ヘルボーイ ゴールデン・アーミーのレビュー・感想・評価
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地獄のヒーローのわりに明るいキャラ
同名コミックを映画化した第2弾。ロン・パールマンが、地獄生まれで筋肉ムキムキの真っ赤なヘルボーイを演じるアクション・ファンタジー。と言っても、ヘルボーイが普通のアクション・ヒーローと違うのは、ちょっとおバカで、短気、皮肉屋というキャラ設定で、会話の中に、コメディータッチの笑いも含まれているところ。 また、本作の面白さは、様々なフォルムのクリーチャーが、次から次へと現れること。今回も、エルフやドアーフ、トロール等、これまでも聞いたことのある様なユニークなクリーチャーが登場する。ヘルボーイの仲間としては、ヘルボーイの恋人で、念動発火力を備えるリズ、知的な半魚人・エイブラハム、ドイツ人の霊気・クラウトの3人。 そして、本作のラビンは、地上の支配者となった人間を抹殺しようと企む闇の世界の王子・ヌアダ。そのヌアダが、人類抹殺の為に伝説の闇の軍団・ゴールデン・アーミーを復活させようとするのを、ヘルボーイ達が阻止するお話。 一方、ヌアダの双子の妹は、王子のこの暴挙に賛同できずに、ゴールデン・アーミーを復活させるキーとなる3つに分かれた王冠の1つを持ち出し、ヘルボーイ達に助けを求める。しかし、妹とは一心同体の兄は、直ぐに居場所を知ることができ、ヘルボーイ達に戦いを挑んでくる。 荘厳な地下帝国や不気味なクリーチャー、敵との激闘シーンの映像は、さすがハリウッド。そして、本作のメガホンを撮ったのが、『シェイプ・オブ・ウォーター』でアカデミー賞を受賞したギレルモ・デル・トロ監督。彼独特なダークな世界観の中に、ファンタジー性を盛り込んだ作品は、彼の真骨頂である作品であると思う。
不滅のヘルボーイ
マイク・ミニョーラのコミックを基に、ギレルモ・デル・トロ×ロン・パールマンのタッグで描いた“悪魔ヒーロー”第2弾。 好評を博し、スタッフ/キャストもほぼ続投、才気ある監督の続編とならば、世界観やビジュアルや面白味はより深く濃く。 キャラや設定は把握済みなので、すんなり作品世界へ。 今回の題材の伝説(人形アニメ劇なのが秀逸!)、敵の動機などを冒頭で簡潔に紹介し、お馴染みの面々の登場。 悩みとボヤキで薬が手放せないFBI局長のマニング。 クッション役のエイブ。 さて、我らがヒーローはと言うと…、いきなりリズの念力発火でふっ飛ばされて登場。リズと絶賛喧嘩中のヘルボーイ。 キャラたちの個性、軽快なやり取り、ユーモアはますます好調。 マイヤーズが南極左遷になってしまったのは残念だが…。 捜査でまたしても“目立って”しまったヘルボーイ。 お目付け役として、BPRDに新メンバー。 “エクトプラズム体”の機械人間、ヨハン。 超有能&天才エージェントで、頭ガチガチの“ミスター規則”。 性格も考え方も真逆。言うまでもなく、ヘルボーイとは…。 ヨハンのキャラもユニーク。 監督をバトンタッチした『ブレイド2』の時と然り。 コミックのエンタメ性は勿論の事、ダークさやドラマ性は増し、あらゆる面にこだわりが。 それが最も反映されたクリーチャー、ビジュアルの数々。 見た目はキモ可愛いけど、噛まれたらヤバい! トゥース・フェアリー。 街中に現れ大暴れする森の神、エレメンタル。 下半身は無いけど、気のいいゴブリンの鍛冶職人。 終盤直前、リズにある選択を迫る強烈インパクトの“死の天使”。 ハリポタ魔法世界には“ダイアゴン横丁”があったが、こちらは様々なクリーチャーや魔物で溢れる“トロール市場”。 エルフの国への出入口である“石の巨人”。 これらはまるで、シリーズ2作の間に手掛けた傑作『パンズ・ラビリンス』を見ているかのよう。 美術、特殊造形、メイク、スーツ…目を見張るビジュアル・センスは、それこそ“デル・トロ市場”! 焦れったいくらい不器用なヘルボーイとリズの恋。実は、リズの身体に…。完全恋愛ドラマ。 異形の者への眼差し、理解。差別、偏見は本作のメインテーマの一つ。本作はより露に。 トゥース・フェアリー退治後は一躍人気者に。が、被害大きいエレメンタル退治後は、一転してバケモノ扱い。赤ん坊を助けたにも拘わらず…。 それに対し、ヘルボーイは…。哀愁、やるせなさ…。 自分とは違う者への敵意、手のひら返し、人間の傲慢…。心に魔物が潜む。 今回の敵は、伝説の不潔…じゃなくて、不滅の軍団“ゴールデン・アーミー”を復活させ、人間どもを滅ぼそうとするエルフの王子、ヌアダ。