劇場公開日 2008年11月1日

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七夜待 : 映画評論・批評

2008年11月4日更新

2008年11月1日よりシネマライズ、新宿武蔵野館ほかにてロードショー

これまでの河瀬作品にはない世界の広がりがある

カンヌ映画祭グランプリを受賞した「殯の森」に続く河瀬監督の新作には、新たな試みが目立つ。故郷・奈良ではなく、タイを舞台にした物語。作家の狗飼恭子との共同脚本。タイ人、日本人、フランス人で構成されたスタッフ・キャスト。そして、現場の即興性や自発性を重視した演出。

だが、そんな試みによってまったく違う世界を作り上げようとしているわけではない。河瀬監督の独自の視点は確実に引き継がれている。古式マッサージと僧の存在を通して、肉体と精神の両面が掘り下げられていく。少年の出家がクライマックスになることによって、物語と儀式が密接に結びつけられていく。

作品の本質は変わらないが、新作にはこれまでにない世界の広がりがある。注目しなければならないのは、物語とは異なる流れが浮かび上がってくることだ。まずヒロインが列車で駅についたとき、そこには線路に沿った人々の営みがあり、彼女が森に落ち着くと生活の軸が線路から川に変わり、最後にカメラが川を遡っていくと、人ではなく、トカゲや水鳥といった動物の営みが見えてくる。そんな映像の流れには、生の営みを源から見直そうとする姿勢を感じとることができる。

(大場正明)

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