劇場公開日 2008年8月2日

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闇の子供たち : 映画評論・批評

2008年7月22日更新

2008年8月2日よりシネマライズほかにてロードショー

見ることだけでは完結しない深刻な社会派ドラマ

阪本順治監督は守備範囲がひろい。彼の作品は、監督デビュー作「どついたるねん」に始まる男のドラマ、「魂萌え!」のような女性ドラマ、「KT」や「亡国のイージス」などの社会派ドラマに大別できるが、どれも瀬戸際にいる人間を描いて見ごたえがある。今回の「闇の子供たち」は、日本人の臓器移植手術から、タイのアンダーグラウンドで行なわれている幼児売買春、幼児虐待、臓器売買といった、深刻な問題に突入していく社会派ドラマ。できれば避けて通りたくなるような内容で、見ているうちに、心に鉛でもつめこまれたような気分になる。鉄柵の狭い部屋に監禁され、大人のエゴや性癖におしつぶされる子供たちは、川で遊ぶ姿や緑あふれる故郷のシーンがあるからこそ、より耐えられないものになる。そしてエイズだとわかるとまるでゴミのようにビニール袋にいれて捨てられたり、プレイ中に死んだ子供の支払いにサイフからクレジットカードをとり出す白人の姿は、暴力描写以上の衝撃があった。

物語の主役は江口洋介演じるバンコク支局駐在の新聞記者・南部浩行。タイの人々の視点で書かれた梁石日の同名原作小説に、南部が登場するのは真ん中を過ぎたあたりから。にもかかわらず南部を映画の主役にしたことで、阪本が「人身売買受け入れ大国」とも言われる日本人の問題として脚本を書いたことが鮮明に浮かびあがる。彼が撮影中「発狂するほどに責任を感じた」というこの作品は、見ることで完結したりしない。自分が知らなかった厳しい現実が「なぜ起こるのか」を考えさせられる作品だった。

(おかむら良)

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