「心配が、いちばん毒ですから」ディア・ドクター shimoさんの映画レビュー(感想・評価)
心配が、いちばん毒ですから
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映画「ディア・ドクター」(西川美和監督)から。
「僻地医療を題材に描いたヒューマンドラマ」という紹介に
ちょっと疑問符をつけたいが、なかなか考えさせられる作品だった。
医師の資格を持たない主人公、伊野(鶴瓶さん)が、
多くの村人たちの診断をしていたが、その中のアドバイス。
「心配が、いちばん毒ですから」
この一言だけで、多くの人の心配を安心に変える力があるようだ。
さっきまで元気のない村民が、ちょっぴり元気になって帰っていく。
信頼されればされるほど、医師免許の持たない伊野は、
いつばれるか、と心配が募っているようだった。
もしかしたら、村民に掛けていた「心配が、いちばん毒ですから」は、
自分自身に向けて発していた台詞だったのかもしれない。
資格を持たないからこそ、本物の医師以上に勉強したりもする。
あの屈託のない笑顔の影に、大きな悩みが見え隠れするからこそ、
それを見破っている数少ない人たちが、彼を支えていた。
さて、どれくらいの人たちが、知っていたのだろうか、と観なおしたが、
村人はみんな知っていたようにも感じるし、
おかしいなぁ、と疑ってはいたが、みんな信じていたとも思えるし・・。
とにかく、ラストシーンでホッとさせられた。
笑福亭鶴瓶さん主役作品の中で、私はこれが一番好きかもしれない。
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