劇場公開日 2010年1月15日

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「子育てて悩んでいるむお母さんには、ぜひ見てもらいたい作品ですね。少々退屈だけど(^^ゞ」かいじゅうたちのいるところ 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0子育てて悩んでいるむお母さんには、ぜひ見てもらいたい作品ですね。少々退屈だけど(^^ゞ

2010年1月10日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 映画的には、展開が遅くて淡々としており、面白味に欠ける作品でした。だけど、そこに込められているスパイク・ジョーンズ監督のメッセージには、胸が痛むぐらい切なくなりました。

 そのテーマは、どうすれば愛されるかです。
 冒頭から少年マックスは。悪戯三昧で時々感情を爆発させて、母を困られます。でも観客はなぜマックスが暴れているのか、手に取るように見えるわけですね。
 シークエンスは、マックスを取り巻く状況を描き出します。
 両親が離婚し、孤独であったこと。そしてもっとかまって欲しいと母親の気を引こうとアプローチするものの、煩わしいと疎まれる。いや、お母さんは新しい恋人の方ばかりに気が向いていて、ボクのことなんかどうでもいいように思っているんだ!ということが、外から見てるとよく理解できる訳ですね。
 そこで、感情が爆発して、マックスは家を飛び出します。

 映画だから良く分かるわけです。だけどこれがそれぞれの家庭での実生活だと、とたんに見えなくなります。
 皆さんのお子さんが、思い通りにならずにイライラすることはありませんか。そんな人はこの映画と向き合うことで、きっとハッとさせられる気づきを得られることでしょう。 まず相手の気持ちになってみることの大切さが、この作品の全編に流れているテーマだと思います。
 あなたはお子さんに甘えていませんか。自分は親だから、何を言っても当然と。あなたは夫に対して甘えていませんか。この人は優しい人だから、何を言っても傷つかないと。 そして他人が自分の思い通りにならないとイライラしてしまう性格。自分のことばかり考える私。
 それは、自己中心の「奪う愛」ではないでしょうか。それでは「不幸」になるばかりです。
 この作品で、ハッとするところは、言葉を整える必要性です。それはマックスと母親の関係の中にも、マックスが出会うかいじゅうたちの人間関係のなかにも色濃く出ています。観客としてみていると登場人物の不用意な言葉に、なんでそんな事言っちゃうの!と叫びたくなるところが一杯出てきました。

 だから愛されるための第一歩は、言葉を整えることがとても大事なんだなということが本作を見終わったとき、印象強く記憶されることでしょう。責める言葉が出る前に、まずその言葉を「飲み込む」ことが大事なのです。
 言葉を出す前に、心の中で考えたり。深呼吸したり、ご自身を無駄に興奮することを何とか鎮めなければいけませんね。

 話は元に戻りまして、マックスが家出し、ヨットを見つけて単身かいじゅうたちの島に乗り込んでいく設定は、とてもチープなんです。でも、これは子供の分際で本当に行けるのかという信憑性と言うよりも、マックスの心の成長を描いた比喩なんだと思います。
 かいじゅうたちも実は、マックスのこころの中に住む住人たちで、マックスのこころに蠢く様々な思いが擬人化してできあがったものなのでしょう。
 だから島で出会うかいじゅうたちは、実はマックスのこころの断片そのものだったのです。そしてその世界ではマックスは王様となったのでした。
 でも、かいじゅうたちはとっても個性的で、みんな気まぐれだし、行動もバラバラ。そしてマックスが提案しみんなで作り上げた「王国」も、あらぬむ猜疑心で取り壊されそうになります。この件もまさに、自己否定なんですね。

 自分の心の世界を生き写したようなかいじゅうたちのの島で、さすがのマックスも相手の気持ちを察することの大切さを学びます。そして現実の世界へと戻っていきます。
 そして母親の胸元に飛び込む、今までのわがままぶりを詫びるところでは、とても感動しました。

 かいじゅうたちのぬいぐるみでの実写作品で、動きもとてもリアルだから、子供たちも喜んでみることでしょう。家族揃って、お互いの関係を見つめ直すのにいい作品だと思います。子育てて悩んでいるむお母さんには、ぜひ見てもらいたい作品ですね。少々退屈だけど(^^ゞ

流山の小地蔵