人間と休戦協定を結んでいた父王を敬愛しつつも殺し、野望に燃える。 双子の妹、ヌアラ。兄とは違って穏やかな性格。和平を望む。 悪の兄と善の妹。各々の信念、主張も分かりつつ、悲劇的な役回り。 双子故、一心同体。つまり、一方が傷付けば…。 見所の一つ、タイトルにもなっている“ゴールデン・アーミー”が復活しなければ話にならないが、その引き金となってしまったエイブ。 エイブは実は、ヌアラに…。 本作はエイブの悲恋物語でもある。 力や頭脳は良くても、恋愛に関してはまるでダメダメのヘルボーイとエイブ。 二人で恋愛ソングを合唱するシーンはユーモラスでありながら、しみじみ。 ホント彼ら、人間以上! 難点も無きにしも非ず。 “ゴールデン・アーミー”の見せ場が少ない。 ヌアダの華麗なアクションやクリーチャーとのバトルなどアクションも豊富だが、ちとインパクトに欠けた。(最も、リブート版のような過剰にとは言わないが…) でもそれらを差し引いても、今回も面白さは充分。 今回も魅せてキメてくれたぜ、悪魔ヒーロー! この面子での第3弾を見たかったのだが…、 オスカー監督となり、デル・トロは今やスケジュールを押さえるのが困難なほどの多忙監督に。 リズ役、セルマ・ブレアは難病を患い…。 もうリブート版も作られてしまったので、実現はほぼナシかもしれないが、 再々召喚される時を待ち続けている!
デル・トロ監督、快調!
大昔、エルフと人間は戦っていたが、エルフが生み出した黄金軍団があまりにも強いので、エルフの王は人間と和睦、軍団を封印してしまう。 そしてヘルボーイの前に、エルフの王子が現れ戦いを挑んでくる。 とても面白いがエイブが可哀そう。
独自のヒーロー
原作にどこまで忠実かは知らないけど、 ギレルモデルトロらしい世界観で、 気持ち悪いけど愛敬のあるキャラ達で面白い。 MIB的でもありXmen的でもあって、 DC的なダークファンタジーでもあってどの方面からも 楽しめる。 敵の王子もカッコ良いし、 ヘルボーイも相変わらず大人になり切れてないのが良い。 格闘シーンもCGパリパリのアクションじゃなくて、 肉弾戦なのも魅せてくれる。 万人受けはしないだろうけど、 世界観も行き届いててオタク的で僕は割と好き。
前作があるからこそ
今作の面白さが際立つ、前作はキャラ紹介メインですが今回はそれをさらに掘り下げつつ、敵にもポリシーがあるのでより面白くなった。 ヘルボーイの周りも魅力的なキャラばかりで活躍も目立つ。 半魚人、コンタクトつけたり飛行機運転したりなんでもできるのね笑
宮崎駿愛が全面に出された作品
デルトロ監督は大好きな作家達を公表しているが、それを作品の中で全開で出す中々面白い監督だ。前作ではラヴクラフト愛が凄すぎて、原作の設定を変えてまで至る所にラヴクラフト作品のエッセンスを出しまくった作品だった。
今作品では彼が愛してやまない宮崎駿作品への愛がちりばめられた作品だ。特に強く出ているのは「天空の城ラピュタ」だ。お話の基本プロットはそのままだし、ゴールデンアーミーはもちろんあのロボット兵達である。面白いのはエルフ達の設定。もちろんエルフ=ラピュタ人である。エルフの王様がパイプだらけの蒸気が上がるストーブの前で鎮座しているのは中々シュールだったが、ラピュタの産業革命時代の世界観から来ていると考えるとなるほどである。そういった視点でみるとこの作品の本当の主役がヘルボーイじゃないのも面白い。彼の半魚人愛はこの作品からも出ているのがよくわかる。
その他にも「もののけ姫」のシシ神は設定そのままで出ているし、この作品のトトロは猫が好きすぎて好物にまでしてしまっている。
特に面白いのは終盤に突然出てくる重要キャラの死神である。死神は漫画版ナウシカに出てくる庭園の主が元ネタである。つまりリズがナウシカ、死にそうなヘルボーイは巨神兵ということだ。これを見てデルトロ監督は漫画版のナウシカまでチェックしているのがわかってしまって笑ってしまった。
ラストの歯車バトルは「カリオストロの城」だし、他にも探せば色々なところに宮崎駿愛を出しているのがわかる作品だ。よくまぁこれだけのネタを取り入れて2時間の作品にまとめたなと関心してしまう。
ただそれ以上に彼のオブジェ愛があふれていていて、元ネタに負けない魅力があり観ているだけで楽しくなってくるデルトロ監督らしい作品だった。
バリー・マニロウが高らかに歌い上げる人非ざる者達の気高さがとにかく美しい
