「面白いとは思いますが…。」GSワンダーランド mori2さんの映画レビュー(感想・評価)
面白いとは思いますが…。
今から40年ほど前の日本を、熱狂の渦に巻き込んだ“GS(グループ・サウンズ)ブーム”。そのブームの裏側を、面白おかしく描いた本作。吾輩が生まれた頃の頃の話ですから、よくわかんないんですけどね~(^^;。
『面白いか?面白くないか?』とだけ問われると、確かに面白かったです。作風がコミカルですし、60年代を再現したファッションや、風景、音楽も『あ~、こんなんやったんやろうな~』と思わせてくれて、結構楽しめました。意外なところでは、GSバンドの衣装や、キャッチ、売り出し方には、ああ言う背景(当時はまだ、戦後20年ほど)が存在したんだ(←実話かどうかは定かではないですが)ってことがわかるシーン。『へ~、そうなんや~』って、チョット感心させられました。
しか~し!一体この映画、どういう人達をターゲットに作ったのか?観ていてサッパリ理解出来ませんでした。今の若い世代が、この映画を観に行こうと思うか?そりゃ、いま売り出し中の水嶋ヒロ君や、石田卓也君のファンの人なら話は別ですが、果たしてそれ以外の人達が喰い付くか?更に、GS全盛期を知る世代(吾輩の親たち辺り)が、昔を懐かしんで観に行くか?どちらもしんどいと思います。俳優陣の演技の方も、脇を固めるベテラン陣は、それぞれとてもイイ味を出していて、面白いのですが、如何せんメインを張る若手陣の演技がチョット…。そりゃ、楽器を演奏するシーンなんかは、非常に頑張っていた(初心者が、猛練習したそうです)とは思いますが、それ以外は映画として考えた時、相当グダグダなレベルに思えてしまって…。その辺は観ていてシンドかったです。『日本映画が好調』と言われる昨今ですが、もうチョット明確な製作意図を、観る側にも分かるように作っていただきたいと思います。さもないと、この“日本映画バブル”は、いずれ弾けてしまうと思います。
キツイこと書き並べましたが、この映画の音楽は、なかなか大したモンでして、作中“ザ・タイツメン”が歌う「海岸線のホテル」という曲。吾輩の頭の中から、なかなか出て行ってくれません!!特にサビの歌詞とメロディーが…。何せ“作詞・橋本淳、作曲・筒美京平”という、ホンマモンが作っておられますから。しかも何とこの曲、驚くべきことに実際に販売されておるのですわ!凄い!!これこそが、この映画の最大のヒットだと思います。コレ、売れたらオモロイんやけどな~!
あ、因みに「海岸線のホテル」のカップリングは、温水さんが、熱唱している「あなたのフリをして」です(^^;。