かけひきは、恋のはじまり : 映画評論・批評
2008年11月4日更新
2008年11月8日よりみゆき座ほかにてロードショー
2人のマシンガン・トークとセリフのおかしさはさすが
ジョージ・クルーニーがやりたかったのはフットボールじゃなくてスクリューボール。なんて駄洒落のひとつも言いたくなる軽快なスクリューボール・コメディだ。40歳をとうに過ぎても人気のないプロ・フットボールにしがみついているハミダシ者のドッジは、昔だったらケーリー・グラントかクラーク・ゲーブルが演じたキャラ。久しぶりにスッキリと男前をあげて登場のジョージが意識しているのは、明らかに粋で男くさいゲーブル。そう思って見ていると、「風と共に去りぬ」の夕焼け空バックのレットとスカーレットを思わせるキスシーンが出てきてニヤリとしてしまった。対するレニー・ゼルウィガーは男勝りの新聞記者レクシー。帽子につけた大きな羽根や、部屋に入ると椅子ではなくまず机に腰掛けさせるジョージの細かい演出で、20年代のフラッパーガールの雰囲気がよく出ている。幅広のサッシュを巻いたローウエスト・膝丈のドレスなど、モダンガール・ファッションも楽しい。
フットボール草創期のエピソードの方は途中で中だるみもするが、喧嘩しながら恋に落ちていく2人のマシンガン・トークとセリフのおかしさはさすが。あの時代にすでにスポーツ・エージェントがいたというのも驚きだ。
(森山京子)