死のうが一向に構わない。彼からすれば、最後に自分が息子に殺された事すら本望だったのかも知れない。だとすれば、これ以上に原始的で純粋な愛も無い……無論それは息子個人ではなく、“種”そのものへの愛情ともとれる訳だが。
ジョー・ジョンストン監督作品ではこれまでも人間が野性に圧倒される、あるいは野性に帰化するという描写が度々登場するが(『ミクロキッズ』『ジュマンジ』『ジュラシックパークⅢ』etc)、本作では“野性”というものへの尊敬と畏怖がこれまで以上に感じられる。何せ、主人公自身が“野性”そのものになるのだ。CGでなく生身の人間が狼男を演じる意味はそこにある。
自分の中の野性に従う事は言うまでもなく危険だ。だが同時に魅力的である事も間違いない。最後の父子の対決はそのまま、自分の中の野性を迎合する心と、人間としてそれに抗おうとする心の対決なんだろうか。
……なんか映画の中で惨死したダメダメ精神科医みたいなレビューになっちゃいました。氷風呂で頭冷やしてきます。
<2010/4/27鑑賞>
世紀末ロンドンを舞台に名優たちが重厚に演じている。
トロの目つきと狼メイク。
CG全盛の昨今、名匠R・ベイカーの特殊メイクで
狼男が出来あがっていくところが◎
というか人狼メイクはこの人にやって頂きませんと?
私はホラーが苦手なので事細かに観てはいないけど、
彼の特殊メイクはあまりにも有名だったからなぁ。
さて、トロとホプキンス親子がウルフマンに襲われた
兄の事件解明の為久々に城で再会、どうやらトロは
ロンドンで俳優として活躍しており、父親とは距離を
置いていたらしい。。となんとなくの経歴を辿って、
いよいよトロはウルフマン解明の為ジプシーのいる
森へと出向いて行くのだが、その夜は満月だった…。
ま~何しろグロいのなんのって^^;
ホラーマニアにはこんなもん。くらいなんだろうけど
終始グロいので、そこは覚悟で観た方がいいかも。
あとやはりこれはホラーなんですね。
いかにも!?なドキドキシーンが満載で心臓バクバク。
隣のカップルの女子は早々に席を立ってしまったぞ。
私は…まぁここまで首だの手だのがピョンピョン飛び、
臓物がどぴゃーっとか、口から狼の爪がぐさーっとか
まぁ^^;あまりの映像に目が慣れてしまいました。ハイ。
しっかし動きが早いのねぇ~!ウルフマンって(爆)
話の方はそれほど目新しくもなく、謎解きの段階で
はぁ~そういうことだったか(この新解釈どうなんだろ)
と解明されるが、何しろトロさんが気の毒で仕方ない。
メイク要らないだろ!?的な狼顔のトロですが^^;
なんと4時間もかけて!?メイクしていたらしい。へぇ~
アチラでは女優を「目で妊娠させる男」なんだそうで
じゃあハリウッドはトロの子供だらけということになり
(すんません、くだらない話で)
それほどの目力にグエン役のE・ブラントもメロメロ?
だったかは分からないが彼女の演技はとても良かった。
吸血鬼映画もそうだが、こういったモンスター映画は
ことに恋愛が絡むと切なさが際立つ…。
グロさはさておき、徹底してゴシック色を追求した
本作は、意外にも私には緊張感を与える佳作だった。
いや~しかし、ホプキンス氏もまだまだやるわね(爆)
(これが精神病だったら大変だ。どうやって変身を?^^;)
ただのモンスター映画にしてしまった
秘密の鍵を握っていそうな父を抑えた演技ながら存在感を示すアンソニー・ホプキンス。いかにも変身しそうなベニチオ・デル・トロはナイーヴさと野性味を持つ。徐々に謎の本質に気づき始める紅一点のエミリー・ブラント、そして捜査官のヒューゴ・ウィーヴィング。キャスティングは非の打ちどころがない。
この作品を駄目にしてしまったのは監督のジョー・ジョンストン(「ジュラシック・パークⅢ」)だ。満月の夜ごと、獣に変身する我が身を呪い苦悩する人間ドラマに仕立てるだけの役者が揃っていながら、できあがったのはただのモンスター映画。技術的に可能だからといって、人を裂き、内蔵を散らばすカットの連続は稚拙だ。これでは名作「エイリアン」を駄目シリーズにしてしまった「エイリアン3」と変わらない。人間と獣の狭間で生きなければならない狼男の本質に迫った大人の映画にして欲しかった。役者がもったいなさ過ぎる。
映像はよかったけど
ベネチオ・デル・トロって結構好きな役者です。
なんといっても、「21グラム」はよかった。
ショーン・ペン、ナオミ・ワッツ、それにデル・トロの3人の役者が
心底、登場人物になりきった・・・あの映画はすごかったね。
そのデル・トロが主役の「ウルフマン」。
たしかに映像はよかった。
中世イギリスのダークな世界、満月の夜のどんよりしたイメージ
はとてもよく表現されていたが・・・。
でも、ストーリーが、特に、その詰めがつまらない。
実に予定調和的なんだ。
第一、なぜ親子の確執が生まれたのかっていうところもない。
ただ、呪われた親子だったのか。
その親子を演じたのがデル・トロとアンソニー・ホプキンズ。
惜しいよね。このふたりなら、もっともっと深堀できたはずなんだけど。
いづれにしても、中途半端な印象はぬぐえなかったな。
残念、Bです。
アンソニ-・ホプキンスの怪演は、ハマリ役です!!
スト-リ-は単純なんですけど、ホプキンスの演技が本当に怖くて良かった。
切り裂きジャックで活躍したアバライン刑事が出てきたり、時代はドロドロしたヴィクリア王朝。ラストでホプキンズに噛まれたアバラインは、狼男に変身したのかな。続きが見たいなと思わせるエンディングでした。しかし、この時代の精神病患者とジプシ-に対する扱って、本当に酷い。
名優と特殊メイク
久々のホラー、プレビューに結構ドキドキさせられたので 期待して観に行きました。 悪くはなかったけれど、期待したほどではなく…
原作を観ていないので リメイクがどの程度の物かは分かりませんが、ベニチオ・デル・トロ&アンソニー・ホプキンスを揃えたのは 正解だったと思います。 アンソニー父さんは、しゃべるだけで背筋がゾクゾクするのは 『ハンニバル』のイメージが定着しているせいでしょうね。 ベニチオ息子は、顔とて好みではないのですが なぜかカッコよく見える(『チェ』の時もそうだったし)。
エミリー・ブラントが すごくキレイだったのと(エミリーのシーン&ベニチオとの絡みが少なかったのが 残念)、『マトリックス』の エージェント・スミス(今回はインスペクター)が“ちょい嫌われ役”を うまく演じてました。
特殊メイクの良さは、素人目にはよくわかりませんが “変身する場面”は今まで見たことがない感じで 興味深かったです。 でも戦うシーンは… やっぱり着ぐるみっぽかった。。
ドキドキ度で言えば、個人的に 『ヴァンヘルシング』や 『ドラキュラ(キアヌ・リーブス主演)』の方が印象がつよいので 今夜コワい夢を見ることはなさそうです・。☆
かなりグロテスクな場面があるので、苦手な方はご注意を。 あ、あと『ロード・オブ・ザ・リング』の ゴラムもいましたよ、check it out!
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