「闇から光ある世界へ。」闇の子供たち ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
闇から光ある世界へ。
観るに耐えられないというのは、こういうことなんだろうと
この作品を観ていて思った。
どこにも救いがない。こんなことが平然と行われているのに
自分はただ観ているだけで何にもできない。
なにかに押さえつけられたような息苦しさを感じながら、
こらえようのないジレンマに苦しめられる作品だった。
原作は未読だが、よくこれを映画化したものだと思った。
フィクションではあるものの、かなり現実を踏まえており、
私たち日本人も、どこかで関わる可能性があるともいえる。
子供が生まれる。ということは今まで喜びではなかったか。
どうして子供達がこんな扱いを受けなければならないのか。
昨今の日本の性犯罪を見ていても、子供は大人の玩具か?
と思えて仕方がない。他人を喜ばすために提供されるのが
子供の身体や臓器だなんて、私は思いたくない。
でも、こんな悲惨な事実から目を背けてはいけないのだ。。
冒頭からフラッシュバックのように南部(江口洋介)の頭を
かすめる映像が、なにを示しているのか最初分からなかった。
…それがラスト。あぁ~そういうことだったのかと、
もちろんショックはそれだけではなかったが、またもや
やるせない、、そんな気持ちだけを残してこの作品は終わる。
誰が正しい。とか、どうすればいい。とか、簡単に答えを
出せない問題だからこそ、なんとかならないもんだろうか。
そんな作者側の意図がアリアリと見えてくる問題作だった。
そしてやはり親の立場として考えてしまった。。
梶川(佐藤浩市)の息子が、もしも自分の息子だったら…。
それで命が助かるのなら、見えない闇なら見ないままで
そのことだけに心血を注ごうとしてしまうんじゃなかろうか。
泣き叫ぶ母親(鈴木砂羽)を見て、ますます混乱してくる。
そこへ付け込む悪徳組織がある限り、無くならない問題を
どうにかするためには、命を張るくらいの覚悟が必要なのか。
音羽(宮崎あおい)は、子供達をどうするんだろう。
与田(妻夫木聡)は、今後なにを撮り続けるんだろう。
(席を立ったあと、トイレまでの足取りが重くて仕方なかった)