「西川美和の見つけたもの」ディア・ドクター きりんさんの映画レビュー(感想・評価)
西川美和の見つけたもの
まだだれもとりあげてこなかった心の隙間のところ。
揺らぎとか、嘘とか、騙されている人間の満足とか、
弱さゆえに寄り集まって生きる私たちの間の微かな引力を、見えるかたちで映画にするから、
この監督は希有な人だと思う。
「聖なる犯罪者」のあとで思い出して再鑑賞。
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きりんさんのコメント
2023年12月17日
追記 2023.12.17.
そもそも太古においては、
「医療」はその起源が宗教的行為であったことも ふと思い起こさせてくれる映画でした。
(伊野に象徴される)村の神がかりの人間が、
いつしか悩み苦しみながら村人に請われて、呪術師として、神の人として立てられていく・・その様子。
医療と信仰、治癒と救いが一体となった「宗教の教祖」の誕生をここに見ることが出来るかもしれません。
対極としては昨今の「リモートによるデジタル受診」と宅配投薬でしょうか。
でも寛解だけを人間は求めているのではないのだという、これは私たちの原初的・根源的問いですね。