「母としては少々きつい作品」重力ピエロ Chisaさんの映画レビュー(感想・評価)
母としては少々きつい作品
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息子が生まれてすぐに伊坂幸太郎「マリアビートル」を読んだとき、登場人物の一人の子供がサイコパスに嵌められてビルの屋上から突き落とされるストーリーが辛くって、同時に犯人への憎悪がびっくりするほど込み上がってきて、なかなか読み進められなかったんだけど、この映画も主人公の母親がレイプの被害者になってしまって、しかも長男がその場に居合わせてしまって、さらに犯人は愉快犯で、というストーリーに、「マリアビートル」のときとおんなじような気持ちがした。
映画だと、役を演じていても加瀬亮は加瀬亮に見えるから、小説のときほど感情移入しなくて済んだけども。
(加瀬亮っていうとこないだ見た「アウトレイジ・ビヨンド」を思い出しちゃってこういう役柄がなんか違和感)
伊坂幸太郎の作品はだいたい最後にちゃんと蹴りがついてハッピーエンドになるにはなるんだけど、それでもアベンジャーズとかみたいな完全なハッピーエンドじゃなくて、なんかが残る。
この映画もそう。悪い奴は退治したけど、それと引き換えに、兄弟は犯してしまった罪をこれからずっと抱えて生きていかなきゃいけないわけで、そう考えると重いなぁ。
ヒーローは世界を救うためにいつも容赦無く悪を殺すし、その過程で悪以外にも多くの犠牲者を出しているんだけど、洋画はそこに焦点を当てないのがうまいと思う。
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