地獄からやって来た悪魔の子ヘルボーイら超常現象捜査防衛局が人類を滅亡させようと太古に封印された黄金兵を蘇らせようとするエルフの王子ヌアダと対決する話・・・とまとめると大人が観る映画ですか?と誤解されかねませんが、これこそ大人が観るべきファンタジーだと声を大にして言いたいです。異形の者達への偏愛を常に作品の核にしているギレルモ・デル・トロ監督の雄大な世界観の中では我々人間は端役に過ぎず、我々が抱える醜悪さが彼ら人非ざる者達の気高さを際立たせる極めて美しい作品であることを今からでも遅くないので体感してもらいたいものです。 瀕死のヘルボーイとその妻リズに突きつけられた究極の選択に惑うことなく応えるリズの姿が身悶えするほど感動しますし、あくまでこの映画のテーマは愛なのだということがバリー・マニロウによって高らかに歌われますのでお聴き逃しなきよう。
全キャラに魅了された
人間と協働する悪魔であるヘルボーイ等が、人間に攻撃を目論む魔人の王子と戦う。王子は無敵のゴールデンアーミーを起動させるが、彼の妹の自己犠牲によって死に、ゴールデンアーミーも永遠に封印される。
ヘルボーイは戦いの中で妻が自身の生きがいであると気づき、属していた組織をやめ、やがて産まれるだろう子供との平和な暮らしを望む。
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全キャラクターが好きです。画面の端に一瞬小さく出てくるやつまで、全部好きです。特に、エンジェルオブデス、おできの赤ん坊、エレメンタル、ヌアラ王妃が好きです。次々目に入るクリーチャーデザインが、この映画の大きな魅力であることは、間違い無いでしょう。エンジェル・オブ・デスはフィギュアが欲しい。私は今までフィギュアなどはあまりコレクションしてませんでしたが、これは欲しいなあ。
ヘルボーイとエイブラハムコンビも良い。表情筋はモンスターだから(というより作り物だからと言ったほうが正しいけど)そんなに細かくないけど、仕草やわずかな動きで豊かに表情をだしていて、味わい深く、良いです。二人が酔っ払って人間味全開なシーンは微笑ましかったです。
今作では、キャラ同士の強い関係性が目立っています。ヌアラとヌアダの絆、ヌアラとエイブの恋愛、ヘルボーイの夫婦関係。この流れだと、イブの産むであろう双子にも、何かしら絆があるんじゃないか、と予感させられます。
アクションにはスピード感がありました。特にヌアダ王子の槍アクション。フツーにアクション映画として楽しめるくらいの勢い。伸縮する長刀というアイディアもキマっていて、他のアクション専門の界隈に突っ込んでいっても存在感放てるくらいだと思いました。
ゴールデンアーミーのギアがスゴイ。やられても再生する敵キャラは映画や漫画で多くありますが、ゴールデンアーミーは部品が自立して動作し復元する機能を持っています。昔の技術で、現代文明でも敵わないくらい優れている例を知ると驚きますが、それに似た驚きが感じられます。現代技術を凌駕するオーパーツとは、ロマンじゃないですか。
最後、ヌアダのところへ向かう動機はイマイチ分かり辛かったです。リズの愛する人への思い、というのは分かるが、そのためならヒトが犠牲になってもいいと言っているように聞こえて、極端に過激な感じがします。敵を封じたままにヌアダを倒せる自信があったのでしょうか?いや、やはりどうも賢い行動には見えず、モヤっとしました。
ギレルモさんの映画全般で共通かもしれないですが、SEがとても良い効果を発揮していますね。ティース・フェアリーのコチョコチョと鳴る体の音、エイブがコンタクトをつける時のパシッという音、剣の振動がキインと響く音、そして肉とか粘り気のあるもののグチョグチョ音。普通なら聞こえないような音でも自然に付けて、とても触覚的に感じさせられます。気持ち悪く感じられる時もありますが、私などはむしろその気持ち悪さを期待してギレルモ作品を観ています。
感覚が倒錯しているわけではないのです。非日常の刺激というか、映画でしか味わえない強烈な体験をしているというのが、ちょっと嬉しくなります。ただしハイクオリティな映画で、というのが条件ですが。
原作未読 前作未見
雰囲気を受け継ぎ
前作から雰囲気を受け継ぎデルトロ節全開で非常に面白かったです。 真新しさこそなかったものの一本の映画として、完成されていたし、物語も急展開を見せるので、満足できる一本になっていると思います。
前作よりもファンタジー色が強くなって魅力的なクリーチャーも多数登場...
