「住民達の嘘」ディア・ドクター タッカマンさんの映画レビュー(感想・評価)
住民達の嘘
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ラストシーンがこの映画のレベルを一つ上げた。
主軸となるストーリーは、主演の笑福亭鶴瓶の嘘であるが、ラストシーンの八千草薫の笑顔で、過疎地住民の嘘が明るみになる。
鶴瓶の嘘が発覚し、掌を返す住民達に、世間の冷たさを感じ、後味の悪い終わり方をするのだと覚悟していたが、八千草薫の笑顔は、そんな住民達の本当の気持ちを代弁するようなもので、鶴瓶に対する愛情と感謝と信頼が見えた。
伏線は鶴瓶が瑛太に語った住民達への評価。
過疎地に満足している訳でなく、慣れて受け入れているだけだ、うる覚えだがそんな内容だったと思う。
過疎地に限らず、一般的に罪とされることをした人に対して、「それでもいい人だ」となかなか言えないし、言ったところで何も変わらないので、皆受け入れて空気を読んで罪人を非難する。
社会秩序として法律の遵守はもちろん大切なことであるが、人の人を思う気持ちは法律に縛られず、どこまでも自由だ、そんなささやかな気持ちを八千草の笑顔に感じた。
かと言って、すごく善人として鶴瓶が描かれている訳でもないというバランス感が、監督のセンスが卓越している点だと思う。
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