「リーフレットの絵柄にだまされないで^^;」脳内ニューヨーク septakaさんの映画レビュー(感想・評価)
リーフレットの絵柄にだまされないで^^;
なんで涙か出たんだろう
どうしてだか、よくわからない
でも、涙が止まらないんですけど・・・
〈 みんなそれぞれ人生の主役。エキストラは誰もいない 〉
実は、とんでもない勘違いをしていまして、
リーフレットから出る雰囲気、主人公男優の
表情からコメディーかと思っていたんです。
ところが、鑑賞しながら、
なんだか、気配がおかしいな、と気づきまして、
そうすると、今度はストーリーが複雑すぎて、わかりにくくなる。
“カオス”
この言葉がパッと頭に浮かぶほど、
超難解な知恵の輪のように入り組んだお話でした。
チャーリー・カウフマン監督
『マルコヴィッチの穴』(99)で注目を集め、
『エターナル・サンシャイン』(04)ではアカデミー賞脚本賞受賞。
その作風を知っていれば、コメディーだなんて的外れな勘違いをするわけがない(苦笑)
今作が初監督作になります。
複雑と、先ほどから書いていますが、
序盤は、それよりも先に、主人公旦那さん
ケイデンの自己中心的性格にイライラし通しでした。
やってはいけないので我慢しましたが、
前の座席を蹴り上げたくなるくらい怒り心頭。
ところが、
中盤以降、そんなケイデンに、同調し始めるんです。
先ほどのイライラは、何処に行ってしまったのか戸惑い始めます。
ケイデン。
ふとしたキッカケで、
自分だけが苦しいわけではなく、
他の人も苦しんでいることに気づかされる。
自分の痛みだけでなく、他人の痛みにも気を配れるようになる。
「許しを請いなさい」
終盤、病床に臥している娘が
父親のケイデンに投げかける。
このセリフ、娘だけのものではない。
作品を観ているお客様も同じ思いを抱いている。
「許してくれ」
ケイデンが、この言葉を発したとき、
娘だけでなく、お客様も救われるんですよ、きっと。
場面の詳細はネタバレになるので伏せますが、
それまでのケイデンであれば絶対に謝罪はしないような場面なんです。
だからこそ、お客様は、ケイデンの変化に気づき、嫌悪が同情(同調)へと変わって行くのです。
ケイデンの頬を静かに流れ落ちる涙。
彼は自分の人生を主人公として生き抜いた。
彼は幸福な人生だと思いながら逝ったにちがいない。
☆彡 ☆彡
もう一度、言います。
コメディーではありません。
私のようにリーフレットにだまされないで下さい(苦笑)
「観るたびに発見する。
観客には2度見てほしい」監督の言葉です。
たしかに、鑑賞直後は
「なにこれ、むずかしすぎ」と
チンプンカンプンだったのですが、
時間が経つにつれ、かなり良質な
作品だったんじゃないか。ジワジワと
脳内に染みわたってきているのです。
出演俳優も
観るたびに新たな発見をしている位ですから、
お客様も、観る人によって、解釈やツボが、
バラバラに、大きく異なるような気がします。
と、ウンウン頭を捻らせてレビューを書いていたら、
脳内が活性化された気がします。おあとがよろしいようで(苦笑)