前作よりもファンタジー色が強くなって魅力的なクリーチャーも多数登場。 世界観やビジュアル・デザインもグロテスクな美しさが増していてギレルモ作品に期待するものが満載だった。 ただしあくまで『ヘルボーイ』なので『パンズ・ラビリンス』のようなシリアスさと悲劇を期待すると物足りないかも。
前作を軽く上回る面白さ! パンズラビリンスで魅せたギレルモデルトロ...
前作を軽く上回る面白さ! パンズラビリンスで魅せたギレルモデルトロのキモ魅力的な世界爆発で、圧巻のビジュアルだった。 序盤に出る昆虫のような生物がワサワサ動く気持ち悪さ、刺さった剣先を取り除いたパンズラビリンスのペイルマンのような姿のキャラクター、新キャラクタークラウスのクラシックなロボ感、とにかくキャラクター造形が素晴らしい。 せっかく独特の世界観が固まってきたにも関わらず続編製作がなくなったのが本当にもったいない。
パート2
との事だったが、1を観てなくても全然楽しめた!
登場キャラも個性があって良かったが、最後の王冠が炎で溶けるのが・・・
だったら、最初から取り敢えず溶かしておけばってなる(笑)
豊穣な嘘
ビールと葉巻と猫が好き。短気な乱暴者だけど、好きな女には、からきし弱い。そして、ある種の潔癖さを持っている。
「タフじゃなくては生きていけない。やさしくなくては、生きている資格はない」
そんな言葉がフィリップ・マーロウより似合ってる。ヘルボーイはハードボイルドな男っす。
ヘルボーイ以外の登場キャラも、それぞれ弱点欠点ありながら、ある種の潔癖さ頑固さを持っている。
主要キャラから通りすがりのクリチャーまで、己のスタイルを貫いている。
歯の妖精、おできの子ども、ウィンク、森の精霊、ゴブリン、死の天使…みんな、いい。デルトロのありったけの愛が透けて見える、豊穣な異界の住人。
ヘルボーイが森の精霊を撃つのを一瞬ためらうところが、いい。それでも人間を救うために撃つ。その哀しさよ…。森の精霊は撃たれた後、ヘルボーイを慰めるかのように美しい花を咲かせてくれる。これをデルトロの愛と呼ばずして何と呼ぶ!!
「映画館には,嘘を観にいく」と曾て色川武大が書いていたけど、どうせ観るなら、こんな豊穣で優しい嘘がいい。
巨体vs巨体
「パンズ ラビリンス」程の傑作は期待していませんでしたが、まあまあ楽しめるアメコミ作品でした。 ストーリーは至って単純です。 一人のエルフ族の王子様がある3つのものを手に入れることによって復活すると呼ばれる伝説の最強軍団“ゴールデン・アーミー”を使って人間たちに復讐する計画をヘルボーイと愉快な仲間たちがどのようにして阻止するのか鍵となる物語のです。 注目はギレルモ デルトロ監督の映像マジック、個性豊かなキャラクターたち、2つのラブストーリー、この作品ならではの独特のユーモアそして、いい感じに使用されているあの名曲です。 その中でも、特に注目すべきなのは個性的なキャラクターたちです。今作でもヘルボーイ、“スター ウォーズ”シリーズの人気キャラクター“3CPO”にどこか似ているエイブ、燃えるゴッド姉ちゃんリズは健在です。加えて新キャラクターのユアンや例のエルフ王子も良い味を出していると思います。しかし、圧巻なのはニューヨークを破壊し始めるあの蛸のようなクリーチャーです。あれを観れただけでも映画館へ行ってよかったと思いました。 それから、本作の特徴として挙げられるのはパート1と比べエイブの出番が格段に増えた事です。私としては1作目から気になっていたキャラだったので登場回数が増えたのはすごく嬉しかったです。 しかし、この作品には欠点が多いのも事実です。 まず、とにかく長い!30分くらいカットして1時間半くらいの作品にできたのではないかと思いました。それから、展開が遅い!あれではアクションシーンにたどり着く前に眠ってしまう人も多いのではないでしょうか?とは言え、とても楽しい映画でパートⅠを観ていなくても普通に観れてしまう作品だと私は思いました。 最後に世のセルマ ブレアファンの皆様へ 残念ながらベッドシーンはございませんでした。 しかし、とても綺麗でしたよ。 デルトロ監督は女性を美しく撮ることにも長けているようです。
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