劇場公開日 2009年6月27日

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「【”医は仁術也。人救うを以って、志とすべし”今作は、西川美和監督が、現在でも解消されない”無医村”の問題に対し、大いなる問題提起をした作品である。】」ディア・ドクター NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【”医は仁術也。人救うを以って、志とすべし”今作は、西川美和監督が、現在でも解消されない”無医村”の問題に対し、大いなる問題提起をした作品である。】

2022年9月26日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、VOD

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■山間の小さな村から一人の医師、伊能治(笑福亭鶴瓶)がある日忽然と失踪する。
 その男、伊野は過疎地で住民の医療を一手に引き受けており、村の人々から先生と呼ばれて親しまれていた。
 東京から来た研修医の相馬(瑛太)も彼の働きぶりに共感を覚え始めていたが、伊野の素性を知る者は誰もいなかった…。

◆感想<Caution!  内容に触れています。>

ー 久方ぶりに鑑賞したが、西川監督の手腕に唸った作品である。ー

・伊能を演じる、笑福亭鶴瓶の最初は医師に成れなくて、無医村にやって来た(と思われる)背景から、彼が、無医村だった1500名の高齢者に”名医”として尊ばれる姿。
ー 彼は、そんな中、”医者になれなかった自分”を受け入れてくれる村人たちの姿や、自分自身も徐々に“承認欲求”を満たしていく・・。-

・彼は、そんな中、自己の利益に走る事なく、村人たちの為に、日夜奔走する。
ー 或る患者が、気胸である事を見抜き、伊能にアイコンタクトで指示を出す病院スタッフの夫が医師であった大竹(余貴美子)の姿も巧く描かれている。大竹は伊能が医師免許を持っていない事を知りつつ、彼をサポートするのである。-

・都会の開業医のボンボン相馬(瑛太)が、徐々に伊能に惹かれていく姿も良い。

■癌のステージ4になっていた鳥飼(八千草薫)が、子供たちの迷惑を掛けたくない・・、という思いで診察を拒む姿。だが、伊能の献身的な姿に、診察を受けようと決断する姿。
 そして、鳥飼の医者でもある娘(井川遥)が、母の病状に気付き・・。
 伊能は、安楽死を、娘は母を生かそうとする思いの中、伊能の真実が明らかになって行く・・。

<今作は、西川美和監督が無医村の現状をテーマにした、見応えある医療映画である。伊能の行った事は、法に触れるのは間違いないが、彼の行為は村の人々に確かに希望を与えたのである。
 今作は、医療上の”罪と罰”に鋭く切り込んだ作品でもある。>

NOBU